首都圏某所、ご自宅での湯灌サービスで、故人様は40代の男性です。
死因は交通事故死とのことで、いつもの如く、ドキドキしながら現場に向かいました。
・・・現場に到着し、インターホンを鳴らし、訪問。
迎えてくださったのは、喪主様(奥様)でした。
お子さんはいらっしゃらないようで、ご自宅には奥様と奥様の姉妹がいました。
故人様は、リビング脇の和室にお休みになっていました。
ご焼香をさせていただき、喪主様とご親族様へご挨拶。
奥様より
「準備をされている間、関係者に連絡していてもよろしいですか?」
「突然の死で・・・・・」
とのことで、私たちが処置と準備をしている間は、別室でお待ちいただくことにしました。
(準備の間、ご家族が立ち会われていないほうが、処置や準備が進めやすいです。特にご遺体に損傷などがある場合など。)
故人様のお身体の処置に入りましたが、擦り傷程度で激しい損傷もなく、交通事故死とは思えないくらい、安らかなお顔をしてお休みになっていました。
奥様は、故人様の会社関係や友人への連絡に追われ、バタバタしてされていましたが、湯灌の準備が整い、奥様にお声かけすると、奥様は電話連絡を止め、お部屋に入ってきてくださいました。
お身体のお清めに入らせていただく前に、末期の水をお取りいただきました。
先ほどまで毅然としていた奥様は突然、涙され、
「旅行に行こうって言っていたのに・・・」
「もっと一緒に過ごしたかったのに・・・」
お仕事が忙しく、一緒に過ごす時間が少なかったのかなぁ?と感じました。
シャンプーも奥様は涙しながら丁寧に洗ってくださいました。
・・・湯灌が終わり、電話連絡のことを気にされている様子だったので、
「お片付けとお着せ替えが済みましたらお声を掛けさせていただきますので、別室でお待ちください」
とご案内させていただきました。
・・・・・関係者への連絡が一段落したようなので、奥様にお声かけをし、皆様にお部屋にお集まりいただきました。
スーツへのお着替えと整髪した故人様を見て、
「綺麗になりました。ありがとうございます。」
「死んでいるようには見えないです。今にも目を開けそうです。」
と喜んでくださいました。
そのあと、ご家族だけでお別れをしていただくことにし、私たちは退席しました。
4~5分経ってお部屋に近づくと奥様の大きな声が部屋の外に漏れて来ました。
「ちょっと何これっ?・・・」
「・・・○○○、(故人様)こんなことしてたのっ?・・・・・???」
故人様の携帯電話を見ながら奥様はご立腹の様子。
私たちは一体、何が起きたのか分かりませんでした。
しばらく、お部屋の外から様子を見ていると、故人様の携帯電話を見て怒っているようでした。
メールを見ていたのか、写メールを見ていたのか分かりませんが、奥様の態度は明らかに変わってしまいました。
奥様の姉妹も動揺していて、お部屋の空気と温度は一気に悪くなりました。
私たちは奥様に声をかけることができず、静かに棺を搬入。
奥様が落ち着くのを待って納棺式をと思い、お待ちしていましたが、
ご姉妹の方が、
「どうぞ、進めてください。」
と言われたので、故人様をお棺へお納めさせていただきました。
ドライアイスや奥様がご用意されたお品を棺へお納めし、淡々と作業をすすめ、お蓋をお閉めしました。
湯灌と納棺式を終えたことを告げ、ご家族の皆さんにご挨拶し、そそくさ退室しました。
ご姉妹は玄関先まで見送ってくださいました。
ご姉妹より
「何か、スミマセンでしたね~」
と気まずそうにお詫びされました。
奥様は最後まで携帯電話チェックをされていて、お部屋から出てこられませんでした。
何とも後味の悪い業務になってしまいました。
そのあと、どうなったのか?わかりませんが・・・・・
携帯電話って怖いですね!?
皆さんは大丈夫ですか?
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