沖澤のどか/読売日本響「シベリウス交響曲第2番」




 新進指揮者の沖澤のどかのデビュー盤です。素晴らしい演奏でAppleミュージックで何度も聴いていたのですがCDでも購入してしまいました。

 音の響き、進行が自然でスケールの大きい確かな音楽です。フィンランド、北欧の情景が浮かぶでしょうといった雰囲気たっぷりの演奏ではなく、第1楽章から純音楽的に弦と管を思い切りよく鳴らしています。テンポ遅めですが弾むようなリズムが心地よい。そして第2楽章での幾度かの長いパウゼ、只者ではない凄みがあります。フィナーレも神々しいばかりの繊細さと構築の確かさ、高揚感に圧倒される。この演奏でシベリウスは本当にすごい曲を書いたことが実感できます。

 シベリウスの2番にはセルの1970年東京ライブという超絶盤がありこの1枚だけで十分と思っていましたが、まさか日本からの対抗馬の登場です。
 デビュー盤でちょっと違うなぁと感じさせたのはティーレマンのベートーヴェンの5番、7番以来かもしれません(その後のティーレマンは世評ほど好きではないですが)。1996年でした。

 録音もよく、初めて聴いたのですが読売日本交響楽団も機能美を存分に発揮した2021年10月のライブです。
 沖澤のどかは現在、京都市立交響楽団の常任指揮者です。京都には行けませんが、NHK交響楽団を振る予定もあるようなので一度会場で聴いてみたいです。




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