「ハクライ屋」(横浜市)


 大好きな漫画である「深夜食堂」で紹介された20の食事・料理にまつわるエッセイとレシピをまとまた「深夜食堂の勝手口」という本が漫画の横に並べられていて思わず手にしてしまいました。著者の堀井憲一郎氏は安部夜郎の大学の漫研の先輩(?)なんだそうですが、なかなか博識で食にまつわる懐かしいエピソードを披露していきます。この手の柳の下のドジョウ狙いの企画本はつまらないことが多いのですが安部夜郎との交流もあってとても興味深い本になっています。面白いです。

 この本の最後、20番目のテーマが「コロッケ」です。堀井氏は立ち食い蕎麦屋で食べる「コロッケそば」が大好きで、コロッケはスープに浸すのが好き、一方で安部氏は揚げたてのサクサクのコロッケが好きなんだそうです。一般的には揚げたてのサクサク好きが多数だと思いますが、こういう変化球を紹介するのがこの本の楽しさになっています。

 じゃぶじゃぶのコロッケ好きの堀井さんも、桜木町・野毛の寄席裏のコロッケ屋のコロッケは大好きなんですと紹介されていました。「もとテーラーだった」コロッケ屋さんです。

 それで知った「ハクライ屋」です。メニューは注文を受けてから作るコロッケ(130円)とコロッケパン(250円)のみ。

 桜木町駅から海岸側はお洒落なみなとみらい地区、反対の野毛地区は昔ながらのディープな街です。「三陽」という凄い(味だけでなく)ラーメン屋、場外馬券売り場、大好きな無料の野毛動物園、タンメンの美味しい中華料理屋などなどごちゃ混ぜの味わいある地区だったのですが、随分昔、東横線が桜木町駅を通らなくなってから足が遠のくようになりました。

 今回、久しぶりに桜木町・野毛へ出向いた際にハクライ屋を探し、コロッケを注文しました(2個からなので2個)。肉は少なめジャガイモ多めのホクホクとしたコロッケです。普通のコロッケでも揚げたては美味しいのに評判のコロッケが美味しくない訳ありません。うまい。ただ、何か特徴がある訳でもなく、130円の価値があるのかどうかも分かりません(コロッケパンはコストパフォーマンスいいかも)。

 普通のコロッケの紹介で前置きが長くなりましたが、桜木町・野毛という面白雑多地区だからこそ、新しい寄り道店の発見が嬉しいです。失礼ながら態々行く店ではないと思います。ただ野毛好きな方には覚えておいて損はないコロッケ店です(競馬で負けた後、落語を聞く前…などなど)。


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