origenesの日記

読書感想文を淡々と書いていきます。

アル=アフガーニとアブドゥフ

2008-04-13 19:51:02 | Weblog
近代になって、イスラムは自身の神学を見直さざるを得なくなった。イスラムこそがユダヤ・キリスト教の誤りを正した宗教である。それなのにも関わらず、イスラムはキリスト教に後塵を拝することとなってしまった。西洋近代文明に向き合いつつ、イスラムを内部から変えていこうとする動きが出てきた。
アル=アフガーニは19世紀を代表するイスラム学者。元々は12イマーム派出身だが、スンナ派のように振る舞い、宗派を越えた「パン・イスラミズム」を説いた。イスラムは非科学的だと批判したエルネスト・ルナンに反論し、西洋近代科学とイスラムとの調和を図った。彼にとってはイスラムとは理性と調和の宗教であり、西洋近代科学の精神とイスラムの精神は一致しえるものだったのである。
アル=アフガーニの弟子がエジプト出身のムハンマド・アブドゥフである。彼はイギリスの占領当局と良好な関係を築き、真の西洋近代文明は決してイスラムとは矛盾しないと考えた。彼自身はイスラムが西洋近代文明よりも優位に立つことを信じていたようだが、彼の思想は結果的にイスラム教の世俗化への道を開いてしまったとも言える。それは西洋近代文明に矛盾しない「イスラム教」への道であった。
尚、アブドゥフはイスラム世界の女性の地位向上にも一役買った人物である。

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