避難勧告を出すべき水位に到達したのに避難勧告を出さない、出せない自治体と言うのはそれなりの数が日本の中に存在している様です。
そうしてまた飯山市もそうした自治体の一つであります。
さてそこで暮らす住民にしてみれば、「避難勧告の空振り」は望ましくはありませんが、「千曲川の水位を理解していない為に空振りすらできない」というのはもっと望ましくないのです。
「避難勧告を出すべき時に出せない」というのは「無用のリスクに住民をさらす事」になるからです。
そうであれば、当方のスタンスと言うものは「空振りを恐れずに危険を知らせる」と言うものになります。
1、立ヶ花水位から飯山水位観測所及び柏尾橋水位観測所での水位を予測する事について
立ヶ花水位観測所の水位の観測値を用いて上記2つの水位観測所の水位を予測する事は技術的には可能な事であり、そうしてまたそれなりの精度で実現できるのである。
そのやり方のポイントは、といえば「時系列に並べた2つの水位グラフを比較する事」にある。
そうする事によって「予測したい地点の水位を立ヶ花の水位から事前に予測する事が出来る」のである。
もっともこの事を実現するに当たっては一時間に一回の測定データからは不可能であって、10分に一回の測定データを使う必要がある。
2、今回氾濫を確認できた場所については予測水位による予報を行う事
(1)静間バイパス沿い、無堤防エリアについて
飯山観測所の予測水位値から千曲川河床勾配による補正により大久保区周辺およびケーヨーD2あたりの危険を予測する。(注1)
(2)関沢区の無堤防エリアについても同上とする。(注2)
(3)戸狩区、大深区、今井区川面(無堤防エリア)、桑名川区については柏尾橋観測所の予測水位値から危険を予測する。(注3)
3、予測水位を使わない場合の対応について
(1)秋津地区
「古牧排水樋管」および「千曲川左岸38.5K」の水位計を使う。
特に「千曲川左岸38.5K」の水位計が「危険水位」に到達した場合は速やかに避難準備に取り掛かり避難するのが良い。
(2)伍位野地区
この場所も無堤防部である為「千曲川左岸38.5K」および「千曲川右岸36.0K」の水位計の数値を標高値に換算し、各自が暮らしている場所の標高と比較し必要な行動をとる事。
(3)飯山市街地および木島地区
「千曲川右岸36.0K」の水位計の値を確認し「危険水位」に到達した場合は速やかに避難準備に取り掛かり避難するのが良い。
但しその場合に飯山水位観測所でのピーク値の予想値があるならば、判断の参考にする事も可能である。
(4)常盤地区
「大関橋左岸」の水位計を中心に「飯山観測所」および「広井川樋門」の水位計を補助的につかう。
「大関橋左岸」の水位計を確認し「危険水位」に到達した場合は速やかに避難準備に取り掛かり避難するのが良い。
但しその場合に飯山水位観測所および柏尾橋観測所でのピーク値の予想値があるならば、判断の参考にする事も可能である。
4、飯山市の避難勧告との関係
飯山市が発令する避難勧告が上記の水位計のアラームよりも早い場合は、飯山市の判断を優先するのが良い。
但し、飯山市の避難勧告が水位計のアラームよりも遅い場合は、水位計の指示に従うべきである。
「飯山市の避難勧告が出ていないから」といって避難をためらう意味はどこにもない。
現状と言うものは誰もが経験したことがない降水量、千曲川の増水が起こりうる温暖化時代である、という事を忘れてはいけない。(2020/8/17 記)
注1:大久保区の静間バイパスの道路標高は319.4mを代表値とする。
それを超えた場合は「道路を水が渡る」という事になる。河床勾配分は飯山観測所に対して+3.4m。
同様にケーヨーD2あたりの標高は318.8mを代表値とする。
その値を超えると、その場所に浸水が始まる。河床勾配分は飯山観測所に対して+2.8m。
ちなみに飯山観測所あたりの堤防の標高は公称319.1mである。
注2:関沢区の無堤防エリアの標高は313.0mを代表値とする。河床勾配分は飯山観測所に対してー4.8m。
注3:今井区川面(無堤防エリア)の標高は311.5mを代表値とする。河床勾配分は柏尾橋観測所に対してー1.0m。
追記(8/31): 河川事務所の水位ピーク予測力の件
立ヶ花でのピークはほぼ1時間前に誤差+45センチ程度で予測できている模様。
【警戒レベル5相当情報[洪水]】千曲川では、氾濫が発生(令和元年 10 月 13 日 02 時 58 分
【警戒レベル5相当情報[洪水]】千曲川では、氾濫が発生(令和元年 10 月 13 日 03 時 25 分)
但し予測するのは立ヶ花までであって、柏尾橋を予測する事はない。そうしてこれは飯山にとっては致命的な事である。