名古屋市に八事(やごと)と呼ばれる街がある。
鶴舞線沿線で、現在は名城線の駅でもある。近くには大学が複数あり、学生街の側面もある。
「ウインストンホテル」「ジャスコシティ八事」「興正寺」で知られた地域であり、また時代に
取り残された商店も目抜き通りに健在する「雑多」な街だ。
80年代の名古屋ゲーオタの一部にとっては、「八事」は思い出の場所でもある。3階建ての細長い
ゲーセンの1階にはセガの古いメダルの競馬ゲームがあり、麻雀ゲームが並んでいた。2階3階には
他ではあまり見られないゲームがいつまでも置いてあり、「Mr.バイキング」「エクイテス」
などは近隣のゲーセンにはあまりなかった為、マニアックなゲーマーの聖地であった。
「ハイテクセガ八事店」が裏通りにあった。当時はセガのゲーセンは数少なく、セガの新機種を
いち早く入荷したり、マイナーなセガのゲームがあったのでセガ好きが通っていた。「アフター
バーナー」のダブルクレイドル筐体もあり、ここでカバンの端を可動筐体に巻き込まれる事件
が多発した。また「ファンタジーゾーン」のハードランク設定があり、コアなFZマニアが躍起に
なってプレイしていた。
当時はファミコンブームでもあり、人気ゲームの予約を逃すとなかなか手に入らないソフトも
あったが、八事のジャスコ内のおもちゃ売り場では普通に当日購入が可能なことが多く、穴場
として知られていた。ドラクエですら当日買えた。
「餃子の王将」「マクドナルド」「インド料理・マハラジャ」もあり、外食にも困らない街だ。
また交差点の角にパチンコ屋の「マンモス」があり、地域の大学生の間では「出んモス」と
呼ばれるほど出玉が渋い店だった。
八事を少し奥に入ると高級住宅街になっており、金持ちが急坂の上に無理やりデカイ家を建てて
いる。あまりに急坂なので雪の日には車を出せないというマヌケさだが、それでも人気の地域
であり、フランス料理の高級店などブルジョワ相手の飲食店もあって、店の前にはリムジンとか
600クラスのベンツなどがよく目についた。
そんな八事だったが、四半世紀後の現在もあまり変わっていない。パチンコ「マンモス」は
その後「バサラ」というゲーセンになり、それも現在は「PORT24」というゲーセンに変わった。

交差点角のオレンジ色の建物も、「シェイキーズ」→「マクドナルド」などと頻繁に店舗が
変わりながら、現在ではカラオケ屋になっている。

「ハイテクセガ」のあった場所も別のゲーセンになっている。ここは100IN1の筐体があり、
主に古い格闘ゲームが一揃い入っている。三階建てのゲーセンはもう閉店している。
旧マンモスの並びに面白い飲食店ができた。「つけ麺・ラーメン・からあげ」の「ヤゴト55
ゴーゴー)」だ。「大分県中津のこだわりのからあげ」が売りの店だ。

大分県は九州東部の県で、わりと九州でもマイナーな県だ。他の県と山で分断されており、
その文化も九州のスタンダードとは少し違う。どちらかというと四国の文化圏で、九州では
孤立している。食べ物も「うどん文化」が根強い傾向がある。
さて「ヤゴト55」だが、ここのつけ麺は他とかなり違う。つけ麺というとラーメンの麺を
つけ汁につけて食べるのが一般的だが、ここの麺はどちらかというと「うどん」に近い。
非常にコシがあり噛み切りにくいほどだ。またつけ汁は豚骨ベースだが、そこに大量の魚介
ダシを投入する。豚骨+魚介ダシの組み合わせは「名古屋メシ」の代表である「スガキヤ」の
ラーメンスープが有名だが、それをもっと魚介風味を強くした味だ。


