絵じゃないかおじさん

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あ@お話・仮想はてな・24/338月9日の星集まり

2022-03-20 07:42:34 | おぼけまみれ

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* 8月9日の星集まり(仮想はてなのお話)




   紫雲山 中山寺 24



 ゴエーカ;
  のわもすぎ さとをもゆきて なかやまの
   てらへまいるは のちのよのため

 平安時代のお話です。
 多田の城主に源のユキツナという人がおりました。
 彼は、熱心なカンノン信仰者なのですが、
 妻は嫉妬深い、思いやりに欠けた女だったそうです。

 仏教聖典で言えば、
「盗人のような妻で、夫の仕事に理解を持たず、
 自分の虚栄を満たすことだけを考え、口腹の欲のために、
 夫の収入を浪費し、夫のものを盗む」
 タイプにあたるのでしょうか。


 それでも、離婚していないところを見れば、
 良さもあったのでしょう。
 あるいは、ユキツナは、妻に対して弱みがあった
 のかもしれません。

 ある春の日のこと、珍しく夫婦連れ立って、
 中山寺にお花見にやってまいりました。
 このお寺は、華やかで明るい感じが漂っております。
 参道には、桜の花びらが舞い散って、
 とてもロマンチックな雰囲気をかもしだしておりました。
 悪妻といえども、乙女のころの心に還っていたのでしょ
う。

 カンノン様に手を合わす気になったようであります。
 カンノン様の前で手を合わせて拝もうとした時のことで
す。強い風が吹いてきて、悪妻の長い黒髪がなびきまし
た。
 そして、鐘から下がっていた麻の緒と、
 もつれ合いになったそうです。

 妻の髪と麻糸が、交じり合って、
 区別がつかなくなってしまいました。
 妻は痛がって泣きわめいております。
 刀で麻糸か髪を切ればいいものをと思うのが現代人、
 そのころは、両者を共に元の形に戻すのが先決だと
 考えていたのでしょう。


 ユキツナは、お寺の許可を貰ってから、
 麻の緒の根元をほどき、本堂の手摺りの傍に、
 妻を連れてゆき、頭を垂れさせました。
 すると髪の毛から麻糸が、するすると落ちてゆきました。

 このことを、中山のセンティがユキツナの悪妻を、
 戒めたという人もおりますが、本当はそうではありませ
ん。

 センティは信じてくれる人には悪いのですが、
 信じる信じないということなど、
 問題にはしていないのであります。

 信じてくれる人にも、信じてくれない人にも、
 同じように接するのです。
 ですから、信じてくれないから、
 戒めるなどというような考えは、持ってはおりません。
 個人の心の中まで、支配するような大それたことは、
 思っていないのです。

 ましてや、この時、ユキツナの妻は手を、
 まがりなりにも合わせようとしたのです。
 手を合わせるということはセンティを認め、
 彼女から何かを学ぼうとしたのです。

 そういう人間に対して、
 どうして戒めなど与える必要がありましょう。
 また、例え信じてくれなくっても、
 来てくれるだけで喜ぶような性格なのです。
 戒めたというようなことは、
 誤解もはなはだしいようであります。


 センティは、信じるというような、
 高い上の立場に立つことなど、
 望んではいないと思われるのであります。

 ユキツナの妻は、夫の信じていることを、
 小馬鹿にしていた己の非を反省しました。
 夫婦であるなら、例えカンノン様が信じられなくっても、
 軽んじるような態度はどうかと思われます。

 信じられないのなら、夫もそのように、
 教育していけばいいのです。


 ただ何もせず、頭からバカにして、
 溝を作るような姿勢はいいとは言えないでしょう。
 ユキツナの妻も、そこまでは愚かでなかったようです。
 このことをきっかけに自分の生きる姿勢を見つめ直して、
 センティのファンになったようであります。

 この中山寺には、新暦の8月9日の夜半、
 仮想西国の残りの32ヵ所から、
 カンノンはんが星になってやってきて、
 親睦を計っているそうであります。

 なぜ中山に集まるのでしょうか。
 那智、天の橋立、岐阜県、姫路などからやってくるし、
 ほぼ平地にあるので集まりやすいのでしょう。
 星になるのでしたら、持ち回りでもいいと思うのですが、
 何か特別いいことでもあるんでしょうか。

 いままでに、一人だけ、この集まりを目にした、
 人間がいるそうであります。
 普通なら、そんな姿など人に見せないはずなのですが、
 その年は、夏には珍しい霧がかかっていたので、
 カンノンはんたちも、きっと気を抜いていたのでしょう
ね。



              
   この項おわり


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