大好きなクラシック音楽、本、美味しいお店、旅行などの記録です。
休日はソファの上でリラックス!
カラヤン/ウィーンフィル「ブルックナー交響曲第9番」(1976年)
最近のニュースで驚いたことに香川の「彦江製麺所」の閉店があります。10月一杯で廃業するそうです。広島、岡山在住時に何度も巡ったさぬきうどん店、製麺所。その中でも「彦江製麺所」はおそらく最も多く行った(それでも5~6回くらい)大好き、個人的ナンバー1の製麺所です。今だから白状しますが、車を店の駐車場ではなく、国道沿い信号脇のパチンコ店に駐車して、信号渡って小さな神社の奥から小道に入ります。普通の家屋の間の小道を進むと誰もが「こんなところにうどん屋があるの?」と不安そうな顔をします。半信半疑で庭の脇を進み、何の表示もないプレハブの戸を開けると・・・おじさん、おばさんが黙々と作業する製麺所が。この神社の脇から入っていくルートがよかった。親や知人など一番大事なお客さんにさぬきうどんの面白さ・美味しさを紹介するのに最適、成功確実。雰囲気、うどん、待ち時間なし全てで最高の鉄板店でした。140円の幸せ。田んぼの中の「がもう」、山の中に入っていく「山内」、渓流脇の米の表示の「谷川米穀店」など有名・人気おもしろロケーション店の中でも味はピカイチなのに空いているという無二の店でした。残念です。向こうにいたら最後にもう一度ですがそれも叶いません。
もう一点、驚いたことは来日するウィーンフィルの指揮者が予定のサロネンがキャンセルとなり代役としてフランツ・ウェルザー=メストとプレートルに変更になったことです。これにはビックリです。通常、この手の変更は代役の格が落ちて申し訳ないので払い戻し受付ということだと思うのですが、中堅から今最も旬な巨匠(手前か)に格が上がるなんて。おそらくチケット購入者のほとんどはサロネン目当てというよりウィーンフィル目当てなのでウハウハでしょう(マーラー9番の英雄への変更は微妙でしょうか)。俊英サロネンも興味沸きますが何といっても今年と来年のニューイヤーコンサート指揮者です。
そこで、何となく公演案内のホームページを見てチケット情報に進んでみると、まだ残券がありました。11/9のメストの日、S席に僅か、A席に僅か。元がブルックナー6番とマイナーな曲の日だったからでしょうか。トリスタンとイゾルデの前奏曲と愛の死にブルックナーの9番。A席で3万円か・・・。うーん。迷って、1日待ってみて、よく考えて、申し込んでしまいました。ボーナス月のお小遣いは少し高くなる契約なのでそれを見込んでの思い切りです。生のオーケストラなんて、おそらくミラノスカラ座来日公演、ムーティとの「リゴレット」、「運命の力」以来です(調べたら2000年でした)。サントリーホールは記憶が定かでないですがドホナーニとクリーヴランド管の来日公演、ベートーヴェンの5番、6番(1995年頃?)以来、いやぁ久しぶり。重要舞台での実態はウィーンフィルというウィーン国立歌劇場の公演(アバドとのボリス・ゴドゥノフ)を聴いたことはあるのですがウィーンフィルとしてはこれが初めてになります。値段感覚を打ち破る料金ですが、一生に一度くらいはと自分を納得させました。
当日がとても楽しみですが一点不安なのはトリスタン20分、ブルックナー60分だと思うのですが本当にこれだけで終わりなのかどうかです。コンサートの時間がヨーロッパでも短くなっていることを昔読んだのですが、これはいくらなんでも短すぎるような。20分聴いて休憩時間に入ったら笑えます。それとも最近は休憩なしで通しでやっちゃうんでしょうか。ブル9の後のアンコール曲も難しいです(よく分かりませんが普通やらないのでは)。どうなるんでしょうか。最悪80分で終わりでもウィーンフィルなら満足できる予感はありますが・・・。いずれにしても久しぶりの生の響きを堪能したいです(生といえば岡山でのツィマーマンがありましたが忘れていました)。
と前置きが長くなりましたが、ブルックナーの交響曲第9番を聴くことになったので持っているディスクを引っ張り出して聴き比べてみることにしました。気分はブルックナーモードではなかったのですが魅力的な旋律が続くので比較的簡単に切り替わります。
・1944年 フルトヴェングラー/ベルリンフィル(第3楽章 25分)
・1959年 ワルター/コロンビア響(23分)
・1961年 シューリヒト/ウィーンフィル(20分)
・1973年 クレンペラー/ニューフィルハーモニア管(27分)
・1974年 チェリビダッケ/シュトゥットガルト放送響(23分)
・1976年 カラヤン/ウィーンフィル(24分)
・1988年 ドホナーニ/クリーヴランド管(25分)
・1990年 バーンスタイン/ウィーンフィル(26分)
・1995年 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル(30分)
・1998年 ヴァント/ベルリンフィル(25分)
どれも素晴らしいです。この中から一枚を選ぶならカラヤンとウィーンフィルのライブです。ウィーンフィル創立150周年の記念盤として発売された1976年ザルツブルグ音楽祭での演奏です。ザルツブルグの大ホールでの演奏は広い会場を意識してか、かなり強めにバァーンとサウンドが出てくるのですが決して音が乱れることなく分厚くてスケールの大きい演奏です。神々しいと評されますが本当に人間の感情を超越した音楽です。耽美的でどこまでも広がる。何か突き抜けています。本当に美しい。
それともう一枚、チェリビダッケの晩年のライブです。異様な遅さでこの曲の全てを表現し尽くします。特に第3楽章は高い頂から天国へと浮揚、昇天するような超絶の世界です。オーソドックスな表現ではありませんがこの演奏でこの曲の凄さ、深さを理解することが出来ました。
更にもう一枚。ブルックナー指揮者というイメージはありませんがワルター盤もいいです。構築がしっかりしていて自然。大きく呼吸していて確信のある進行に納得です。1959年ですが録音は滅茶苦茶いいです。最近気になるティンパニの響きもベストに近い。万人向けの推薦盤ならこれかもしれません。
加えて更に・・・クレンペラー、ドホナーニ、バーンスタイン・・・第3楽章は絶品です。
メストとウィーンフィルはどう響かせるか、11月9日が待ち遠しいです。
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