また「からあげ」がうまい。「からあげつけ麺」¥880を選ぶと、まるで「うどん」なつけ麺に
大きなからあげが3つ(あるいは4つ)ついてくる。それを金属の器に入ったつけ汁に浸して
食べるのだが、このからあげをつけ汁につけて食べると驚くほどおいしい。クリスピー&
ジューシーなからあげに魚介豚骨がこれほど合うものとは思わなかった。「からあげつけ麺」
では、無料で麺大盛りかライスがつく特典がある。このつけ汁には大きく切ったタケノコや
豚肉が入っており、残ったつけ汁にご飯を放りこみ、卓上に設置してあるIHヒーターで金属の
器を熱して雑炊にできる。また卵も一人一個無料で提供されており、一度で二度おいしい
仕組みになっている。

「つけ麺はこうだ」という固定観念を持っている方には、ここのつけ麺は抵抗があるかも
しれないが、名古屋には長らく「つけ麺」という文化がなかった。だから名古屋人が初めて
触れる「つけ麺」がここのものであれば抵抗なく受け入れられる。名古屋メシである「あんかけ
パスタ」も麺の太さが2.0mm~2.2mmのものを使うので、太い麺は名古屋人の好みに合うだろう。
それらの意味で、この「ヤゴト55」の戦略はうまくハマるのではないかと予測する。

pcfxはここのからあげが非常に気にいった。店員の愛想もよく、よくある「ガンコ親父の店」
とう名の不快な店とは正反対だ。マネージャーらしき女性の動きもよく、わかりにくいこの店の
メニューを随時説明してくれる。
「フジヤマ盛り」「エベレスト盛り」「ガール」「全部乗せ」などのカスタマイズもあり、
また「二郎系ラーメン」というメニューもあって時流を取り込んでいる。
八事は見た目あまり変わってないが目立たないように徐々に変わっている。近隣の「いりなか」
「塩釜口」からゲーセンが次々に撤退した中、八事だけはまだゲーセンが残っているゲーマー
の街だ。「PORT24」は今時のゲーセンでありながら、しっかりと往年のゲーセンのスタイルを
維持している。客も今時のゲーオタが多い。クレーンゲームの景品もオタ向けになっている。

いつかゲーセンが復活する時、鶴舞線沿線でのゲーオタの聖地は「八事」になるだろう。かつて
「いりなか」が聖地だったように。
鶴舞線沿線で、現在は名城線の駅でもある。近くには大学が複数あり、学生街の側面もある。
「ウインストンホテル」「ジャスコシティ八事」「興正寺」で知られた地域であり、また時代に
取り残された商店も目抜き通りに健在する「雑多」な街だ。
80年代の名古屋ゲーオタの一部にとっては、「八事」は思い出の場所でもある。3階建ての細長い
ゲーセンの1階にはセガの古いメダルの競馬ゲームがあり、麻雀ゲームが並んでいた。2階3階には
他ではあまり見られないゲームがいつまでも置いてあり、「Mr.バイキング」「エクイテス」
などは近隣のゲーセンにはあまりなかった為、マニアックなゲーマーの聖地であった。
「ハイテクセガ八事店」が裏通りにあった。当時はセガのゲーセンは数少なく、セガの新機種を
いち早く入荷したり、マイナーなセガのゲームがあったのでセガ好きが通っていた。「アフター
バーナー」のダブルクレイドル筐体もあり、ここでカバンの端を可動筐体に巻き込まれる事件
が多発した。また「ファンタジーゾーン」のハードランク設定があり、コアなFZマニアが躍起に
なってプレイしていた。
当時はファミコンブームでもあり、人気ゲームの予約を逃すとなかなか手に入らないソフトも
あったが、八事のジャスコ内のおもちゃ売り場では普通に当日購入が可能なことが多く、穴場
として知られていた。ドラクエですら当日買えた。
「餃子の王将」「マクドナルド」「インド料理・マハラジャ」もあり、外食にも困らない街だ。
また交差点の角にパチンコ屋の「マンモス」があり、地域の大学生の間では「出んモス」と
呼ばれるほど出玉が渋い店だった。
八事を少し奥に入ると高級住宅街になっており、金持ちが急坂の上に無理やりデカイ家を建てて
いる。あまりに急坂なので雪の日には車を出せないというマヌケさだが、それでも人気の地域
であり、フランス料理の高級店などブルジョワ相手の飲食店もあって、店の前にはリムジンとか
600クラスのベンツなどがよく目についた。
そんな八事だったが、四半世紀後の現在もあまり変わっていない。パチンコ「マンモス」は
その後「バサラ」というゲーセンになり、それも現在は「PORT24」というゲーセンに変わった。

