絵じゃないかおじさん

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あ@仮想はてな物語 ゆふかひストーリィ 1・2/5・後6

2022-02-01 07:02:16 | おぼけまみれ
          copyright (c)ち ふ


 その間に、女性陣はみんな検査を終えていた。
 50点の平均点で合格だ。
 それにしても、私ばかりが、
 何故、こうも皆の足を引っ張るのだろうと、
 嫌気がさしてきていた。

 根が、ドンくさいものだから、
 何から何までが、寄ってたかって、
 からかっているのかもしれない。

 私は、スキーウェアを、3着ばかり
 用意していたのを思い出した。

 タイタイの腹の中に入れている。
 地獄に行くのに、スキーウェアもないものだが、
 地獄は熱いとは、限らないらしい。

 地獄界の16セクションのうち、
 半分は寒いと、聞かされていた。

 この日の本の国には、8セクションしか、
 有名ではないのだそうだが、
 万が一ということもあるので、
 念のため用意していたのだ。

 ケンネオたちは、着ているものを、
 剥ぎ取ってもいいと言われているが、
 着ていないものまで、取り上げるのは、
 違法行為にあたるので、もし、ここまで、
 持ち込みに成功すれば、手出しは出来ないそうだ。

 幸いなことに、タイタイの腹の中に、
 空洞があるなどとは、鬼たちも、
 誰一人気がつかなかったので、
 ノン・チェックで、ここまやって来られた。

 私は、タイタイの中に入って、
 スキーウェアを2着取り出した。
 それを持って、2人の所へゆき、

「あのー、これプレゼントするから、
 検査受けさせてよ」 

 にんまりとした、シワシワ笑いが、
 顔いっぱいに拡がった。
 二人は、スキーウェアを両手に取り、
 もの珍しげに見入っていた。

 カラフルで、軽くて、如何にも、
 暖かそうな、新製品に気を奪われたようである。

「これ着ると、冷え症にいいよ」

 ダメ押しの一発をいれる。
「よしっ、60点」

 わっ、何じゃコレ!

「あの、連れの者の着物も返してくれへん?」

「そうじゃな、あんなもん、
 バーさんも着られないし。いいか、バーさん」

「いいよ」
「もう1着あげるよ」 

 私は、嬉しくなって、
 残りの1着も、取ってきて手渡してやった。

 地獄の刑期は長いので、衣服など着けていても、
 焼けたり、溶けたりするので、
 すぐに役に立たなくなる。

 だから、衣服を身につけていようがいまいが、
 ケンネオたちの胸先三寸にまかされているのだ。
 それに皆がみんな地獄にゆくとは限らない。
 新しい次のループ界では、何を着るのかは、
 そのゆく場所によって、違ってくるので、
 衣服の着用については、自由なのだ。

 ただ、ケンネオたちが、その流れを先取りして、
 どうせ不要なものなら、夫婦で頂戴して、
 有効利用をしてやろうと、判断しているにすぎない。
 検査が終われば、後はどう扱おうがかまわないのが、
 真相のようだ。

 着物の取り戻しは、キヨヒメ以外の者からは、
感謝された。
 キヨヒメは、この際、着物なんか、
 どうでもいいのだろう。


つづく


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