殺意が芽生えそうになりましたがな

昨日、名古屋駅から乗った電車の車内。ずっと大声で携帯電話かけてる人がいた。たぶんお酒が入っているのだろう。私のすぐ前の座席に斜めになって座り、通路に足を投げ出すような感じで、なんか甘えたような感じで「寂しい、寂しい」と繰り返しておられる。いや、若くてきれいな女子とかなら（車内はいかんけど）それなりに可愛いかもしれないのだが、電話しているのはおじさんだ。（私よりは若い）

車内アナウンスが流れる。
「車内での携帯電話のご利用はご遠慮ください」
その人の様子を観察する。車内アナウンスの効果はまったくない。ア・ハハハハなどと笑って、また甘えたように喋り続ける。

その人のすぐ横の席に静かに本を読んでいる男の人がおられた。明らかに本に意識が集中出来ない様子だ。時々不快そうな表情で隣にちらっと目をやられるのだが、何の効果もない。その携帯男（省略しすぎか）をはさんで反対側の席に座っている男の人は、携帯は手にしておられるのだがメールの確認か何かのようで、やはり時々ちらっと隣を見ておられる。

携帯男の会話は続く。５分経過。よく聞いていると、どうも社内の実情を実名入りで誰かに話しておられるのだが、この電車の中に仕事関係者が１人もいないということを確認せんでええのか。というか、そんなことどうでもいいから、はよ電話切れよ。

本を読んでいる男の人がため息をつきながら顔を上げられ、私と何度も目が合ってしまう。携帯メールの確認をしていた男の人のさらに隣の席の男の人が、座席を移動。車両移動かと思ったら、私の側の座席に移って携帯男の観察を始められた。

その観察している男の人の私をはさんで反対側の席に座っている女の人たちは、はじめは何か話しておられたのだが、途中からずっと固まったままだ。わかるけど。何というのか、マナー違反をやっているのは自分たちではないのに、何だかものすごくものすご～く恥ずかしい気持ちがする。

はじめはチラチラ遠慮がちに見ていた私だが、もう１人観察者もいることなので、ずっと視線をその携帯男の携帯と顔の間あたりに固定。携帯男は身体をほぼ真横にひねってまだ会話を続行中だ。と、
「そろそろ切るわ」と言う。
瞬間、周囲にほっとした空気が流れる。

何しろ７分くらいずっと、○○さんが禁止令を出してどーのこーのだの、みんな帰っちゃって寂しいだの、自分は社内では迷惑に関して気にしている（社内はいいから車内の迷惑を何とかしてくれ）だの、大声で強制的に聞かされ続けているのだ。

だがしかし、油断は出来ないぞと思い、観察を続行。だってその電話を切った直後に携帯男は携帯をしまいもせずに、まだなんかやっているのだ。メールか？　メールにしろ。メールにしてくれ。頼むから。

だが、懇願むなしく、携帯男はまたどこかに電話をしたのであった。
「あ、△△ちゃん。今、××ちゃんにも電話してたんだわ」
本を読んでいた男の人がビクッとされる。するよなあ、当然。

で、さっきの会話が再び繰り返される。みんな帰っちゃって寂しい。寂しい寂しいと繰り返し、まわりじゅうにうるさいうるさいと殺意を芽生えさせつつ、携帯男は携帯を手に喋りながら電車を降りた。私の１０分を返してください。