年中「宇宙宇宙」言ってる宇宙偏重科学雑誌「Newton」。この夏創刊30周年を迎えた、日本で
最もクールな理系雑誌だ。前回8月号の記事も書いたが、この度9月号が発刊されたのでまた
紹介する。30周年おめでとうございます。あと70年は頑張って下さい。
何かと文章や数字が行列しがちな科学雑誌にあって、「Newton」は「グラフィカルサイエンス
マガジン」を自称するだけあり、その誌面はイラストに満ちあふれている。よくもまあこれだけ
毎月描くものだというほどイラストだらけであり、しかもその多くは宇宙に関するイラストだ。
前回pcfxが「宇宙のイラストだらけで真っ黒け」と書いたからかどうかは知らないが、今回の
9月号は少し黒さが抑えられたようだ。まあそれでもまだ黒いのだが。現在はCGで比較的楽に
描けるようになったが、昔は職人が全部手で書いていたのだ。そしてその量は現在とさほど
変わらない。
「Newton」の¥1000という価格は雑誌としては少々高いが、宇宙だらけのイラストを眺めるだけ
でもその価値はあるといえる。例え九九がウロ覚えで水の化学式が書けないような人でも、
何となく波動関数がわかるような気がしてくる不思議な理系養成雑誌が「Newton」だ。
イラストが多いのでお子様からお年寄りまで楽しめる。内容が理解できるかどうかが重要なの
ではなく、常に科学に目を向けさせ、科学だけが物事を解明する手段だという認識を持続させる
のが、教育と教養の最重要課題だ。一旦それを刷り込めば、あとは勝手に好奇心が動き出して
止まらなくなる。
さて9月号だ。創刊30周年で、2号連続で大特集されているのが「大宇宙」の特集だ。今回は
後編ということで、前回8月号から踏み込んだ詳細と総括に進む。ていうか、「Newton」は
一年中「宇宙宇宙」の雑誌なので、今更宇宙特集とか言われても「またかよ」という感じ
なのだが、「Newton」の編集者がよほどの宇宙フェチらしくて、もう宇宙と結婚する勢いなので
仕方がない。8月号と同じく、おまけで小冊子がついてくる。これ一冊あればホーキング博士と
同等な宇宙認識が持てるという、インテリジェントブーストな付録だ。この「Newton」のおまけ
が「アンドロメダ萌えグッズ」とかになったら面白いのだが、このご時世なのであり得るかも
しれない。表紙に初音ミクがデカデカと載る「Newton」も見てみたい。
9月号の中身だが、それは買って読んでほしい。図書館ならタダだし、試しに立ち読みもアリ
だが、とにかく内容は自分の目で見るのが大事だ。しかしそれだけでは何なので、さわりだけ
少し書く。
「大宇宙」というタイトル通り、宇宙はとんでもなくデカい。デカいだけならまだいいのだが、
これまた物凄い長期間営業している巨大デパートだ。しかも基礎建設は一瞬で完成。そして
137億年を経た今も尚、拡張工事の真っ最中だ。あんまり昔に出来たので、初期の頃にテナント
を出したショップが今もあるのか店長ですらわからず、あんまりデカいので、自分の自宅も
デパート内にあったりする。普通の建築と違い、このデパートは「何もない所から急にできた」
という常識ハズレな建築法で建てられた。
「そんな非科学的な」と思うかもしれないが、あらゆる科学的根拠とされる宇宙の法則は、
実は非科学的なのだ。何が間違っていたかというと、人類が考えた今までの科学が間違って
いたのだ。正しい科学では「宇宙は何もないところから急にできる」のだ。何でもアリアリで
イケイケでゴーゴーな科学が正しいらしい。100倍のオッズの競馬に100円を賭けて当てると、
普通の競馬場では1万円もらえるが、正しい科学の競馬場ではいくら当てても配当がマイナスに
なって請求書が送られてくる事がある。今日のおやつがマイナス1個のリンゴだったり、
父ちゃんの給料は給料袋を開けるまでいくら入っているか経理ですらわからない。そういう
