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pcfx復活ブログ

kashmir氏のマンガ

2011年07月27日 | マンガとかアニメとかほんとか
一介のニワカファンであるpcfxは、数年前にkashmirの「百合星人ナオコサン1巻」を在日
イギリス人のオッサンに勧められて読んだのをきっかけにして、現在では掲載雑誌を買うまでに
病状が進行している。長らく本気で、全身全霊で読むべきマンガ失っていたpcfxに射した、
一筋の光明だった。他にも割と好きなマンガ家はいるが、魂のレベルで好きと言える作家に
出会ったのは幸運であった。そんなタダのニワカがkashmir作品を語ってみる。

過去のkashmir作品は万人に勧められない。だがこのブログを好んで読んでいるようなタイプの
ヒネた人間にはお勧めできる。現在の作風は「メジャー作家」という拡大路線にあるので一見
とっつき易いように見えるが、毒は潜伏している。また真っ直ぐな精神の人や若い人には、
kashmir作品は「単なるギャグマンガ」や「おもしろストーリーマンガ」として映るだろう。
その根底にある病魔や悪魔を感じ取る事は難しいと思われる。だがそれはそれで正しいし、見当
ハズレというわけでもない。現在はその方向に推移しているからだ。また作者の無意識の荒廃を
表現させつづけるように期待するのは、ファンとしては残酷ともいえる。

深読みしすぎると、それこそ見当ハズレな事になるので避けなければならない。作者が描きたい
ものを描きたいように描ける余裕が出版界にあればそれで幸いとしなければならない。本当に
そうかどうかも、一般読者にはわからない。ともかく余計なお世話なのだ。

それをわかっていながら、あえて余計な事を書いているのだが、この規制の厳しいご時世に、
このタイミングでkashmir氏がメジャーに出てきた事は偶然ではあるまい。作家本人、編集者、
及び読者は、この理不尽な規制だらけの出版界に抗いたいという欲求を持っていて、他の作家が
次々とお仕着せの規制に下っていく中、違う方向で規制に反抗する最終兵器を温存したいのだ。
乳首やパンツや幼女に修正を加えるという魔女裁判対策の中、幼女ギャグという仮面を被った
謎のテロリストがkashmirである。迷彩と商業のために世間を謀っているが、果たしてその
実態は、無意識に苦痛と絶望を人より多く抱えて生きる人だ。まあこれは想像なんだけど。
本当はのほほんと好きなものを描いてるだけかもしれないけど、「ぼくのかんがえたkashmir」
はこうなのだから仕方が無い。

ツイッターをはじめてみて、早速kashmir氏のツイートを読み始めた。無論メジャー作家なので
本当に言いたいことを書くわけにはいかないだろう。ヘタな事を言うとすぐに叩かれる世の中
だから有名人は慎重にならざるを得まい。kashmir氏は律儀な人らしく、単なるニワカファンの
pcfxにも返信をくれる事がある。忙しい身の上だろうに、どこの馬の骨とも知れない者に、
大変ありがたい事である。pcfxは唯、kashmir氏の健康を願うばかりだが、病弱なようで心配に
なる。


kashmir氏のコミックスのそれぞれの読者の感想などをネットで拾い読みしていると、デイドリ
路線が好きな人と、◯本・ナオコサン路線が好きな人にわかれている事がわかる。最近はそれ
ぞれの作風が入り交じってきているので難しいが、pcfxは後者だ。だが、作者の本音が最も
素直に出ているのはデイドリな気がする。宗教観や宇宙観が語られる所に、素のままを感じる。
「彼女はUXO」についてはまだコミックスが出てないからか、あまり語られてない上、pcfxも
ほとんど読んでいないのでここでは語らない。

あまり作家の実態を知りすぎると普遍的によくない結果になるのはわかっているため、この辺
で自重しようと思っているが、その反面ファン心理でもっと知りたいという欲求もある。本当は
直接会ってサインのひとつも貰いたい気持ちだ。だが、単なる一読者にできる事は著作物を
できるだけ買う事と、買うことに価値を見出し続ける事だ。義理や惰性で買うだけでは意味が
無い。何冊も同じ本を買うのもまた意味がない。無理に他人に勧めるのも違う。個々にkashmir
作品と縁起があって、それを気にいった時にはじめて意味が創出される。だからpcfxはこの
ようなブログで紹介をするだけに留めたい。


2011年7月現在、kashmir著作物は、

月刊「まんがタイムきららMAX」で連載中の「◯本の住人」が4巻
月刊「電撃大王」で連載中の「百合星人ナオコサン」が3巻
月刊「アライブ」で連載中の「デイドリームネイション」が3巻
及び隔月刊「チャンピオンREDいちご」で「彼女はUXO」が連載中だ。

アニメは「百合星人ナオコサン3巻」の初版特典としてOVAがついている。
また今後、別の形式でOVA作品が予定されている。


「◯本の住人」は、奇妙な内容の絵本を書く作家の兄とその妹を中心に話が展開するギャグ
4コマ漫画、といいたいところだが、それはそれとして実際の話の中心人物は破天荒な幼女の
「ちーちゃん」だ。ナオコサンよりも壊れている、kashmir最強のキャラクターだ。ボケと
ツッコミが顕著な、現在単純に最も爆笑できるkashmirマンガとも言える。

「百合星人ナオコサン」は、宇宙からやってきた「ナオコサン」がいろいろと騒ぎを起こしたり
余計なことをするギャグマンガで、kashmir作品の代表作となりつつある。ただのドタバタ
というわけでもなく、ゆっくりと、しかし確実に裏のストーリーが展開している。マニアックな
ギャグが随所に散りばめられており、虫眼鏡を使って細かい文字を一つ一つ拾い読みし、
そのネタを理解したくなるマニア泣かせの逸品だ。またヒロイン的役割の「みすず」は廃墟や
廃線、及び鉄道が大好きという作者の趣味が重ねられた側面もあり、静と動が共存している、
最もkashmir臭のある作品だ。

「デイドリームネイション」は、高校の漫研に突如降臨した神様と高校生活のストーリー
マンガだ。ストーリー展開がはっきりしている現在唯一の作品だ。無論ギャグ要素も多く、
ボケとツッコミが強調されている。表面上は最もマイルドな作品なので、ここから入る人も
多いようだ。

また、kashmir氏のサイトでは、過去のイラスト作品を閲覧することができる。pcfxはその中の
イラストで非常に気に入っているものが数点あり、その何れもダークでエロティックだ。
現在の作風とはまるで違うものも多いので驚くかもしれないが、pcfxはむしろこっちのほうが
好みだ。「絵に書いたような美少女」的なものより、より普通で素朴で暗黒性を露出している
少女像は、とある同じ趣味を持つ者同士に伝わる、「本物」を感じ取れる。



作品の傾向としては、pcfxの印象だと「吾妻ひでお」「筒井康隆」「ゆうきまさみ」などを
想起する。それらのエッセンスの隙間に幼女と鉄道と80年代のシューティングゲームをギチギチ
に詰め込んでフリーズドライにし、メープルシロップをかけた感じだ。甘くて冷たくてサッパリ
しているが、そのパフェは猛毒が仕込まれている上に、毒が効いてくる前に爆発する。

そんな危険なkashmir作品を、是非一度御試しあれ。


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