西炯子「姉の結婚 八」

                  

 「3月のライオン」と並んで新刊を楽しみにしていた西炯子(にしけいこ)の「姉の結婚」、第8巻で最終巻となりました。

 前作の「娚の一生」の続編にあたるようなアラフォー女性の恋愛物語。都会で不倫に溺れて傷付いた主人公が故郷に帰ってくる。もう恋なんてしないと思っていたのに、魅力的な男性が現れて・・・。舞台を仮想鹿児島から仮想長崎に移して、穏やかな田舎の空気感・街並み、素朴な人間達の中で、傷心が少しずつ癒されていく。

 ベースとなる設定は似ていても「姉の結婚」は前作の健全な倫理感から一歩踏み込んで、ドロドロの人間関係に突入するのかと前半ドキドキしました。しかし、途中からは恋から少し距離を置いて、地道な努力が報われだした専門分野、地元への貢献などに自分の居場所を見つけるようになる。

 あれ?どうなるんだろうと読み進めましたが、意外とさっぱりとフィナーレとなりました。若干、期待がすかされた印象は残りましたが、主役級のキャラの強さに地方都市特有の緩さが相俟って楽しめました。
 最後は少し回りくどい感じもしましたが、さわやかなハッピーエンドでおしまいです。


 西炯子の作品には成年女性(?)を主役に据えるものと可愛らしい少女を物語の主人公とするものがありますが、私はさすがに少女系には付いていけないので、これからも成年女子ものを手掛けてほしいです。次作を楽しみにしています。





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