あめ~ば気まぐれ狂和国(Caprice Republicrazy of Amoeba)~Livin'LaVidaLoca

勤め人目夜勤科の生物・あめ~ばの目に見え心に思う事を微妙なやる気と常敬混交文で綴る雑記。
コメント歓迎いたします。

雨場毒太の気まぐれ書評37

2007-08-04 21:29:57 | 雨場毒太の気まぐれ書評
「探偵役」?「推理作家役」?
愚者のエンドロール
米澤穂信 著
角川 2002年


気まぐれ書評32で紹介した「氷菓」の続編。

文化祭で自主制作映画を上映しようとしていた2年F組。しかし撮影半ばで脚本担当がプレッシャーからダウンしてしまい、映画が事件発生のところで止まってしまった。事件は密室で起きており、当然ながら密室の謎を解かない限り映画は作れない。「女帝」の異名をとる2年F組のまとめ役・入須冬実は、友人の千反田えるに協力を頼む。えるの「わたしとても気になります」の一言によって、古典部のメンバー全員がこの謎に巻き込まれることになるのだった。

短編連作スタイルであった前作とは違い、これは1冊で1つの話である(といっても本自体が300ページもないので、「中編」と言うべきだろうか)。顔合わせ要素もあった前作に比して、大分こなれてきたというか馴染んできたというか、そういった趣がある。

タイトル「愚者のエンドロール」は、「特に映画に関する知識があるわけでもなく、技術があるわけでもない生徒達が映画を作る」という意味合いと、この小説にちらほらとタロットネタが散りばめられていることのダブルミーニングである。登場人物をタロットカードに譬えてみたりするシーンはなかなか興味深い。謎解きも、最後の二転三転は読み応えがある。

ちなみに表紙題字の下に書かれた「Why didn’t she ask EBA?」は、小説終盤でようやく意味がわかるので、始めは気にしないほうが無難。

ところで、作中に「憧れるのはシャーロッキアンじゃなくてホームジストなんだけど」という台詞があるが、調べてみてもよくわからない。「イギリス人はホームジストでアメリカ人がシャーロッキアン」という説を見つけたがそれでは意味がよく通じないし・・・結局、全ての謎解きが終わってもこれは謎として残ってしまった(笑)


最新の画像もっと見る

コメントを投稿