氷菓
米澤穂信 著
角川 2001年
★第5回角川学園小説大賞奨励賞受賞作
以前紹介した小市民シリーズの作者・米澤穂信のデビュー作。小市民シリーズと同じく学校を舞台にした短編連作形式の日常ミステリだ。
主人公である高校一年生・折木奉太郎は、面倒事を極力避ける「省エネ」主義の少年だが、姉の勧め(というより命令)により、新入部員が無く廃部寸前だという、「伝統ある文化部」古典部へ入部する。すると既に同じく一年生の、旧家のお嬢様・千反田えるが入部していた。普段は楚々とした美少女である彼女だが、一度スイッチが入ると、自分の気になる事が解決するまで周囲を振り回す好奇心の権化と化すのである。「省エネ」主義の奉太郎も、渋々ながら謎の解決に付き合う事になるのだった・・・
はじめ角川スニーカーで出たという経緯が示す通り、小市民シリーズよりライトノベル色が強い作品である。ライトノベル的なキャラクター・背景設定と、ミステリ要素のミックスは作者の得意とするところであり、その手腕が存分に生かされた仕上がりになっている。
全部で200ページ強しかない短い小説で、ライトな調子であるもあり、ちょっとした暇つぶしに手軽に読むのに適した小説である。ただし、あちこちに笑いが散りばめてあるので、笑い上戸の人は思わず噴き出して周囲から変な目で見られないように読む場所を選ぶこと(笑)
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