イアン・マキューアン「贖罪」

          

 イアン・マキューアンという作家はこれまで知りませんでした。1948年生まれ、ブッカー賞も受賞したイギリスの大御所のようです。

 その代表作「贖罪」を読みました。私は名作よりも傑作を読みたいというイメージがあります。言葉の印象ですが、名作は若干退屈な箇所があり、傑作はとにかく面白い。
 贖罪は名作です。傑作にある50ページ過ぎからの高原状の読む喜びの持続はありません。何度か読むのを止めようかと思いました。それでも読み続けたのはこの小説が凄い作品だという評判を読んでいたからです。右肩上がりで少しずつ少しずつ面白くなってくる。下巻に入ればもう止まりません。そして終結の余韻。うーんと唸ります。

 この物語はストーリーについて予備知識なしで読むのが良いです。小説好きなら絶対です。

 ところで本質に関係ないことですが、320ページ×2冊ではなくて、650ページ1冊なら、この本への愛着はもっと深いです。厚いだけで読まれない最近の本離れ対策なのかもしれませんが、分厚い名作を眺めることに喜びを感じるもともとの本好きには寂しい限りです。


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