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plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

独特の音色と叩き具合

2008年11月10日 | 音楽
以前にもこのブログで書いたが、どんな楽器でも長年演奏していると音色への感性は変わる。そうなのだけれどもし初めて所有した楽器が自分にとって大当たりだったら、後々嫌いになろうが何だろうがその音色は生涯忘れないだろう。個人的には音色だけでなく叩き具合、或は弾き具合、もしくは吹き具合がよろしく、見た目も最高とまでは行かなくても嫌いなところは無し、という要素全てを満たした楽器だけががその人にとっての大当たりだと思っている。

先日、その大当たりが一台ふと目の前に現れたので即決購入。Ludwig社製で1970年代後半に作られたsupra phonic というスネアドラム。フォルテでの軽くスカァーン!と抜ける乾いた音と、ピアニッシモでの、ピッタリハッキリ反応するスネア(共鳴側にあるコイル状の針金の束)の音を聴いて、高校時代に生まれて初めて買ったドラム=Ludwigの80年代製スネアドラム、の音が耳の中で瞬時に甦った。胴体の深さが1インチ半短いことを除けば材質、口径、形状が同じなので音色が酷似しているのは当然だろう。

これからしばらく不景気が続きそうだっていう時に特別破格でもなかったものを即決で買うことは無かったかもしれない。それにこのドラムはそれほど希少価値があるものでもないし、Ludwigのカタログ上最高級な訳でもない。しかし音色と叩きやすさの基準は僕自身の耳と手なのである。客観的に良いかどうかは関係ない。以前から幾度となくこの音色を持つドラムを求めて、現在出回っている同モデルをドラム屋で試奏してきた。しかしどれもこれも音色も叩き具合もまるで違って叩き辛かった。今手元にあるドラムは叩き易く音が良く鳴る。もしこれをネットショッピングで買っていたら現物を手に取るまで判らない部分があるけれど、現物を自分の目と耳と両手で試奏して決めたのだから、自分は買うべくして買ったのだと思っている。