「中勢以」(田園調布)

          

 雑誌で肉特集があるとたまに紹介される「中勢以(なかせい)」です。ドライエイジングといって寝かせて熟成させた肉を提供する肉屋です。冷蔵庫に陳列してまるで宝石のような取扱い。この肉は旨いだろうなあと想像しましたが場所も田園調布ですし、自分には縁のない店だと思っていました。

 ところが、オーボンヴュータンの場所を確認した時に環八を挟んで1kmしか離れていないことを知りました。ついでに行くなら今回、100g2600円の肉といっても我が家の1日分は200g、5,000円くらいなら出せない金額ではない。妻に恐る恐る相談したところ、土日焼き肉ならOK(焼き肉は準備が楽なので)と了解を得られました。

 オーボンビュータンから環八を歩いて10分くらいです。玉川田園調布の交差点から入ってすぐのビルの1階です。肉屋とは思えない外観です。



          

 店主の加藤さんが気持ちよく迎えてくれます。冷蔵庫の輝く肉を眺めて自分の番を待ちます。店一番のお奨め部位と書いてあるラムシンは100g2,950円とありました。

「焼き肉用ならどれがいいですか」「どれも大丈夫ですがいくつか種類を混ぜた方がよいですね」「それじゃあお奨めで400g」「幾らくらいにしますか」「お任せします」「赤肉と霜降りとお好みありますか」「ここは赤肉がお奨めなんですよね」「そうですが霜降りもいいですよ」「それじゃあ混ぜて」「ラムシン、イチボ、ヒレです。ラムシンとイチボは15週間、ヒレは5週間熟成させたものです。すごくいい牛が買えたんで・・・」

 肉の塊を冷蔵庫から出して、端の白カビをカットし、好みの大きさにカット、肉片もこまめに端の脂を除いてくれるので単価は高いですが余計なモノはない正味の量り売りです。

 部位によって単価が違うのかと思っていましたが、この3種類は同じ単価のようで2,950円です。計11,820円。高いといえば高いですが同じ肉を出している都内レストランも多いようなのでそこで食べるのに比べると比較リーズナブルです。

 店はこういう高い肉だけでなく1000円、500円などの表示もあり(開店直後でまだ値札が全て並べられていなかったのでどれが手頃なのかはよく分かりませんでした)、高いものを買わなければならないような雰囲気がある訳ではありません。途中で来店した常連風の男性はバラ(切れ端肉?)の並500gと注文していました。

 ところで、買い物後、田園調布の住宅街を初めて歩いて駅に向かったのですが、閑静な閑静な高級住宅街でした。普通、高級住宅街といっても昔からの居住者のそれほど高そうでない家もあったりするのですが、ここはどれも高そうです。しかも多くは塀に囲われている訳ではなく、高級住宅が露出しているので見ていても楽しい。ここは観光で来ても楽しそうです。
 西側は駅のすぐ傍まで住宅です。駅前にパン屋のメゾン・カイザーがあり、先日、お土産で貰って美味しかったキャラメルパイなどを買おうかとも考えたのですが、あまりにも高いものを買った後なので止めておきました。230円とかなのですが高級品を3店続けて買うと感覚がおかしくなりそうです。



          

 夕食で有難くいただきました。店でカットしてもらった肉を更に切り分けての食事です。見た目は脂のサシが入っていないようですが十分に脂が乗った旨い肉です。第一印象淡白なストレートな旨みがあります。おそらく厚みのある食べ方の方がよいと思います。肉らしい肉のおいしさを感じることができます。比較ですがヒレが美味しかったです。

 先日、そごう横浜の催し会場で買ったとんとろハムですが、生食すると脂が多すぎてちょっとベタっとしたのですが、焼くとちょうどよくパリッとして脂の甘みもバランスよくて最高でした。

 熟成肉ととんとろハムの焼肉、週末の家族との夕食は「小確幸」(村上春樹がエッセイで使う「小さいことだけど確かな幸せ」)です。





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