シリウス日記

そうだ、本当のことを言おう。

その13・飯山市の皿川氾濫に見る問題点の検討

2019-12-31 09:45:25 | 日記
さてまた河川事務所の回答から始めましょう。

『皿川樋門
出水時操作 操作人数2名
操作の開始 10月12日20時55分
操作の終了 10月13日22時20分
操作時の気象・水象情報  10月12日雨 10月13日くもり 
開始時 外水位 3・05m  内水位3・19m
終了時 外水位 4・61m  内水位4・74m
退避時の状況 外水位6・23m  内水位6・43m
退避指示日時 10月13日  1時29分
退避開始日時 10月13日  1時30分
退避完了日時 10月13日 1時44分
再出動日時  10月13日 14時
特例操作の理由 台風19号による出水
操作の際に行った通知の状況 飯山市役所および樋門周辺区の区長へ連絡
ゲートの操作状況等 10月13日1時44分 1号ゲート・2号ゲート閉操作
          外水位 6・23m 内水位 6・43m 
10月13日15時30分 1号ゲート・2号ゲート開操作
          外水位 6・38m 内水位 6・40m 
なお、令和1年10月28日報告   報告受理年月日 令和1年11月 1日』

ゲート操作完了日が13日で報告書提出が28日、2週間も報告書作成に時間が必要だった、などという事はこの簡単な報告書を見る限り考えられません。

さて2名の樋門操作員は13日の14時に皿川樋門に再出勤しました。
その時に樋門前の堤防では少なくとも1台の排水ポンプ車が皿川の水を千曲川に堤防越しに排水していました。

そうであれば、従来からの当方の主張通り排水作業担当者とこの樋門操作員は挨拶を交わし、それから一緒に仕事をした事でしょう。
断っておきますが、当方の主張は「そのような樋門操作員は実在しない」というものでありますが、それではお話が続きませんので、ここでは一応河川事務所の主張を「仮定として」認めておきます。

さてこの樋門操作員は千曲川の水位と皿川の水位測定に余念がありません。
何故かと言いますと「樋門操作マニュアル」には「皿川の水位が千曲川の水位よりも高くなって、皿川の水が千曲川へと自然流下する事」が閉じたゲートを再び持ち上げる事の条件として書かれているからです。

そうであれば、千曲川の水位と皿川の水位をそれぞれの水位標を使って目視観測し数値を記録していきます。
そうして「ぼちぼちいいだろう」と判断したのが15時30分で、外水位 6・38m 内水位 6・40mと観測された後です。

ちなみに流れる水の水位を水位標から離れた位置からそれを使って目視観測するのはそれほどたやすい事ではなく、双眼鏡の様な補助器具が必要です。
そうして、そのような器具を使っても数センチの読み取り誤差は水面が波立っている為にどうしても発生します。

しかしこの樋門操作員は相当に優秀らしく2センチの内外水位差でもって樋門を開きました。
そうして2センチの内外水位差では確かに逆流は発生しないように計算上は見えますね。

ですからここでは仮に「皿川から千曲川に水が流れた事」にしておきましょう。
しかしながら「2センチの水位差」ではなんというゆっくりな排出量でしょうか。

それぐらいならば、樋門を閉じたまま排水ポンプで排水を継続した方がましです。
まあしかし、この時の皿川水位が堤防決壊場所の高さを下回っていればそれでもいいでしょう。

しかし本当にこの時には皿川からの流出が止まっていたのでしょうか?
もし流出が止まっていないにもかかわらず、この時点でゲートを持ち上げて排水ポンプ車による排水を止めた、とするならば、それは重大な判断ミスを犯している事になります。

さて事実はどうでしょうか?

