オペラ座の怪人な日々

オペラ座の怪人とドールハウス作りにはまっているミミルのページです。

原作を読んだ!そして、ケンヒル版を見た!

2018-09-03 17:00:00 | オペラ座書籍
※ ガストン・ルルーの小説「オペラ座の怪人」、ALW版及びケン・ヒル版ミュージカル「オペラ座の怪人」のネタバレを含みますので、ご注意ください。

昨年、KAATでの公演からハマってから抜け出せなくなったオペラ座の怪人ですが、
その直後に買って、少しだけ読んで頓挫していたガストン・ルルーの原作を読破しました!

途中までちょっと退屈でつらいところもあったけど、
再開してからはわりと一気に読み進められました。
全体として、けっこうおもしろかったです。

なぜ今さら原作を引っ張りだしてきたかというと、
ケン・ヒル版のオペラ座を観に行くにあたり、
JOJがテレビ番組で「原作を読んでおくともっと楽しめると思いますよ」的なことを言っていたので。
そしてまあ、ALW版とかよりも原作に近い、という触れ込みだったのでね、
一念発起して読みました。

で、まずケン・ヒル版に近いか、というと、私の印象としては、
けっこう違うんじゃないかな、と。
そもそも人物の設定がケン・ヒル版はけっこう大胆に変わっていますよね。
ラウルが子爵じゃなくて、支配人リシャールの息子だとか、
ペルシャ人がダロガじゃなくて、実はファントムの弟だとか。
原作では、ラウルはちゃんと子爵だし、兄のフィリップは伯爵です。
(まあ、この兄は、ALW版にも出てきませんけどね。)

まず、原作の感想ですけど、
ラウルの苦悩にかなりページが割かれていると思います。
恋に悩む乙女、じゃなくて青年ね!
ラウルはだいぶ感じやすい性格よね~
そして、そんなラウルを翻弄するクリスがけっこう悪女に見えるときがあります(笑)
ラウルが2か月後に南極探検に旅立つというので、それまでの期間限定でフィアンセごっこを提案してくるとか。
なかなか残酷な仕打ちじゃないですか、そんなの。
行くのやめる、ってことになったらどうするんじゃい。
それに、終盤までクリスが本当のことをまったく語らないんですよね。
そこにもイライラします。
終盤ではしおらしくしているけど、私は原作のクリスはあまり好きにはなれないかな~。

ファントムについても、それほど背景についての深い説明はないので、
そこまで感情移入をするほどでもないのですけど、
最後にペルシャ人(ダロガ)を頼って、最期の頼みをしにきたくだりは、
正直、涙を誘われました。
クリスとキスした話のところです。
あそこは、やはりALW版のあのシーン(もちろんロンドン25のラミンとシエラです!!)を思い出しながら、
本当に涙を流してしまいました。
あのときのファントムの気持ち、ミュージカル版ではファントムの演技から観客が推し量るわけですけど、
本人の口から語られることで、なるほど、やはりこういうことなんだな、というのがよく分かりました。
原作ではファントムは確かに死んだという扱いのようで、
死因ははっきりしませんけど(本人は恋煩い、というようなことを言っていた(^_^;))、
クリスたちにきちんと葬ってもらったというのは、せめてもの救いだったような気がします。
そこらへん、読後感としてすっきりしたものが得られます。
ALW版のラストは、ファントムは死んではいないですけど、
なんだかすっきりはしないですよね。
とても余韻はあるのですけど。
読み終わった(見終わった)あとのスッキリ感としては、どちらかというと私個人としては
ノートルダムの鐘に近い感じがします。

あと、ルルーは、けっこう比喩をつかった表現とかが巧みだと思いました。
ちょっと回りくどい感じがするところもあるけれども、
描写がうまくて、その場面のイメージが湧きやすいというか。
カルロッタの「ゲコッ」のくだりは、最初、本当にカエルが出てきたのかと思っていたので、笑えました。
ルルーには興味を持ったので、この後、ミステリーとして有名な「黄色い部屋の秘密」もちゃんと読みましたよ!

さて、これまでいくつかの映像化・舞台化作品を見てきましたが、
やはり個々のシーンやエピソード的なものが原作にいちばん近いのは、
ロン・チャニーが怪人を演じた1923年の無声映画版だと思います。
原作を読んでいるときは、概ねあの映画のシーンを思い浮かべていました。
マスカレードのシーンとか(レッドデスの姿はまさに!)、馬が出てくるところとか、
竹筒をつかってファントムが水に潜るところとか、ファントムがクリスにサソリを回すか、バッタを回すか迫るところとか。
先に映像を見たことがあったので、いい感じに読み進められました。
しかし、サソリを回すかバッタを回すか、ってところは、
原作でもなんでサソリなのかとか、そもそもそれらが何なのか(スイッチ的なもの?)も
別にそんなに詳しく説明されていなかったので、ふーん、という感じでしたが。
しかし、個々の場面はわりと原作に忠実に描いたと思われるロン・チャニー版であっても、
ファントムをモンスターとして描くものであったため(そもそもそいういう趣旨の映画だからね)、
ファントム(エリック)の人間らしい部分についてはまったく触れられていません。
そして、結末が相当違っていたのでビックリしました。
やはり、あの物語の肝は、最後の最後にクリスのキスによってファントムが人間の心を取り戻して、
自発的にクリスたちを解放することにあると思うのです。
なので、ロン・チャニー版のように、クリスが勝手に逃げ出し、
そして、最後ファントムが民衆に殺される、というのは違うと思うんですよね。
そうすると、なんだかんだ言って、ALW版がいちばん原作の良さを伝えているんじゃないですかね。

結局、そこに行きつくのよね~。
ケン・ヒル版が先に作られ、それにインスパイアされたというのはもちろん本当なんでしょうけど、
でも、この原作を昇華させてあの物語にしたというところに、やはりALW版の素晴らしさを感じずにはいられません。
やっぱり、私はALW版が大好きです、愛しています。
原作や、他の映像化・舞台化作品に触れることによって、ALW版の素晴らしさを再確認することができたと思います。
ALW版のノベライズとかあったら、読みたいな。
ちなみに、最近、スーザン・ケイの「ファントム」を読み始めました。
まだ最初ですが、なかなか面白くて引き込まれますね。
こりゃ、ますますエリックに感情移入して、次回生舞台を見たときの号泣度合がひどくなりそう・・・。


ケン・ヒル版についての感想は、また別途書きたいと思います!


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