
倉橋由美子著 新潮文庫 税別¥438 平成二十年二月一日 十六刷改版
お花見の人数より少ないかも?という出席者の人数でしたが、概ね好評?だったのではと思います。
題名は知っていたけれど、実は読んでいなかったという人が多い作品でした。
私自身も初めて読みましたが、少女小説というのとはちと違うような・・・と感じました。(文庫の帯には桜庭一樹さんが少女小説って書いているのです。解説を読むと作者がそう言ってたかららしいけど)
ミステリアスなところもあり、構成も凝っていて、感動的というわけではないのですが、やはり名作といわれる何かがあるように感じました。
以下、みなさんの感想をどうぞ
・古びていない。当時としては「シンクロナイズドスイミング」という言葉が出てくるのは新しくておもしろい!
・なんかちょっと鬱陶しいかも、全部読めないかもしれない。
以前課題本になった「挽歌」に似てる?
・エロティックではない。頭(理性)で書いてるみたい。生々しいことを書いているのに体温が感じられない。
・時間軸が行きつ戻りつ、語り手が変わるのがおもしろい。個性の強さがあり、よくできてるけど、とっつきにくい。
・ひらがな、カタカナが混ざっていて読むのに時間がかかった。読みにくいかも。1回読んだだけではわからない。
・カタカナや傍線が気になった。最後まで、乗れずに読み終わった。女性特有の女性にしか造りあげられない世界を上手につくっている。
・タイトルだけでクラっとくるが初めて読んだ。もっと若いときに読んでいたらもっと感動したでしょう。高等遊民の世界。
早熟の天才が一気に書き上げたこの歳でないと書けない小説。
・20代の時に読んだことは覚えているのですが、「白いコート」と「田村町」しか覚えていなかった。今回読み直して、終りの方はくどいけど、面白く読んだ。
未紀はちょっといっちゃってる人?高等遊民というのは確かに言える。
昔の女性のほうが大人だな~
・理性的で、小説家のたくらみを感じる。実験的で、理屈っぽく観念的。しかし、読んでいてちょっとほっとする感じもする。
途切れず、スピード感があって好き。
・「近親相姦」という普遍的なテーマなので古びないのか?読みにくいところはあるけれど、いつの時代の人にも気持がわかるのでは。記憶喪失っていうのはいかがなものか。
・構成が素晴らしくミステリー要素があり面白く読めた。ちょっと大人びた高校生活を思い出す。
以前課題本になった「挽歌」の主人公のほうが共感できる。
・それなりに読めた。自分の娘が16歳なので、昔の子のほうが大人びてるなあ。
キャラクターやその時代の風俗はよく書けている。
昔は純文学ってよく読まれていたんですね。
講師より
当時の明大仏文科といえば、お金持ちのお嬢さんが多くて一番早熟で嫌味な女性が多かったのでは。著者はその代表か。典型的な文学少女。
「パルタイ」で明治大学の学長賞をもらっている。
「パルタイ」=共産党のことだが、この作品で組織とはなんであるのかを書こうとしていた。
「聖少女」では形而上学的に他者との関係性を描こうとしている。
「近親相姦」や「レズビアン」は記号として使いながら、自己と他者の関係を書いた作品。
性的なことを題材にしてはいるがだんだん無味乾燥な感じになったり、傍線で強調してみたり、記憶喪失を使ってみたり罠をしかけるような書き方をしている。
「スミヤキストQの冒険」ではもっと顕著に顕れているが実験的な作風だし、この作者の作品は純文学のなかでも、もっともわかりにくい部類では。
非常に唯一無二な才能のある作家。
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
今年になって、「聖少女」「スミヤキストQの冒険」(講談社文芸文庫)が相次いで、復刊されている倉橋由美子。多くの女流作家が活躍している現在、どんな風に読まれていくのか興味があります。「聖少女」に出てくるような魅力的なお店や、独特な比喩表現に惹かれて夢中になるような少女は今の世の中でも実在するのでしょうか?