わけのわからない世界に自分たちは存在しているので、宇宙が何もない所から急に作られても
不思議じゃないですよ、という事を証明するために世界中の理系エリートな人たちが日夜
頭を捻っている。まるでギャグマンガだが、恐ろしい事に皆んな真面目にやっているのだ。
で、宇宙の始まりも宇宙の終わりも、誰かが見たわけでもなく、全部計算によって導き出した
答えだ。これが当たっているのか外れているのかは、誰も見たわけではないので判断の仕様が
ない。計算が間違っているかどうかを検算して判断するしかないが、計算のエリートが出した
答えなので、せいぜいカシオの電卓で四則計算くらいしかしない庶民は、√とかの記号が出た
時点で計算を早々に諦める人が続出する。まあ計算キチガイがそういうのなら、俺らが考える
よりも正しいのだろうと信用するしかない。
「Newton」9月号の特集は最後に、宇宙がどのような終焉を迎えるのかという予想で結んで
終わる。ここのところは面白い記事なので、是非雑誌を読んでほしい。10の100乗年後くらいに
宇宙がどうにかなってしまうらしいが、10の100乗年後とかいわれても困る。
人類が現在までに発見している物質やエネルギーは、まだ極一部らしい。法則というジグソー
パズルの完成枠は大体わかってきているのだが、完成するのには足りないピースがまだ
机の下だとか絨毯の隙間だとか犬の宝物入れなどにたくさん隠されているようだ。だから
パズルの盤面上だけをどんなに探してもピースは見つからないし完成もしない。それら見えない
ピースの絵柄によっては、完成した時の一枚の絵の内容が、想像していたのとえらく違う
ものになるかもしれない。今のところ盤面にあるピースから想像する絵はモナリザなのだが、
実は完成すると萌えアニメのパンチラかもしれないのだ。そのくらいまだわかってない事が
多い中途半端な方法論が現在の科学だ。だから過信したり信仰したり全財産突っ込んだりしては
いけないという事だ。
さて、「Newton」も宇宙の大特集をやって少しは気が済んだのか、9月号の後半は生物関係に
誌面を割いている。pcfxの願い通りになっているので気味が悪いが、やはり夏だけあって
恐竜関係が多い。夏休みで子供が自由研究だとかヒマだったりとかするので、やっぱ夏休みと
いえば恐竜だ。また夏と言えば昆虫だ。子供はヒマがあるとすぐ虫を捕まえようとする。猫と
いっしょだ。夏休みの昆虫の代表はカブトムシだが、「Newton」9月号にはアリについて
おもしろい記事がある。あとは原発の問題に関心が集まっているので、放射能と体について
科学雑誌らしい解説が載っている。B&Bやネイチャーからここ2ヶ月のおもしろいトピックも
あり、充実の内容で便利で楽しい。
「Newton」の編集長は「水谷仁」氏で「科学のエライ人」だが、さすが編集長のあとがき、
いいことをさらっと書いてある。”一説には宇宙の「宇」の字は空間、「宙」の字は時間を
あらわすといいます”とのことだ。もう最初から「宇宙」は「時空」だったというわけだ。
空間と時間を同じように取り扱う事に一般人は慣れていないが、「宇宙」の一言で要約して
もらえるとわかったような気がするから便利だ。
また、ともすれば合理主義の成果主義の研究主義に走りがちな科学だが、水谷編集長の
誌面作りの根底には「人間への愛」があり、それを感情的にではなく心理学的に表現する
手法は、科学者としても編集者としてもベストソリューションといえる。まさに科学雑誌の
編集長たるにふさわしい人物だ。高価な理系雑誌が30年も休刊せずに続いているのも、人間
をおいてきぼりにしない編集長とスタッフの努力あっての結果だと断言できる。
大抵の本屋に置いてあり、年間購読もでき、最近では電子書籍にも対応している。多数の特集
を持つムックもあり、子供から大人まで楽しみながら知恵がつく。月末か月初めには書店に
並ぶので、是非一度は手にとって、隅から隅まで読んで子供と一緒に知恵熱でも出してみる
