ORGANIC STONE

私達は地球を構成する生命を持った石に過ぎないのですから。

この豆、大変危険につき注意:危険な逃亡者(1999)

2006-10-26 00:44:05 | 映画:ショーン・ビーン
Extremely Dangerous (1999)

東海地区では今年の春に深夜枠で放送され、全国の豆ファンを悔しがらせたショーン・ビーン版「逃亡者」。東海地区で深夜目を血走らせてTVにかじりついていた豆好きは私だけではありますまい。その後ケーブルテレビでも放映され、ご覧になった方も多いかと思います。また、今度晴れて日本版DVDも出るそうですし。TV用ではありますが、ショーン用に書き下ろしたというファン涙ものの、50分が4回のミニシリーズ。(残念ながら私の持っているアメリカ版は、4本をそのまま一本に繋げてありますので、一本ごとのラストのドキドキ感が薄れてしまっています。また、TV用だからか画質は決して良くありません。)脚本には元SASメンバー(英国の特殊空挺部隊)の監修も行われ、よりリアルな実戦描写を行っています。

←トビラの向こうには何がある?

妻と幼い娘をめっちゃんこ刺して惨殺した罪で服役中の元マフィア幹部、ニール・バーン。刑務所に電車で護送される途中、窓から逃げ出します。ニールは自分の町マンチェスターに戻り、誰が自分を嵌めたのかをつき止めようとするのですが、彼を追うのは警察だけではなく、彼の味方のはずのマフィアも、秘密を知りすぎている彼を殺そうと動き出します。自分は嵌められたのだ、と信じるバーン。しかし状況証拠は彼に不利でした。
バーンは何者なのか?マフィアなのか?第1のパートで早々に彼が囮捜査官だったことが明かされます。しかし、それは彼が無実だという証明にはならず、自分を逮捕した捜査官を問いつめたバーンは、その捜査官に、時として凶悪犯罪者は犯した行為を正当化するあまり自分はやっていないと信じ込んでしまう、と言われます。その言葉に自分で自分に自信が持てなくなり、車の中で嗚咽をもらすシーン、見ているこちらも「もしかしてこの人、犯人?」と思ってしまう上手い演出ですね~。ここで1本目は終わります。

かつての仲間を問いつめ、だんだん核心に追って行くバーン。彼を助けるのはかつての恋人であり、マフィアのボスの娘アニー(ジュリエット・オーブリー)。彼女はマフィアの幹部ナンバーワンの愛人でもありました。彼を追ってマンチェスターに来た、バーンの脱走した田舎町の切れ者警部と以前バーンを逮捕した捜査官の動きが同時進行で進み、彼が列車に忘れて来た本「パタゴニア」の謎もさっぱり解けないまま。時々に妻と娘の思い出や殺人現場のフラッシュバックを交え、最後の最後まで彼は犯人なのか犯人では無いのか明かされません。しかし逃亡中の彼に仕事をくれた無線タクシーの会社オーナーや、家主のおばちゃん等とのやり取りは、見る者にバーンが悪人ではないと思わせるのです。家主のおばちゃんにお昼御飯を誘われて、つかの間人の優しさを感じたと思った次の瞬間、また殺人事件が起こります。犯行現場で俯くバーン。自分と関わった人たちが殺されることの、言い様のない怒りと悲しみを、ショーン・ビーンは背中で演技するのですよ~

←家主のおばちゃんと、野球帽のショーン。一応変装みたいよ。
←いてててっ!ボスに傷を縫ってもらうバーン。拳ぐーで我慢してます。

シリアス且つ重いストーリーに明るさを添えるのが、パキスタン系の無線タクシーの会社オーナー(ニティン・チャンドラ)。バーンの正体に気付いていながら、彼を信用するのです。いつも「イギリスのユーモア」という本を読んでいる哲学者のような彼の言動は、勇気と信念に溢れ、信用できない連中ばかりのなかで一種の清涼剤。このキャラクタが無かったら、この映画は単調なものになったに違い有りません。また、バーンを追う田舎町(ごめんなさい地名聞き取れません。)警部も一見冴えない田舎親父なんですけど、このひとがとても優秀な警部。マンチェスター行き夜行列車に持ち込むのがジョニー・ウオーカー赤ラベルとサンドイッチ。日本でいうならカップ酒とおにぎりですね!

