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plainriver music: yuichi hirakawa, drummer in new york city

ニューヨークで暮らすドラマー、Yuichi Hirakawaのブログ

メールを出す処

2006年04月28日 | ニューヨークあれこれ
先日久しぶりに郵便局へ。最後に手紙を郵便で出したのはいつだったろう。スラングでsnail mailって呼ばれてる。利用する側としては郵便局入り口から窓口に辿り着くまで、こっちがカタツムリになった錯覚に陥るんだけどな。それはいつどこの郵便局に行っても長蛇の列だから。余程のことが無い限り行くのを避けるのが人情ってもの。ところがこの日、買い物帰りに覗いた郵便局で驚きが二つ。

まずは3人ほどしか並んで居なかった。そして営業時間が伸びていた。
今までず~っと5時で閉まった郵便局だが、最近は7時まで開いているようだ。という訳で一度家に戻り、すかさず宛先をカタツムリが這いずり廻った後のような字で書いて、郵便局にトンボ返りしました。

たった2時間の違いだけど、夜型の生活をしている身としてはラッキー。そういえば銀行も遅くまで窓口を開けるようになった。毎日じゃないけど。

日本の郵便局や銀行は近頃何時まで開いていますか?

変わりものシンバル

2006年04月24日 | 音楽
今日の画像は一昨年手に入れたクラッシュ・シンバル。ご覧のとおり穴が6つも空いている。普通はありません。もう、通常のクラッシュを数回踏みつけてさらにクラッシュしたみたいな音が出ます。最近めっきり穴が増えたオゾン層にちなんでか、名前は"O-zone crash"。う~ん、全然笑えない。ガソリンはまだ値上がりしているし・・・。

名ジャズドラマー、ルイス・ナッシュが使っているのを聴いて惹かれて1年程過ぎたある日、ニューヨーク郊外のドラムショップで「Buy one, get another for free!」というなんとも素晴らしいセールが敢行されていた。速攻で友人に車で連れて行ってもらいました。一曲中あまり頻繁に聴きたい音ではない。でもツボにハマるところに叩くと曲の流れにメリハリをつけられる。

似たような効果を出すチャイナ・シンバル(別名スウィッシュ, swish)は昔からあったが、それは文字通り中国の銅鑼そのものの音なので、他のシンバルとの音の混ざり具合が個人的にしっくりこなかった。チャイナ・シンバルは縁が反り返っている。

そして先日、行きつけのドラムショップで面白いシンバルを見つけた。それはライドシンバルに同じような穴を空けてしまったシンバルだった。さすがに全方向に6つは無く、半分に3つだけ穴があった。音粒はハッキリ出るが音キャラはオゾン・クラッシュ、という感じ。またしばらくこのシンバルのことを想い続けるのだろうか?先日シブいドラマーは1枚のシンバルから7色の音を出す、みたいなことを書いたばかりだけど・・。

乗る?壊す?高帽子?

2006年04月21日 | 音楽
ドラムセットのシンバルには3種類ある。リズムを刻むライド(ride)、ジャーン!とアクセントをつけるクラッシュ (crash)、2枚1組のシンバルを片足とスティックでリズムを刻むハイハット(hi-hat)。

ジャズドラマーは他のジャンルのドラマーよりもライド・シンバルでリズムキープすることが多いので、様々な音色をライドから出せれば様々な曲想に対応できる。シンバルによってはライドにもクラッシュにもなる。ライドとして使うには音の粒=打音がハッキリしたものが叩き易い。

ではライドやクラッシュの数は多ければ多い程良いの?というと、そうでもない。まず、そんなに沢山の違うサウンドを1曲に盛り込んだらまとまりが失せる。それにシブいドラマーだったら叩く時のスティックの角度、叩く場所や強さによって1枚のシンバルでも色々な音を出してしまう。

クラッシュとしては縁を叩いた直後の音の立ち上がりが早く、ある程度余韻があるものが良い。大まかに音の高さでいうと、高い方からハイハット、クラッシュ、ライド、となる。最近ではクラッシュを2枚使ってハイハットにするドラマーも良く見かける。従来のハイハットでは得にくい、低くて大きな音が欲しいのだろう。

