origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

アーサー・ケストラー『機械の中の幽霊』(ちくま学芸文庫)

2008-10-05 16:06:18 | Weblog
ケストラーはハンガリー出身、ユダヤ系の思想家。
全体を一として見なすホーリズム(全体主義)。全体を個々の集まりとして見なす要素還元主義。ケストラーはそのどちらをも誤りとして見なし、中庸的な「ホロン」(全体的要素、要素的全体)を唱える。ホロンは全体に対しては要素でありつつも、さらに細かい要素に対しては全体であり、両義的なものである。例えば、心臓は要素の集合体でありながらも、身体全体から見れば一つの要素であり、ケストラーの視点からはホロンと呼ぶことができる。
著者は、精神的なものを軽視したワトソンの行動主義的心理学や人間の進化を遺伝子に還元しようとした進化論に対しても強く批判を行っている。
とはいえ、ケストラーの進化論批判には疑問も残る。

桐生操『やんごとなき姫君たちの寝室』(角川文庫)

2008-10-05 01:09:03 | Weblog
『本当は怖いグリム童話』の著者が古代から近代までのヨーロッパの歴史を中心に、恋愛、結婚、セックス、グルメなどに関するネタを集めた本。下世話な感じはするが、なかなか面白かった。
「プラトニック・ラブ」とは男同士のもの(プラトンの『饗宴』のお話)
処女膜は無用の長物?
古代世界の珍法律(胸片追放、人身御供)
古代スパルタ教育の真髄
などが特に面白かった。