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絵じゃないかおじさんぐるーぷ
「
1・愛するダビ様へ
前々から、あなたさまのことをお慕いしておりました。
あなたさまのお心の内を教えて下さってありがとうございます。
わたしを可愛がってくださいね。
ローナより
」
ウワーッ。
センティのおばはん乗ってルー。
こりゃ、負けちゃ、おれんぞ!
でも、センティは結構若いんだ。
ブツブツ経の時間で計ると30才過ぎだろう。
オレは{オッさん}呼ばわりされているから、
25才も過ぎれば、女性はみんな{おばはん}と
心の中で呼び返してやっている。
「
ありがとう、ローナ。
想いが通じて、この上ない幸福に酔いしれている。
君の姿を写真で見かけたとき以来、ずっと君のことを想い続けていた。
いつか君の前に姿を見せ、君をオレの恋人にして見せると念じ続けていた。
君の姿を初めて見たのは、北海道の富良野の野で、
君がラベンダーの花を摘んでいる時だった。
君を見た瞬間、受験雑誌に出ていた「写真」のあの子だと思った。
あの時、初めて君の瞳を見た。黒く澄んでいてとっても深そうだった。
あの目は、一生忘れることはないだろう。
ラベンダー 咲き咲く咲ける 北の国
君の姿は サウス・キューピッド
(ち ふ+)
ダビより
」
場所も時間も、もうメチャクチャ。
センティのヤツ、面食らうだろうな。
「
2・いじわるな、ダビ様へ
あなた様をお見かけしましたのは、人類発の天王星旅行のテレビの
中継でありました。
テレビカメラが、あなた様のお姿をとらえました時、わたしには、ぴんときましたの。
このかたと、きっとお知り合いになれるわ、そう思ったの。
でも、富良野で会っていたのね。
ちっとも気がつきませんでした。
あの頃、北海道の旅行をしたくて、母とふたりでいっておりました。
母が、知り合いの家を訪ねている間、
野原で童心に帰って遊んでいたのを思いだしますわ。
それをあなたに見られていたなんて、恥ずかしーい。
ローナより
」
「
童心のローナへ
あの時の君は、天使のようだった。
よほど声をかけようかと思ったのだが、そういうことをするのは、
万葉集に出てくるような、はしたない男のすることだと思っていたので、
つい素通りしてしまった。
後から考えると残念でならなかった。
天王星の旅行は素晴らしかった。
少し宇宙酔いはしたが、うす緑色の表面にしま模様が浮きでていて、
綺麗だったよ。
いつか、君も連れて行ってあげる。
5個の衛星がくるりくるりと回っていて、
日頃、月1個だけしか見慣れていないので、とても神秘的だった。
宇宙はいいなぁ。
ダビより
」
見てきたような、嘘書くの、しんどいなぁー。
辞典は引くわ、図鑑は見るわ。
こりゃ、たまらん。でも勉強になる。
さすがは、科学のセンティ、次は何を言ってくることやら。
「
3・星のダビ様へ
きっと連れて行ってくださいね。心待ちにして待っております。
この間、御堂筋の銀杏並木の下を可愛い女の
人と歩いていたでしょう。あの方は、どなたかしら?
わたしも、女の友達と歩いていたの。
ショックだったわ。
あなたは、誰とでもああいうことをする方なのかしら?
しょんぼりローナより
」
「
早とちりのローナへ
オレは、君以外の人とそういうことはしない。
御堂筋だったのなら、それは、きっと妹のビビーと歩いていた時だろう。
ボーイフレンドにプレゼントを送りたいからと買物につきあったことがある。
オレは、君とつきあうのが初めてだ。
他に若い女の人の知り合いは全然ないよ。
信じておくれ!
ダビ
」
「
4・憎いダビ様へ
妹さんだったの。良かった!
でも少し気になるわ。昔の人は兄・妹でも結婚したと言うし、
わたしを悲しませないでね。
やきもちやきのローナ
」
つづく
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