日本年金機構の年金記録照合業務の入札情報漏洩(ろうえい)事件で、情報処理会社「NTTソルコ」側が、機構参事役高沢信一容疑者(46)=官製談合防止法違反容疑で逮捕=から提供を受けた入札参加各社の評価点数を一覧にした文書を活用して応札額を決め、落札につなげていたことが警視庁への取材でわかった。
捜査関係者によると、ソルコ社の営業担当部長山本一郎容疑者(43)=競売入札妨害容疑で逮捕=は高沢容疑者に入札に関する情報を要求。高沢容疑者は2月以降、入札日程や、予定価格が類推できる資料などをメールで山本容疑者に10回以上にわたり送信した。山本容疑者は欲しい情報を具体的に指定し、執拗(しつよう)に求めていたという。
山本容疑者は入札直前には、入札参加各社の提案内容を2千点満点で評価した技術点を一覧にした資料を作るように依頼。高沢容疑者は各社の技術点を調べて一覧表を作り、入札数日前の5月20日にJR新宿駅前で山本容疑者に手渡したとされる。
入札は、技術点を応札金額で割った数字がもっとも大きい業者を落札者とする総合評価方式。このため、技術点一覧があれば、入札参加各社の中で自社がどこに位置しているかを知ることができる。
捜査関係者によると、ソルコ社は技術点一覧を使い、自社が落札しやすい拠点を絞るなどして応札額を決定。全国29の作業拠点のうち17拠点の入札に参加し、千葉市の拠点を約8億2400万円、新潟市の拠点を約4億2700万円で落札した。
山本容疑者は捜査2課の調べに「技術点の他社との差がわかり、自社に利益が出るような応札額を計算することができた。一覧表は非常に役に立った」と話しているという。
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