origenesの日記

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スティーヴン・ジェイ・グールド『暦と数の話 グールド教授の2000年問題』(早川書房)

2008-07-25 01:25:48 | Weblog
原題は「ミレニアムを問う」西暦2000年には世界中でミレニアムが話題となった。キリスト教の終末論を発端とするこのミレニアム思想がいかにつくられてきたか、またいかに論じられてきたか、稀代の遺伝子学者であるスティーヴン・ジェイ・グールドが語る。
箇条書きで。
-キリスト教の黙示録的な終末論を発端として、この世の存在する時間が6000年であるという考え方が生まれた。
-イエスの誕生であるAD1年が世界の誕生から4000年目であるという思想も生まれた。これに対してヘロデ王の没年から、イエスの誕生はBC4年であるという有力説も生まれた。
-ミレニアム思想においては、AD1年から2000年後の2001年が神の国が到来する時となる。ミレニアム思想の主な担い手はある程度裕福な層であり、世界の終末がある程度先のことであって欲しいと願っていた。そのため世界の滅亡は2000年という未来に設定された。
-最もこのミレニアムの時間設定は恣意的なものであり、現代人から見れば信頼性のあるものではない。だが、人気のある考え方というのもまた事実である。ミレニアム思想は、2001年をちょうどミレニアムの年とする。しかし、一般人は2000年こそが節目の年だ、と考えがちだ。
-最後の方では、障害者である息子の驚くべき計算能力を描くなど、グールドにしては珍しく自分の生活について語っている。
-理性と信仰の融合について冷淡だったテルトュリアヌスがカトリック信仰を捨ててマイナー宗派であるモンタノス派に走っていたという話は始めて知った。http://www.cbcj.catholic.jp/jpn/feature/newpope/bene_message217.htm
ベネディクト16世のテルトゥリアヌス観。
-ジェームズ・アッシャー『世界の起源から推論した旧約聖書年代記』
1650年に公刊。天地創造の日をBC4004年10月23日と推定した。イエスの生まれた年をBC4年と考えたのである。

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