・15時02分撮影の皿川の状況
写真をクリックすると拡大表示できます。
そして次の写真と比較すると皿川の水位と流出している水の水位が下がっていることが確認できます。

・6時ころの皿川の状況
対岸の道路の標高は地図から318.0mとなります。
ガードレール高さ分ほどの寸法で道路面より下に水面がありますので、水面標高は317.3mとなります。

一方で15時の写真の標高水位は316.3mと読み取れます。
そうして決壊場所の外側の標高は316.0mですから、その時に流れ出している水の厚さは30センチという事になります。

さて朝の6時から午後3時まで9時間の排水で水位は317.3mから316.3mに1m下げる事ができました。

ここで河川事務所の報告に戻ります。
10月13日15時30分 1号ゲート・2号ゲート開操作
          外水位 6・38m 内水位 6・40m

水位標の0mが308.7mでしたから河川事務所は15時30分の標高水位を315.1mであったとしています。

そうしますと15時に316.3mであった水位がわずか30分で1.2mも下がったという事になります。
しかし実際は9時間で1mしか下げれなかったのですから、30分では5.5センチしか下げる事はできません。

そうして5.5センチ下げただけではまだ皿川から水は外側に、市街地に向けて流出していたというになります。

さてその時点での河川事務所の判断は「ゲートを開いて、わずか2センチの水位差で皿川の水を千曲川に流しだす、その一方で決壊場所からは25センチの水位差で皿川からの泥水を市街地に流しだしていた」という「とんでもない判断であった」という事になります。

以上が「15時30分にゲートを上げて皿川樋門を再び開けた」と主張している千曲川河川事務所の報告の実態になります。
もしこの報告が事実である、とするならば河川事務所はここでもまた判断ミスを犯していた、という事になります。

さて事実は、といいますとゲートは開けっ放しであって15時30分の皿川の標高水位は316.25mとなります。
それを水位標を使って読み取りますと7.55mとなります。

こうして、ゲートをふたたび開いた時の内水位として報告している水位値6・40mも水位標を使った目視測定値ではなく、机を前にした単なる計算値、おまけにそれは千曲川河川事務所が計算ミスをした値であったという事が分かってしまうのであります。


さてここでもう一つの問題点を指摘しておきましょう。
それは皿川での排水ポンプ車の活動記録詳細が公開されていない、という事です。

唯一報告されているのは
『5:30 皿川で千曲川河川事務所の排水ポンプ車1台が稼働。』
だけです。
それで2台目はいつから動いたのか?

3台目が稼働したのはいつからか?
それら排水ポンプ車が皿川での排水作業を終了したのはいつなのか?

そういう事一切が飯山市によって隠ぺいされており公表されていません。

但し、今回の河川事務所の報告の中で、「ゲートを開いた時刻15時30分」を信用するならば、その時刻をもって排水ポンプ車の皿川での排水活動は終了したことになります。
理由は「ゲートが開かれた状態で排水ポンプ車を稼働させても無意味だから」であります。

追伸
皿川樋門前の堤防で排水作業を行っていた排水ポンプ担当者は奇妙な光景を目撃したことになります。
それは樋門操作員が現れた気配もないのに、樋門操作室のドアが開けられた気配もないのに、知らない間にゲートが上にあがっている、という景色を見る事になるからです。

そうして排水作業を続けながら「確かにゲートは上がっているな」と確実に確認できた時点で排水作業をやめたものと思われます。
理由は上述した通りです。

そうしてその時刻が15時30分ごろであった、というのは十分に納得ができる話となります。
というよりも、ゲートが開いている事の確認は12時には可能であった事でしょう。
そうしてまた・15時02分撮影の皿川の状況の写真を撮影した方の状況から推察いたしますと、すでに15時02分には皿川樋門前にいた排水ポンプ車は排水作業を終えてその場所を立ち去った後である、という事が分かるのです。

従ってこの事もまた「15時30分にゲートを持ち上げ、排水作業はその時点で終了した」と主張している「河川事務所の報告が作文であるという事の傍証」となります。

追伸
この話の続きは「その25-5」になります。

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