←自動小銃片手に嬉しそうなバーン。後ろにバーンが殺した男の死体が見えますねぇ、まったく危険な男です。

ミステリアスなニール・バーン、ショーン・ビーンの為に書かれたキャラクタだけあって、見せ場がいっぱい。最初からいきなりポニーテールに貧乏揺り、べらんめえ調口調でテンション上がりましたよ~。なにしでかすか判らない危険な男、やっぱりこの人のイメージはこうなのか?しかし、このバーンは危険なだけでは有りません。家族思いで人情に厚く、頭も切れるのです。演技の見せ場も用意され、号泣や乱闘シーン、橋からジャンプしたり、変装したりと盛り沢山。もちろんお約束の全裸も披露(爆)。乱闘シーンはショーンらしい、荒削りで臨場感溢れる演出で、ショーンの動物っぽい凶暴さがよく出ています。ショーンファンは間違い無く必見の一本ですよ!サスペンスとしては、見る者は誰が犯人なのか判らないまま、最後まで緊張感を持たせてストーリーを引っ張って行くことに成功していますが、「なんで金庫そんなに簡単に開くのよ?」とか随分お粗末だなあ・・・って細部が多く、その辺とても残念です。

←どう考えても、ファン大サービスシーン。お、おまけです・・・。スティル・クレイジーにも出ていたジュリエット・オーブリーと。

余談なんですが、バーンが自分の元職場に忍びこむシーンがあります。そのビルのエレベーターに乗るときに、バーンは待っていてくれた女性労働者たちへ「ター」と言うのです。Ta、はアイルランドのありがとうなので、なんで?と思いイギリス人に確認したところ、イングランド北の地方の人は方言としてよく使うとのこと。ショーンの出身ヨークシャーは北ですね。しかし標準語からすると、とっても幼稚な感じに聞こえるとの説明(子供が使う言葉だとか)です。てことは、あんな素敵な兄ちゃんが幼児語を使っているわけで、多分「まあ可愛い」みたいな反応を引き起こす状況なのでしょうか、あのシーン。

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4 コメント

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むふふふふ (豆酢)
2006-10-26 22:35:19
テレビ用のドラマだからねえ…。

ハリソン・フォードの「逃亡者」ローカル版みたいな感じになっちゃいましたねえ。とっかかり、途中経過は悪くないのに、最後の〆が甘かった。プールにざぶーんて沈められてあっぷあっぷしてる間に、ジュリエットちゃんが悪玉をぶっ殺してくれてめでたしめでたしだもんねえ…(遠い目)。

製作者側のショーンのイメージにもう一つ付け加えるとしたら、「ショーンは最終的に女に助けられる」でしょうかしら。
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おほほ、豆5段活用。 (pointdpo)
2006-10-26 23:50:37
豆酢さまこんばんは~



>途中経過は悪くないのに、最後の〆が甘かった。

そうなんですよ、私最初はテレビで見ましたから、最後の回でむっちゃ期待したのですが、ちょっと肩透かし喰らった感もありました。パタゴニアの謎って結局何~とか、うあー壮絶、とか無かったですね。ちょっといろいろ引っぱり過ぎでしたね。



>「ショーンは最終的に女に助けられる」

女と切って切れないイメージですか・・・やっぱりな~って落ちではありましたね。



豆の癖に、ここぞというときにちょろっと舌を出す癖が有りますが、この作品の舌出し頻度は物凄く高いですね~見せ場が多いということでもあるのかな。いろいろ盛り沢山、豆5段活用です。
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こんばんは。 (白くじら)
2006-10-27 00:00:22
こういう作品があったのですね。

ハリソン・フォード版は観たことがあるのですが、これは一度観ておかなければ!



ってTVドラマ4回で…そういう短めのドラマもあったんですね。

DVDはちゃんと4話入っていればいいのですが。50×4だと微妙かな。(^^;
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レンタル出るといいですね~ (pointdpo)
2006-10-27 00:34:22
白くじらさまこんばんは!



>これは一度観ておかなければ!

ええっ、見ていただけるのですか(爆)!

「逃亡者」英国ショーン・ビーン版ですよ。ショーン・ビーンの主役なんて、もしかしてびっくりされたとか?純英国産アクション・サスペンスって珍しいといえば珍しいですね。(英国産の小説は多いのですが。)英国刑事ものは、アメリカものと違って、警察署では絶対ドーナツ食べてないですね~あまり銃撃戦ないですし。おまわりさん拳銃携帯してないですしね、あそこは。



>DVDはちゃんと4話入っていればいいのですが。

御想像とおり、2枚に分けられて別々で出るらしいです。私が持っている輸入版は一枚なんですけどね。
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