plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

ようやくスムーズになった音源編集

2006年03月30日 | 音楽
去年の夏、フラッシュメモリーに直接録音できる内蔵マイク付きレコーダーR-1を購入した。以来、リーダーバンドでの演奏をほぼ毎週録音している。

R-1を使い始めて最初の頃は、音質が高いWAVEファイルで録音していたが、なにせ容量がmp3の10倍くらいなので、フラッシュメモリーが幾らあっても足りゃぁしない。64MBしかない付属メモリーではどうにも使えないので、さらに$160ほどはたいて2GBのメモリーを購入。

それまで使っていたMDだと、単純に音源をコンピューターに取り込むだけで随分時間がかかった。自分の演奏を聴くだけならコンピューターに取り込まないで済むが、ウェブサイトも含めプロモーション用にはデジタルファイルが良い。

毎週編集作業をしなくても音源はR-1に保存できるので、最近はmp3で録音している。またフリーウェアのAudacity という簡易エディターのおかげで、以前は編集できなかったmp3も簡単にすばやく編集できるので、能率が上がり、とても楽になった。

R-1で録音された音源は、家庭用のオーディオでは同じように聴こえる。ただ特定の音域で露骨に違う時があるけれど、これはR-1にある多様なエフェクト類の一つ、「マイク設定」で最適の種類を選ぶことで、かなり解消された。個人的にはハイハットシンバルの音が、まるでホームビデオで録音したものをストリーム用にメチャクチャ容量を軽くしたもののように聴こえるのがイタいけれど・・・。

もっとR-1を使いこなしたい。そしてWAVEファイルで録音し、そのままライブCDにできるくらいの音質を作りたい。将来自分にでも充分使え、それなりの編集ができるソフトウェアを手に入れるべきだろう。Audacityはそれまでのステップとしてありがたく付き合いたい。

地下鉄車内での音と言葉

2006年03月29日 | 音楽
昨日夕方に乗った地下鉄車内でのこと。

駅に止まる度に車両を渡り歩く人が多い。そんな中のアルトサックス吹きが、僕の居た地下鉄車両に現れた。50歳は超えていると思われるそのおっさんは、サックスを構え、背中にサックスケースとバックパックを背負っていた。髪には造花を幾つか絡め付け、頭上からはまるで角のようにビヨヨ~ンと揺れるバネが2本突き出ている。本人の画像が無いのが残念だが、愉快な格好ではあった。けれどおっさんからなんかムカついてる、という強力なオーラが出ていたので笑えない。

間もなくおっさんは周囲の人達に何かを喋り始めた。どうも自分は宇宙からの使者で、皆さんにメッセージがある、みたいなことを言っていた。当たり前だが説得力ゼロ。そして「ボヘーー!」「フギャーー!」という擬音がとっても似合うフリージャズもどきを吹き始めた。orz まぁありがちな展開なのだけど。

一つ一つの音は、それなりにアルトサックスの音をしていた。自分でも物好きだなと思いつつ(笑)更に聴いていると、ホゲ~~!の間にスタンダードのメロディがちらっと聴こえた。一応ジャズのサックス吹きなんだね。ひょっとしたらその昔はアバンギャルドジャズでは有名なサン・ラ・アーケストラで吹いていたかも知れない。でも地下鉄でいきなりこれを聴かされてもなぁ、等と考えてしまった。生演奏にはコミュニケーションも含まれているから、全く聴く態勢でない相手に演奏するのは、とても無理がある。何か押し付けがましくもある。

そして次の車両に移る直前のおっさんの捨て台詞で、決定的にシラケた。誰からもチップをゲットできなかった彼は、ふて腐れながら言った。"I don't need nothing from you monkeys. Y'all are apes!" ・・・俺らは猿か・・・あ~ぁ、つまらんものを見聴きしちゃったなぁという感じだった。こういう出来事はニューヨークならでは、かな?

ジャズライブ+トーク (photo by Yutaka Takiura)

2006年03月24日 | 音楽
先日の火曜日、いつものジャズライブに加え、ジャズのよもやま話をすることになった。随分前から、ジャズに興味はあるがどのCDが良いのか、またはどのライブに足を運んだら良いか?という質問を色々な人から頂いた。しかしながら、仕事中の僕は演奏が気になっていて、あまり「お話し」モードになっていない。演奏直後の「どんなジャズCDがお勧めか?」という質問にその場ではうまく答えられず、後になって後悔することが度々あった。

そんな折、僕が日本で卒業した学校のNYでの同窓会から、ライブをしながらジャズについて歓談するという企画が持ち上がり、僭越ながらその当事者になった。いつものライブだけでもそれなりに気合いが要るのに、さらに20人近くの人にお話しするというのは大変だ、と自覚していたので、事前にプリントを作成。個人的偏見と独断が色濃く反映された内容だけれど、多忙な人にもサクッと目を通してもらえるページ数に、価値ある情報=チェックすべきジャズCDやジャズライブ、折角NYにいるのだから是非聴いて欲しいミュージシャン、等のことは盛り込めたと思う。聴きに来て下さった方々、ありがとうございました。

この日の僕のバンドメンバーは、ピアノに米沢恵美さん、ベースに奈良岡典篤君。NYなのに全員日本人のトリオだけど、これには事情がありまして…。卓越した音楽性と信頼できる人柄を持つ人にこのギグをお願いした、というのはいつも通り。今回はしかし、店の了承の上日本語でトークをしたので、この場で演奏する人が僕の言っていることを理解していない、という状況を避けたかった。