交差点角のオレンジ色の建物も、「シェイキーズ」→「マクドナルド」などと頻繁に店舗が
変わりながら、現在ではカラオケ屋になっている。

「ハイテクセガ」のあった場所も別のゲーセンになっている。ここは100IN1の筐体があり、
主に古い格闘ゲームが一揃い入っている。三階建てのゲーセンはもう閉店している。
旧マンモスの並びに面白い飲食店ができた。「つけ麺・ラーメン・からあげ」の「ヤゴト55
ゴーゴー)」だ。「大分県中津のこだわりのからあげ」が売りの店だ。

大分県は九州東部の県で、わりと九州でもマイナーな県だ。他の県と山で分断されており、
その文化も九州のスタンダードとは少し違う。どちらかというと四国の文化圏で、九州では
孤立している。食べ物も「うどん文化」が根強い傾向がある。
さて「ヤゴト55」だが、ここのつけ麺は他とかなり違う。つけ麺というとラーメンの麺を
つけ汁につけて食べるのが一般的だが、ここの麺はどちらかというと「うどん」に近い。
非常にコシがあり噛み切りにくいほどだ。またつけ汁は豚骨ベースだが、そこに大量の魚介
ダシを投入する。豚骨+魚介ダシの組み合わせは「名古屋メシ」の代表である「スガキヤ」の
ラーメンスープが有名だが、それをもっと魚介風味を強くした味だ。


また「からあげ」がうまい。「からあげつけ麺」¥880を選ぶと、まるで「うどん」なつけ麺に
大きなからあげが3つ(あるいは4つ)ついてくる。それを金属の器に入ったつけ汁に浸して
食べるのだが、このからあげをつけ汁につけて食べると驚くほどおいしい。クリスピー&
ジューシーなからあげに魚介豚骨がこれほど合うものとは思わなかった。「からあげつけ麺」
では、無料で麺大盛りかライスがつく特典がある。このつけ汁には大きく切ったタケノコや
豚肉が入っており、残ったつけ汁にご飯を放りこみ、卓上に設置してあるIHヒーターで金属の
器を熱して雑炊にできる。また卵も一人一個無料で提供されており、一度で二度おいしい
仕組みになっている。

「つけ麺はこうだ」という固定観念を持っている方には、ここのつけ麺は抵抗があるかも
しれないが、名古屋には長らく「つけ麺」という文化がなかった。だから名古屋人が初めて
触れる「つけ麺」がここのものであれば抵抗なく受け入れられる。名古屋メシである「あんかけ
パスタ」も麺の太さが2.0mm~2.2mmのものを使うので、太い麺は名古屋人の好みに合うだろう。
それらの意味で、この「ヤゴト55」の戦略はうまくハマるのではないかと予測する。

pcfxはここのからあげが非常に気にいった。店員の愛想もよく、よくある「ガンコ親父の店」
とう名の不快な店とは正反対だ。マネージャーらしき女性の動きもよく、わかりにくいこの店の
メニューを随時説明してくれる。
「フジヤマ盛り」「エベレスト盛り」「ガール」「全部乗せ」などのカスタマイズもあり、
また「二郎系ラーメン」というメニューもあって時流を取り込んでいる。
八事は見た目あまり変わってないが目立たないように徐々に変わっている。近隣の「いりなか」
「塩釜口」からゲーセンが次々に撤退した中、八事だけはまだゲーセンが残っているゲーマー
の街だ。「PORT24」は今時のゲーセンでありながら、しっかりと往年のゲーセンのスタイルを
維持している。客も今時のゲーオタが多い。クレーンゲームの景品もオタ向けになっている。

いつかゲーセンが復活する時、鶴舞線沿線でのゲーオタの聖地は「八事」になるだろう。かつて
「いりなか」が聖地だったように。
「やつこしちんやごと」に聞こえるのはpcfxだけ?