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チョン・ミュンフン/パリ・バスティーユ管「ベルリオーズ 幻想交響曲」
コンサートでよく取り上げられる曲にベルリオーズの「幻想交響曲」があります。私の数少ないコンサート暦でも3回も聴いています。パリ管弦楽団、新交響楽団、もう一つ名前は忘れましたが知人がいたアマチュアオーケストラです。
魅力的な旋律、5楽章にわたる劇的な展開、素人にも分かり易い楽想、弦、木管、金管が単独パートでも絡み合うパートでも印象的なメロディを奏で、そして圧倒的なフィナーレを迎えます。聴いていても、おそらく演奏していても楽しい音楽です。クラシック音楽好きで幻想交響曲が好きではない人はいないと思います。ただ、ドボルザークの新世界交響曲、チャイコフスキーの交響曲第5番同様に聴き飽きたからもういいよという方はいるかもしれません。
実演で聴いた中ではプロだから当然ですが、サントリーホールで聴いたパリ管弦楽団がよかったです(S席19,000円)。当時首席指揮者だったビシュコフとのものです。パリ管弦楽団で特に印象に残っているのは、その特徴的な音です。言葉では言い表わしにくいのですが、弦の音に透明感があって軽くて空間にふわっと出て消えていくような不思議な響きでした。それに冴え冴えとした木管、地響きする重量感のある金管。他の欧米のオーケストラと明らかに異なります。これはフランスのオーケストラの特徴なんだそうです。
本拠地であるパリのサルプレイエルでもモーツァルトのピアノ協奏曲(ルプー)とブルックナーの第9番を聴きましたが(2階席1,500円)、同じような透明感を感じました。感じたというのは、サルプレイエルは音が響かないことで知られるコンサートホールでよく聞き取れなかったからです。ただ響きが悪いとは聞いていましたがそれ程ではありませんでした。
脱線ついでに音の悪いホールについてです。何度改良工事をしても響かないことで悪名高いニューヨークフィルの本拠地であるエイブリーフィッシャーホール。ここの音の悪さは半端ではないです。15年以上前、クルト・マズア指揮でリストのピアノ協奏曲(レオンスカヤ)とブラームスの第1番を聴きましたが、舞台で演奏している音が客席に届きません。遠くのほうで鳴っている感じ。日本の非音楽系ホールでもここまで響かないホールはないのではないでしょうか。本拠地をカーネギーホール(こちらは響きすぎるくらいですが)に移す動きがあるのは当然です。バーンスタインはよく我慢できたと思います。
幻想交響曲はどのディスクも水準が高くて楽しく聞けます。その中でもミュンシュ指揮パリ管盤がバランスのよい演奏で名演とされてきましたが、アジアが誇る名指揮者チョン・ミュンフンが振ったパリ・バスティーユ管盤も素晴らしい出来です。第1楽章の展開部における畳み掛けるような高速かつ滑らかなリズム処理は、この聴き慣れた音楽に新しい生命を吹き込んでいます。フランスのオーケストラの弦の透明感はなかなか録音にはとらえられませんが、ここでは弦の艶やかな音色が聞かれます。全般的にこれまで聴いたことのないフレッシュで流れるような演奏でこの曲の魅力を再認識させてくれます。
チョン・ミュンフンは、棒さばきが強引すぎると批判されることがあるようですが、強引すぎてもオーケストラが理解、共感してくれるのであればこのような稀有の演奏を生み出すことができます(その後の解任劇は楽団幹部と金銭面で折り合わなかったからだと読みました)。
以前はカラヤンの後継者などと言われていたビシュコフもチョン・ミュンフンも最近ディスクの発売が少なくて寂しい限りです(ムーティですら御無沙汰なのでクラシック不況は深刻なのかもしれません)。チョン・ミュンフンによるウィーンフィルとのドボルザークシリーズの続きやドイツ系の有名曲の新譜を聴きたいです。
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