何故ハイハットと呼ぶか?
昔は足で演奏するからソック(sock)・シンバルと呼ばれていた。20世紀初頭ニューオリンズの鼓笛隊が行進せずに演奏する機会が多くなった頃、今のドラムセットの原型が出来上がる。それまで大太鼓(ベースドラム)、小太鼓(スネアドラム)、シンバル(2枚を両手でガツーンとやるあれですね)を3人で分担して演奏していたが、二つの発明品でもって一人でこなすドラマーがあちこちに現れる。

その二つの発明品とは、ベースドラムを片足で叩くフットペダルと、もう片方の足でシンバルをガツーンとさせるスタンドだ。当時まだシンバルをスティックで叩くドラマーは殆どいないので、足下の直ぐ上で動かせるだけの背の低いスタンドを使っていた。

今のハイハットになったのは第一次世界大戦後と言われている。その頃シカゴやニューヨークなどの大都会では、ダンスホールなどでの演奏が真っ盛り。大きくて騒がしい会場では、それまでリズムキープの高音部分の要だったスネア・ドラムよりシンバルのほうが良く音が通ったので、ドラマー達は次第にスティックでシンバルを演奏するようになる。そして第二次世界大戦後、ビバップジャズが誕生。その時ドラムビートの核はスティックで叩かれるライドシンバルになる。

基本的にはライドとクラッシュ1枚ずつとハイハットが1ペアあれば、9割近くのギグはこなせる。後はドラマーの腕次第。もちろんその「腕」にはさらにどんなシンバルを加えるか、というセンスも含まれる。

ジョニ・ミッチェルの歌

2006年04月18日 | 音楽
”Hejira”という、1976年にジョニ・ミッチェルが発表したアルバムを何年振りかに聴いた。収録されている多くの曲とバックミュージシャンが”Shadows and Light”というライブアルバムと重なっている。こちらはジャズ好きには有名な一枚。この時だけ実現した豪華ジャズマン勢揃い、なのだ。サックスにマイケル・ブレッカー、ギターにパット・メセニー、ドラムにドン・アライアス(ごく最近故人になった)、ベースにジャコ・パストリアス、キーボードにライル・メイズ。

今回この"Shadows and Light”のスタジオ盤とも言える”Hejira”を聴いて、ジョニ・ミッチェルの声って一体何歳なんだ?なんて思った。年齢不詳というか、幼女、三十路過ぎ、そして孫までいそうな歳の女性とが、交互に歌っているというか・・・。いま、音楽そのものについて語る難しさと虚しさを感じながら書いています。(苦笑)アルバムは全曲彼女のオリジナル。その作りはメロディーと喋りの間みたいな歌にジャズのハーモニーを取り入れ、独特の雰囲気を持っている。彼女は上記以外にもトップレベルのジャズミュージシャンと共演してきた。その中でもベーシストのチャールズ・ミンガスとの交流は特別だったようで、彼が亡くなった1979年に「ミンガス」というアルバムを発表している。

特にファンではないけれど、MTVやVH-1は勿論音楽に関する番組を注意して見ると、彼女がここ数十年のアメリカ文化史上で無視できない人物だということがわかる。1970年Isle of Wight Festivalでの出来事、"Shadows and Light"を含む70年代終わりのコンサートツアー、1995年ローリングストーンズ誌の特集記事、数年前友人がオークションで落札した彼女の油絵の自画像・・(絵にも精通しているそうで、ジョージア・オキーフとも交流があった)。断片的な情報を基にあれこれ書いたけれど、アメリカのポピュラー音楽史を語る上でこの人は外せないでしょう。歌い方、曲風で彼女の影響を受けた人の数は計り知れない。

ポール・モシアンのドラムの音

2006年04月17日 | 音楽
先週の日曜日、ポール・モシアン率いるカルテットを聴きにビレッジバンガードへ。かつてのビル・エヴァンスのドラマーでもあり、1960年代はニューヨークの、それ以降現在までは世界のジャズシーンで活躍するモシアンさん(日本語ではモチアンで通っている)、もう70歳半ばになるそうだ。しかしドラミングには何の衰えもない。

彼のカルテットはトリオ2000+1という。あくまでピアノ、ベース、ドラムのトリオがバンドの核だということだろうか。昨年同じバンドを同じビレッジバンガードで聴いた時はテナーサックスのクリス・ポッターだったが、今回はアルトサックスのグレッグ・オズビーだった。

