origenesの日記

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『ベオウルフ』

2008-02-06 20:42:08 | Weblog
古英語詩『ベオウルフ』は元々キリスト教とは関連のないスカンディナビアの伝説が起源だと推測されている。古代ギリシア神話のヘラクレスやアキレウスの物語にも影響されている可能性が高い。
7世紀あたりにアングロ・サクソンの人々が、ベオウルフ伝説を英語詩として読み上げたと言われている。現存するような形となったのが11世紀。この11世紀になるまでに「主人公ベオウルフが民衆のためにグレンデルと戦い、殉教者のように死ぬ」というようなキリスト教的な物語構成になったという。
ベオウルフにはキリストの隠喩が込められているが、その「聖性」が怪物グレンデルをなぶり殺しにする残虐性と同居していることに気をつけたい。ヨーロッパのクリスチャンたちが、どのようにキリスト教を殺戮行為と懐柔させてきたか、その方法論が『ベオウルフ』には端的に込められていると思う。

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