たしたりひいたり

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の店主が綴る日々の出来事、コラム

しんちゃん放浪記

2005年06月12日 | たしたりひいたり
しんちゃんと知り合ったのは、当時学生でアルバイトをしていた

名古屋の某百貨店の紳士服売り場である。栄本店にいた友人から

「オマエのいる駅店にシンイチローが異動になった」と聞き、

ふーん、仲良くしたろ、と思ったかどうか定かではないが・・・・・

しかし、仕事はなかなか出来るやつだった。毎月の売上目標は

達成し、クリスティのブーツなんかも履いていて 飲んでも楽しい奴だった。

ある日飲みながらこんな話をしてくれたんですわ。



以前レディスショップに勤めていたが、給料もらった日にいきなり辞めて

友人(某有名芸能人のお兄さんなんです、この人)と二人で沖縄へ旅立った。

放浪の果て持ち金も底をつき始め、

「このままいっしょにいると しまいには金のこととかで喧嘩になってしまうだろう

ひと月後この店で逢うとしよう」と、行きつけになっていた喫茶店を再会の場所とし

別れたそうな(日本昔ばなしやな)

んで、浜のボートの中で寝たりの生活が始まった。

たまたま旅行で来ていた大学生のグループと知り合い、しんちゃんの事情を

知ると食事とか世話をしてくれた。

「オレ、うれしくてさあ、なんかお礼がしたい、けど金はない。そん時 オレ

何したと思う?」

「さあ?」

「夜、スイカ畑に行ってさあ、スイカをね・・・・・」

「ドロボーか?」

「うん、で、 みんなー これ食ってくれッ・・・  てね」

「若いな・・・」

「おう、メチャメチャ若いぜ!」

アホや・・・

マアそんなこともしてられないし、金を稼がねばと思い、運よくみつけたパイン工場で

働きだしたが、そこは台湾から働きにきている人がほとんどで、6畳一間に何人もの

人が寝泊りしているようなところで当然仕事もきつかった。沖縄から船で渡った島なので

帰るに帰れない。内証で船を手配することに成功するとボストンバッグを草むらに隠し

トイレに行くふりをして逃亡した(しんちゃんらしいでえ)

やっとの思いで約束の喫茶店にたどりつくと、友人はその店でアルバイトしていたと。

ドアを開けて顔を出したしんちゃんにビックリしてカキ氷をつくっていた手も

けずってしまったらしい。

いったいどのくらい放浪していたのか・・・沖縄から名古屋までひたすら鈍行を

乗り継いで帰り着いた時の所持金は100円足らずだったとか。

ゴルフの練習場の支配人も経験し、スコアはシングルだし、スキーも上手い。

今はアパレル関連の仕事で自営業。たまに店にもやってくるナーンカ

オモシロイいい奴である。
コメント
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