
新加入お一人(welcome!)、見学お二人、あらお久しぶり、の方などの参加をえて、にぎにぎしく開かれた8月の例会。課題本は「どちらでもいい」でしたが、著者の代表作「悪童日記」の存在抜きには語れない作品であり、「悪童日記」が裏課題本という感じでした。とはいえ、「悪童日記」を読んでいたのはほぼ半分くらい。講師も今回の課題本をきっかけに3部作を読まれたそうです。
否定的な意見の中には「暗い」「不愉快」「疲れる」「落ち込む」など、感覚的に受け付けない方多数。ほかには「ひねりがない」「おちがない」「散漫」など、小説としての完成度に疑問の声があがりました。
肯定的な意見としては「研ぎすまされた文章」「読者サービスはしてないけど、書くことへの執着が伝わる」「「悪童日記」が生まれるための卵だと思うと興味深く読めた」など。
比較的評判が良かったのは「斧」「ホームディナー」「間違い電話」などストーリー性のある作品。「わけわからないのもあった」という声も多くありましたが、著者が1冊の短編集にまとめる意図で書いたものではないということを前提に考えないといけないよね、という意見にみんなうなずきました。
講師は「デッサンのようで粗削りな作品だが、嗜虐的な笑いなど、この著者の特徴はちりばめられている短編集であり、「悪童日記」という傑作の原型がこの中にある」とおっしゃり、「悪童日記」の分析に多くの時間を割きました。「少年の目から見た戦争をどう描くか」「街が人に及ぼす影響」など小説としておもしろいテーマを扱い、緻密に計算された構成と硬質な文体が見事にはまった作品との評価。今回読むことができてよかったと言っていただき、推薦者としてはうれしく思いました。
「文盲」という自伝を読んだ会員によると、著者はハンガリーで生まれ育ち、「ハンガリー動乱」をきっかけに、20代初めスイスに亡命しますが、ずっと読み書きができなかったのだそうです。小説は母国語ではないフランス語で書かれていますが、母国語は書けないからだったのですね。そぎ落としたような文体の秘密の一端に触れた気がしました。
未読の方はぜひぜひ「悪童日記」を読んでくださいね! ああ、これがあったから、あれがあるわけねと、今回の課題本への理解がいっそう深まること請け合いです。
(参加者 17人)(レポート:ジェフィ23)
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