のもいいだろう。
最もクールな理系雑誌だ。前回8月号の記事も書いたが、この度9月号が発刊されたのでまた
紹介する。30周年おめでとうございます。あと70年は頑張って下さい。
何かと文章や数字が行列しがちな科学雑誌にあって、「Newton」は「グラフィカルサイエンス
マガジン」を自称するだけあり、その誌面はイラストに満ちあふれている。よくもまあこれだけ
毎月描くものだというほどイラストだらけであり、しかもその多くは宇宙に関するイラストだ。
前回pcfxが「宇宙のイラストだらけで真っ黒け」と書いたからかどうかは知らないが、今回の
9月号は少し黒さが抑えられたようだ。まあそれでもまだ黒いのだが。現在はCGで比較的楽に
描けるようになったが、昔は職人が全部手で書いていたのだ。そしてその量は現在とさほど
変わらない。
「Newton」の¥1000という価格は雑誌としては少々高いが、宇宙だらけのイラストを眺めるだけ
でもその価値はあるといえる。例え九九がウロ覚えで水の化学式が書けないような人でも、
何となく波動関数がわかるような気がしてくる不思議な理系養成雑誌が「Newton」だ。
イラストが多いのでお子様からお年寄りまで楽しめる。内容が理解できるかどうかが重要なの
ではなく、常に科学に目を向けさせ、科学だけが物事を解明する手段だという認識を持続させる
のが、教育と教養の最重要課題だ。一旦それを刷り込めば、あとは勝手に好奇心が動き出して
止まらなくなる。
さて9月号だ。創刊30周年で、2号連続で大特集されているのが「大宇宙」の特集だ。今回は
後編ということで、前回8月号から踏み込んだ詳細と総括に進む。ていうか、「Newton」は
一年中「宇宙宇宙」の雑誌なので、今更宇宙特集とか言われても「またかよ」という感じ
なのだが、「Newton」の編集者がよほどの宇宙フェチらしくて、もう宇宙と結婚する勢いなので
仕方がない。8月号と同じく、おまけで小冊子がついてくる。これ一冊あればホーキング博士と
同等な宇宙認識が持てるという、インテリジェントブーストな付録だ。この「Newton」のおまけ
が「アンドロメダ萌えグッズ」とかになったら面白いのだが、このご時世なのであり得るかも
しれない。表紙に初音ミクがデカデカと載る「Newton」も見てみたい。
9月号の中身だが、それは買って読んでほしい。図書館ならタダだし、試しに立ち読みもアリ
だが、とにかく内容は自分の目で見るのが大事だ。しかしそれだけでは何なので、さわりだけ
少し書く。
「大宇宙」というタイトル通り、宇宙はとんでもなくデカい。デカいだけならまだいいのだが、
これまた物凄い長期間営業している巨大デパートだ。しかも基礎建設は一瞬で完成。そして
137億年を経た今も尚、拡張工事の真っ最中だ。あんまり昔に出来たので、初期の頃にテナント
を出したショップが今もあるのか店長ですらわからず、あんまりデカいので、自分の自宅も
デパート内にあったりする。普通の建築と違い、このデパートは「何もない所から急にできた」
という常識ハズレな建築法で建てられた。
「そんな非科学的な」と思うかもしれないが、あらゆる科学的根拠とされる宇宙の法則は、
実は非科学的なのだ。何が間違っていたかというと、人類が考えた今までの科学が間違って
いたのだ。正しい科学では「宇宙は何もないところから急にできる」のだ。何でもアリアリで
イケイケでゴーゴーな科学が正しいらしい。100倍のオッズの競馬に100円を賭けて当てると、
普通の競馬場では1万円もらえるが、正しい科学の競馬場ではいくら当てても配当がマイナスに
なって請求書が送られてくる事がある。今日のおやつがマイナス1個のリンゴだったり、
父ちゃんの給料は給料袋を開けるまでいくら入っているか経理ですらわからない。そういう
わけのわからない世界に自分たちは存在しているので、宇宙が何もない所から急に作られても