バンドからは、緊張感と以心伝心がひしひしと伝わってきた。言うまでもなくジャズは様々な国籍や世代のミュージシャンによって演奏されてきた。この日のカルテットは全員がそれぞれ違うスタイルを極めた人達だ。その4人が奏でる音には衝突は無い。ただひたすら一曲一曲を形付けるのにベストなパートを、一人一人が澱み無く奏でていた。セットの構成はモシアン作曲が2つ、セロニアス・モンク作曲も2つ、スタンダードが1つ、だったと思う。

モシアンのドラムサウンドには際立つ特徴がある。その中でよく取り沙汰されるのが、シンバルワークとスネアドラムサウンド。彼はシンバルで同じパターンを同じ音色で何十回も続けて叩かない。そして同じシンバルの叩く場所や角度を変えて音色を変化させる。そのビートはいつもスウィングする。スネアドラムの皮はそれほどキツく絞めてはいないので、ピッチは高く無い。でもドラムの皮を押さえている枠=フープと皮の端っこを同時に叩く時、「スコーン!」という甲高い音が出る。

昨年9月のインタビュー記事でも紹介されているように、彼の音色は何世紀もの間中近東で演奏されてきたハンドドラム=フレームドラムframe drumの音と無縁ではない。

フレームドラムは世界中に多種あるけれど、大まかに言うと浅い胴体に一枚皮が張ってある寿司桶のような形。上の画像にあるブラジルのパンディエロのように中近東のものは皮を押さえるのにフープはあまり使わないが、基本的にこういう感じ。大きなものは膝の上に立て、片手で上から押さえながら叩く。一枚の皮で高音、中音、低音を叩き分ける。音色は皮の上のどこをどう叩くかで変わる。例えば皮の中心から端のおよそ真ん中辺りを親指の横で弾くように叩くと余韻のある低音が、指先で端を弾くと甲高い高音が、という具合。それぞれの余韻を短くするには叩いた指を皮に触れたままにする。指やバチで叩いたり、ブラシで擦ったりする。

確かにモシアンの音は独特だ。そしてどんなに不規則なことを叩いても、どれほどジャズドラムらしくない音色を奏でても、彼の音楽はジャズだ。モシアンのドラムビートがスウィングしまくるから。彼のジャズビートへの造詣は1940年代から今に伝わるビバップよりもっと以前のジャズにまで遡る。スティックで叩くようなフレーズをブラシでやったり、彼独自の楽器上の場所や角度で叩くから、昔のドラムビートがそっくり再現されはしない。でもジャズが生まれた時から持つビート感、聴く人の身体を動かす強力なパワーがある。

このビート感=スウィング感、は機械的に正確に叩けば出るというものではない。強く叩けばスウィングするって訳でもない。その場で起こる音楽に最も相応しい音量と音色、そしてその場での音に反応する自分の音のイメージを忠実に楽器で表現できる音楽性があって、はじめてスウィングしまくる。また、一つの曲を造り上げるというクラフトに精通していなければいけない。最近のモシアンバンドは殆どリハーサルをしていない。それでもあれだけの見事に構築されたサウンドが出来上がるとは・・・。

ドラマー大集合、のページ

2006年04月08日 | 音楽
このサイトは、凄腕ドラマーの音源や動画を多数掲載している。量も豊富で、ドラマーには堪らない。色々なカテゴリーがあるが、個人的にはグルーヴというページが良かった。バンドの中でのドラムが聴けます。超人テクニック満載のドラムソロはこちら

その中に僕が生演奏を何回も聴いたドラマーが数人いる。生の演奏が一度録音されると全く別モノになるのを、このサイトの音源を聴いて改めて実感した。震える空気でもって伝わるドラムの音全ては記録できない。でも録音されても個性が光るドラマーがいるのだから、録音されたらダメ、なのでは無い。

もう既にそうだけど、これからのドラマーは録音された自分の音が最終的にどう聴こえるべきか、というのを明確にイメージしていくだろう。自分で録音するにせよ他人にしてもらうにせよ、録音テクニックに精通したドラマーが多くなると思う。今の技術では音作り時の判断基準として単純に「良いドラムの音」だとか、「よく鳴っているドラムの音」というようことがあまり使えないくらい、チョイスが増えた。