実際この日の演奏は、楽しかった。米沢さんも奈良岡君も「アメリカに住んでいる」素晴らしいミュージシャンです。米沢さんはアーサーズタバーンの打ちひしがれたアップライトピアノを文句も言わず弾いて下さる。カーネギーホールのグランドピアノを弾いた彼女にこのようなボロピアノを弾いてもらうのは確かに心苦しい。でも米沢さんが弾くと、このオンボロピアノからとても良い音が出る。彼女の音楽レベルだと、本人さえ納得すればどんな音でも自分の音楽を表現できる。奈良岡君は、数年ニューオリンズで活躍した後、ごく最近ニューヨークに移住した。エレクトリックベースもメチャウマだそうなので、今度はそちらでお願いしたい。お二人とも、どうもありがとう。

演奏し続けること以外にも、ミュージシャンがしなければいけないことは色々ある。反社会的な振る舞いをしない、というお決まりのネタはさておき(苦笑)、自分が取り組んでいる音楽を、演奏会ではない場でも紹介するというのは大事なのではないか。ワークショップ、トークライブ、対談、座談会……。名目をつけると何となくかしこまってしまうが、世間話よりはもう少しテーマを決めた話をする場で、ミュージシャンは音楽とその周辺の話をどんどんすべきだ。音楽談義でなくても良い。切り口は何でも良い。例えば、クラシックの音楽会での「ブラボー!」は沢山の人が知っているけれど、ジャズライブでアドリブが終わる度に拍手して良いというのは意外と知らない人が多いから、その辺を上手く、嫌み無く伝えていく等。…なんて書いている僕は日本人だけど、歌舞伎での合いの手の打ち方とか、寄席での振る舞いなんてまるで知らない。う~ん、困った。

ミュージシャンの中には、音楽を「教える」ことに抵抗を感じる人がいる。そういう人にとって音楽というのは、一人一人が自発的に聴くなり演奏するするものだからかもしれない。

例えば、一人のマジシャンがもっと沢山の人にマジックを好きになってもらおうとした、としよう。そしてマジックショーをやる以外に何かしようと思ったとする。マジックをしたい人にはマジックを教える。その時は当然タネ明かしをしなければならない。でも幾ら沢山の人がマジックが好きになれば、て言ったって皆がマジシャンになってしまったら……言わずもがな。

音楽とマジックは違う。でもどちらも、今の自分にはハッキリ分からないものを楽しむ遊びだ。確かに音楽のイロハを逐一教えたら興醒めだ。では、聴き手にもっと聴きたいと思わせたり、聴く人としてもっと自信を持ってもらうことはできないだろうか?

僕はミュージシャンだったらきっとできると思う。

11月のメンバー

2006年03月17日 | 音楽
昨年11月に東京で共演したミュージシャンを紹介します。

この日のステージは江古田にあるバディというお店。ステージも店内もゆったりとしたスペースがある所です。

サックス奏者、臼庭潤。僕と同学年の彼とは、学生時代に知り合い、もう15年以上の付き合いになります。去年はお互いに東京ーニューヨークを往復して、それぞれの街で演奏できました。これからも定期的に共演していきたいと思ってます。

トロンボーン奏者、佐野聡。彼とも学生時代に知り合いました。今、日本で有数のトロンボーン奏者、作曲家、アレンジャーとして大活躍。この日のステージでは、長年に渡ってステージを共にしてきたサックスの臼庭との演奏はもちろん、ステージトークまで息の合ったところを見せてくれました。



オルガン奏者、須川光。この時の一連のライブで初めて共演しました。長年、ピアノやオルガン奏者としてだけでなく、ピアノ講師として後進の指導も続けている方です。

ギター奏者、高瀬賢二。彼ともこの時が初共演でした。演奏に勢いがあり、ギターを弾くのをとても楽しんでいるのが、共演した僕にストレートに伝わってきました。

電話が鳴り続ける日

2006年03月09日 | 音楽
久しぶりのブログ更新になってしまいました。毎週火曜日は自分のリーダーバンドのライブをやっている。ここ数週間は自然な成り行きで固定メンバーでやっていたのだけれど、ベーシストのマイルス君が今月はできなくなってしまった。

昨日は代わりのベーシストを迎えるはずだったが、その彼も前日に断れないレコーディングが入ってしまい、できなくなってしまった。そんな訳で、昨日は朝からベーシストの知り合いに片っ端から電話したが、誰一人見つからなかった。まぁ、当日に電話している訳なのでしょうがないけど。会ったことも演奏した事も無いベーシスト数人にも電話したが、ダメだった。

結局ピアニストのソーン君がオルガンキーボードを弾き、サックスプレイヤーを迎えることになった。ソーン君は昨日デンマークから帰って来たばかり。オルガンを弾くのは数ヶ月振りということで最初は音作りに苦労していたが、バンドの演奏としては充分楽しめるものになった。お客さんの反応も良かった。普段は弾かないオルガンに対する良い意味での緊張感が、僕とサックスプレイヤーに伝わっていたのかも知れない。

昨日は「電話が電話を呼ぶ」日だった。何人ものベーシストに電話したので当然彼らからの返事だけでも結構な件数になるが、それに加えて、普段滅多に電話してこない知り合いからや、「今日もいつもの店で演奏するのか?」という問い合わせの電話が掛かってきた。