origenesの日記

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J・ボーキングホーン『科学と宗教―一つの世界』(玉川大学出版部)

2008-06-06 23:09:58 | Weblog
イギリス国教会の聖職者であり科学者でもある著者が、科学と宗教について論じたもの。著者によると、科学も宗教もともに真理を明らかにすることを目的としており、また両者は別種の真理を明らかにするものでもあるという。
著者はカントのような観念論を否定し、実在論を肯定する。科学は様々な真実を明らかにしていく。しかし科学がどのような真実を明らかにしても、何らかの謎は残存する。そこには宗教が明らかにすべき真実が潜んであり、それゆえに宗教と科学は共存しえるものだという。
あるものを信じるべき理由と信じるべきでない理由は常に存在する。そのどちらかが100%になることはない。科学は宗教を信じるべき理由と信じるべきでない理由(創造論など)を双方とも提供するが、その中で宗教的な信仰は信じるべきでない理由を越え必ず生き残っていくという著者の信仰が表明されている。

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