その一方でいつだったか「録音マイクの基本的性能はここ何十年間、あまり目に見えて向上していない」なんてことを小耳に挟んだ。具体的にどういうことかはあまり分からない。でも、一つだけ心当たりがある。

個人的好みを言わせてもらうと、50年代から60年代にかけて録音されたジャズドラムの音が、今でもとても好きだ。空気の存在を感じる。その頃はデジタルリバーブはおろか、マルチトラックさえ無かった。でもあれだけ凄い音を録音した。当時のマイクがダメなら無理だったはず。さてどうなのでしょう?

マックでは使えない音源編集ソフト

2006年04月04日 | 音楽
数日前のブログ記事で今使っている音源編集ソフトについて書いた。

そのくせ今日、R-1レコーダーについて調べている時にちらっと見たネット上の記事に釣られてしまい、Cakewalkという老舗メーカーの編集ソフトを一通りチェックしていた。値段も手頃だし、画面も使い易そうだし、などと考えつつシステム条件を見たら、なんとウィンドウズのみ!ループソフトなど一部のCakewalk製品はマック対応だけど・・・。

ステレオ2トラックだと、録音時にもう上出来の音になっている場合が多い。そのような音源を後から下手に加工/修正すると、ライブの臨場感が無くなったりする。

楽器録音、ミックスダウン(マルチトラックで録音された各トラック間の音量や音質のバランスを作り直す)、マスタリング(アルバムとしておかしくないように複数の曲を同じ音量、音質に仕上げる)というスタジオ録音での製作過程の中で、マスタリングだけが2トラックライブ音源に唯一残された領域だと思う。

そこで肝心なエフェクト機材が、バンド数が多くて質の高いイコライザーと、これまた上質のリバーブ(残響操作)。これが無いマスタリングなんてナニ?てなもんでして。ところがそう簡単にはこれらのエフェクトで理想的な音作りはできない。

まだ録音スタジオにソフトが浸透していなかった頃(といっても10年も経っていないが)、ニューヨークでマスタリングを売り物にしているスタジオには、何万ドルもする超高価なリバーブ機材やイコライザーがあったものだ。現在主流になっているソフトでそんな高価なモノは無いだろうけれど、千ドルくらいのモノはあるだろう。でも今の僕にはちょっと・・・。予算もさることながら、操作が複雑で多分使い切れないと思う。しばらくはR-1を最大限に駆使するしかない。ていうか、演奏が凄ければ全て良しだ。んんっ。・・あ、ハイ、頑張ります・・・。

ある晴れた春の午後

2006年04月03日 | ニューヨークあれこれ
昨日のブログ記事にまだ春になっていない等と書いていたら、今日はなんともいい天気の春らしい日になった。でもまだ肌寒さはある。

そんな日曜日の買い物がてらの散歩中、スキンヘッドの後部にタトゥーをしているお父さんがいた。ヘビメタで使われがちなフォントで、読みにくい単語を彫ってある。多分僕より若いだろうけど、奥さんらしき人と赤ん坊が側に居たので、多分彼は一児の父だろう。

子供の頃に読んでいたギャグ漫画で、スキンヘッドのキャラの後頭部に『落書きするな!』と書いていたのを思い出した。現実ではタトゥーだけど。でもそのタトゥーに飽きたら髪を伸ばせばいいよね。意外に融通の利くポジションかもしれない、タトゥーを入れるにしては。

年に二度の時計合わせ

2006年04月02日 | アメリカあれこれ
今晩夜半過ぎにアメリカ中の時計が1時間早くなる、ことになっている。実際には直していないものが多い。地下鉄駅構内の時計など一駅で二通りの時刻を指している状態が、まぁ1週間は続く。

毎年恒例の夏時間、デイライトセイヴィングタイムの始まりなのだけれど、今日はまだ4月1日。いくら4月の第一日曜日から始まるのが決まりとはいえ、気分的には「まだ春になり切っていないのに・・・」という感じだ。

でも外の桜は確かにもうすぐ咲きそうだし、日が暮れてからの空気は暖かくなった。旧暦ではすでに1週間も前に春分の日になっているし・・・。