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富田林百景+ 「とんだばやし」とその周辺の魅力を発信!「ええとこ富田林」

大阪の東南部に位置する人口10万ちょっとのごく普通の町、富田林。その魅力を、市民の手で発見していきます。

じないまちの駒つなぎ

2025年01月24日 | じないまち あれこれ

富田林じないまちのいろいろな風景を見て回りました。今回は「駒つなぎ」。

富田林じないまちには痕跡もふくめて11カ所に「駒つなぎ」があります。江戸期や明治期には馬や牛をつないでいたと思われます。

牛用(高い位置・痕跡も含め金属製)が8つ、馬用(低い位置・石製)が3つ。そのすべてをご紹介します。

なお、「駒」はふつう馬を指しますが、江戸期は富田林や大和 今井の駒つなぎは特に馬・牛を区別しないで「駒つなぎ」と呼んでいたようです。


2025年1月20日 16:00 佐藤家住宅 亀ヶ坂筋北会所町 

文政3(1820)建築 屋号:佐渡藤 紅梅味醂醸造 厨子(つし)二階平入り・入母屋/切妻・本瓦葺き・駒つなぎ・駒寄せ・起り屋根(むくりやね)の重厚な伝統的建造物です。

 

ここに2つの駒つなぎ。金属製の高いのと、石製の低いのと。

 

高いのは牛用。牛は馬より背が低いので、高い位置に固定されると苦しい状態なので、あまり動き回らずじっとしています。


富田林市北甲田 昭和30年代頃までいた農耕牛 特に雄の「コッテ牛」は力抜群。5~7人分の力を発揮します。上の方につながれるとつらい。


低いのは馬用。背の高い馬は低い位置につながれると、苦しい状態なので動き回らないと言われています。

富田林は両替商がなくお武家さんが少ないので、馬にまたがってやってくるお武家さん用の低いものが3つと少ないようです。牛に荷を乗せたり、荷車を引かせたりの商用が多いので牛用がその痕跡も含め8つあります。


福了商店 東筋北会所町 花崗岩製の馬用駒つなぎ

 

上賀茂神社 神馬(しんめ) 神山(こうやま)号 下の方につながれるとしんどい。


南奥谷家住宅 城之門筋北会所町 19世紀後期の建築 屋号:岩瀬屋 味醂醸造 厨子(つし)二階平入り・切妻・桟瓦(さんがわら)葺き・袖うだつ・駒つなぎ・駒寄せ

 

蔵についている金属製の輪っかが見えますか?

 

牛用の金属製の駒つなぎ


奈良県橿原市の今井町にはたくさんの駒つなぎがあります。俗に「今井千軒」「海の堺 陸の今井」と言われた繁栄を垣間見ることができます。

 

馬用もかなり見かけます。大名貸をする両替商もいたほどなので、馬用の駒つなぎも複数あります。藩札と同じ価値のある独自の紙幣「今井札」が流通し、「大和の金は今井に七分」「金の虫干し玄関まで」とまで言われ繁栄していました。

 

今井町は観光上手なので、「駒つなぎ」をうまく観光に生かしています。

こんな画鋲がほしいですね。


仲村家住宅 富筋西林町 大阪府指定文化財 

天明二(1782)~天明三年(1783)建築 屋号:佐渡屋 酒造業 主屋(厨子二階平入り 入母屋)・表屋造り(切妻)・桟瓦葺き・煙出し・駒寄せ・駒つなぎ

 

仲村家の来客用の正玄関近くにある駒つなぎ。周りの竹の格子が牛に耐えれるほどの強度があると思えないので、形だけのものかも知れません。

 

でも輪っかのところはすり減った跡が付いています。

 

今井町の駒つなぎに比べて、輪っかだけの簡単なものです。


今井町の立派な駒つなぎ 4ヶ所止めでこれなら抜けない。猪目(ハート形)がかわいいです。

 

猪によるゴシゴシの被害木 彼方 南原の谷 

ゴシゴシ体を擦り付けられて松の木が枯れています。猪でもこれだけ力が強いので牛馬はなおさらです。

江戸初期に馬の背に四斗樽のお酒を2個、約150kgを積んで上方から江戸まで運びました。すごい。

 

猪のヌタ場

ここでゴシゴシ水浴びをして、体に付いた虫を落としてから、さらに木にゴシゴシします。

「ぬたうちまわる」の語源になった場所。*「のたうちまわる」は語源的には誤り。


橋本家住宅 城之門筋東林町 18世紀後半建築 屋号:別井屋 酒造業 厨子(つし)二階平入り・入母屋・二階桟瓦・一階本瓦葺き・駒つなぎ・駒寄せ

 

手前に石の駒つなぎ(馬用)が見えます。

横の石は「いけず石」と言われている石。いわゆる妨害石。犬や猫、人、車などここには入ってもらいたくない時に置きます。「行けず石」なのか『いけず石(関西弁で「あの人、いけずやわあ。」などに使う。性格が悪いの意)』かは不明。

 

自然石を利用して、うまく穴をあけたのかなと思います。

 

富田林周辺は江戸前期にしか馬はおらなかったので、牛もつないだと思われます。牛は周辺の村では昭和30年代までは農耕牛として飼われていたようです。

 

橋本家住宅向かい 城之門筋東林町 建築年代不明 蔵

 

ここに三連の駒つなぎがあります。

じないまちの坂を荷車で上がってくるのは大変です。牛に荷車を引かせて山中田坂や比較的坂のゆるい北口・一里山口・西口に回り込んで上がってきたのかも知れません。

 

一番手前 柱に打ち付ける簡単なタイプ。牛の力でよく抜けます。

 

真ん中 腰板の後ろの柱のある場所に打ち付けたものと思われます。

 

3つ目 この状態で牛をつなぐと体を腰板にこすり付け腰板がボロボロになるのと、輪っかが当たったへこみが見られないので、ダミーの可能性もあります。

 

奥谷家住宅 城之門筋富山町 文化元年(1818)~文政十二年(1829)建設  屋号:岩瀬屋 材木業 平入り・入母屋・本瓦葺き・兜造り・駒つなぎ・駒寄せ・犬矢来

 

ここには駒つなぎが付けられたと思われる穴があります。ここは柱の下の方を牛が体をこすり付けて摩耗しています。

 

駒つなぎを取り付けたと思われる穴。

 

下の方が丸い柱のように摩耗していますが、一番下は角柱のままです。柱の上の方も角柱です。

 

旧杉山家住宅 市場筋西林町 寛永元年(1644)建設 国の重要文化財 屋号:わた屋 酒造業 厨子(つし)二階平入り・入母屋・八棟造り・本瓦葺き・忍び返し・駒つなぎ・駒寄せ

 

奥谷家住宅と同じように下から数十センチの所が摩耗しています。

 

駒つなぎを付けたと思われる穴。

 

すごく摩耗していて丸く柱が半分くらいになっています。驚きです。牛は力が強い。

 

「新・駒つなぎ」ならぬ、「チャリンコつなぎ」。 じないまちの洋食店「レイドバック」。

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