レポート:舞浜嵐子
お花見の人数より少ないかも?という出席者の人数でしたが、概ね好評?だったのではと思います。
題名は知っていたけれど、実は読んでいなかったという人が多い作品でした。
私自身も初めて読みましたが、少女小説というのとはちと違うような・・・と感じました。(文庫の帯には桜庭一樹さんが少女小説って書いているのです。解説を読むと作者がそう言ってたかららしいけど)
ミステリアスなところもあり、構成も凝っていて、感動的というわけではないのですが、やはり名作といわれる何かがあるように感じました。
以下、みなさんの感想をどうぞ
・古びていない。当時としては「シンクロナイズドスイミング」という言葉が出てくるのは新しくておもしろい!
・なんかちょっと鬱陶しいかも、全部読めないかもしれない。
以前課題本になった「挽歌」に似てる?
・エロティックではない。頭(理性)で書いてるみたい。生々しいことを書いているのに体温が感じられない。
・時間軸が行きつ戻りつ、語り手が変わるのがおもしろい。個性の強さがあり、よくできてるけど、とっつきにくい。
・ひらがな、カタカナが混ざっていて読むのに時間がかかった。読みにくいかも。1回読んだだけではわからない。
・カタカナや傍線が気になった。最後まで、乗れずに読み終わった。女性特有の女性にしか造りあげられない世界を上手につくっている。
・タイトルだけでクラっとくるが初めて読んだ。もっと若いときに読んでいたらもっと感動したでしょう。高等遊民の世界。
早熟の天才が一気に書き上げたこの歳でないと書けない小説。
・20代の時に読んだことは覚えているのですが、「白いコート」と「田村町」しか覚えていなかった。今回読み直して、終りの方はくどいけど、面白く読んだ。
未紀はちょっといっちゃってる人?高等遊民というのは確かに言える。
昔の女性のほうが大人だな~
・理性的で、小説家のたくらみを感じる。実験的で、理屈っぽく観念的。しかし、読んでいてちょっとほっとする感じもする。
途切れず、スピード感があって好き。
・「近親相姦」という普遍的なテーマなので古びないのか?読みにくいところはあるけれど、いつの時代の人にも気持がわかるのでは。記憶喪失っていうのはいかがなものか。
・構成が素晴らしくミステリー要素があり面白く読めた。ちょっと大人びた高校生活を思い出す。
以前課題本になった「挽歌」の主人公のほうが共感できる。
・それなりに読めた。自分の娘が16歳なので、昔の子のほうが大人びてるなあ。
キャラクターやその時代の風俗はよく書けている。
昔は純文学ってよく読まれていたんですね。
講師より
当時の明大仏文科といえば、お金持ちのお嬢さんが多くて一番早熟で嫌味な女性が多かったのでは。著者はその代表か。典型的な文学少女。
「パルタイ」で明治大学の学長賞をもらっている。
「パルタイ」=共産党のことだが、この作品で組織とはなんであるのかを書こうとしていた。
「聖少女」では形而上学的に他者との関係性を描こうとしている。
「近親相姦」や「レズビアン」は記号として使いながら、自己と他者の関係を書いた作品。
性的なことを題材にしてはいるがだんだん無味乾燥な感じになったり、傍線で強調してみたり、記憶喪失を使ってみたり罠をしかけるような書き方をしている。
「スミヤキストQの冒険」ではもっと顕著に顕れているが実験的な作風だし、この作者の作品は純文学のなかでも、もっともわかりにくい部類では。
非常に唯一無二な才能のある作家。
★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★ ★★★★
今年になって、「聖少女」「スミヤキストQの冒険」(講談社文芸文庫)が相次いで、復刊されている倉橋由美子。多くの女流作家が活躍している現在、どんな風に読まれていくのか興味があります。「聖少女」に出てくるような魅力的なお店や、独特な比喩表現に惹かれて夢中になるような少女は今の世の中でも実在するのでしょうか?
レポート:舞浜嵐子
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