不思議じゃないですよ、という事を証明するために世界中の理系エリートな人たちが日夜
頭を捻っている。まるでギャグマンガだが、恐ろしい事に皆んな真面目にやっているのだ。
で、宇宙の始まりも宇宙の終わりも、誰かが見たわけでもなく、全部計算によって導き出した
答えだ。これが当たっているのか外れているのかは、誰も見たわけではないので判断の仕様が
ない。計算が間違っているかどうかを検算して判断するしかないが、計算のエリートが出した
答えなので、せいぜいカシオの電卓で四則計算くらいしかしない庶民は、√とかの記号が出た
時点で計算を早々に諦める人が続出する。まあ計算キチガイがそういうのなら、俺らが考える
よりも正しいのだろうと信用するしかない。
「Newton」9月号の特集は最後に、宇宙がどのような終焉を迎えるのかという予想で結んで
終わる。ここのところは面白い記事なので、是非雑誌を読んでほしい。10の100乗年後くらいに
宇宙がどうにかなってしまうらしいが、10の100乗年後とかいわれても困る。
人類が現在までに発見している物質やエネルギーは、まだ極一部らしい。法則というジグソー
パズルの完成枠は大体わかってきているのだが、完成するのには足りないピースがまだ
机の下だとか絨毯の隙間だとか犬の宝物入れなどにたくさん隠されているようだ。だから
パズルの盤面上だけをどんなに探してもピースは見つからないし完成もしない。それら見えない
ピースの絵柄によっては、完成した時の一枚の絵の内容が、想像していたのとえらく違う
ものになるかもしれない。今のところ盤面にあるピースから想像する絵はモナリザなのだが、
実は完成すると萌えアニメのパンチラかもしれないのだ。そのくらいまだわかってない事が
多い中途半端な方法論が現在の科学だ。だから過信したり信仰したり全財産突っ込んだりしては
いけないという事だ。
さて、「Newton」も宇宙の大特集をやって少しは気が済んだのか、9月号の後半は生物関係に
誌面を割いている。pcfxの願い通りになっているので気味が悪いが、やはり夏だけあって
恐竜関係が多い。夏休みで子供が自由研究だとかヒマだったりとかするので、やっぱ夏休みと
いえば恐竜だ。また夏と言えば昆虫だ。子供はヒマがあるとすぐ虫を捕まえようとする。猫と
いっしょだ。夏休みの昆虫の代表はカブトムシだが、「Newton」9月号にはアリについて
おもしろい記事がある。あとは原発の問題に関心が集まっているので、放射能と体について
科学雑誌らしい解説が載っている。B&Bやネイチャーからここ2ヶ月のおもしろいトピックも
あり、充実の内容で便利で楽しい。
「Newton」の編集長は「水谷仁」氏で「科学のエライ人」だが、さすが編集長のあとがき、
いいことをさらっと書いてある。”一説には宇宙の「宇」の字は空間、「宙」の字は時間を
あらわすといいます”とのことだ。もう最初から「宇宙」は「時空」だったというわけだ。
空間と時間を同じように取り扱う事に一般人は慣れていないが、「宇宙」の一言で要約して
もらえるとわかったような気がするから便利だ。
また、ともすれば合理主義の成果主義の研究主義に走りがちな科学だが、水谷編集長の
誌面作りの根底には「人間への愛」があり、それを感情的にではなく心理学的に表現する
手法は、科学者としても編集者としてもベストソリューションといえる。まさに科学雑誌の
編集長たるにふさわしい人物だ。高価な理系雑誌が30年も休刊せずに続いているのも、人間
をおいてきぼりにしない編集長とスタッフの努力あっての結果だと断言できる。
大抵の本屋に置いてあり、年間購読もでき、最近では電子書籍にも対応している。多数の特集
を持つムックもあり、子供から大人まで楽しみながら知恵がつく。月末か月初めには書店に
並ぶので、是非一度は手にとって、隅から隅まで読んで子供と一緒に知恵熱でも出してみる
のもいいだろう。