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雨季合宿課題本 ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ22』

2016-06-12 15:30:46 | ・例会レポ

ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ22』
( ハヤカワepi文庫 2016年 上巻/下巻

第二次世界大戦末期。中部イタリアのピアノーサ島にあるアメリカ空軍基地に所属するヨッサリアン大尉の願いはただ一つ、生きのびることだ。仮病を使って入院したり、狂気を装って戦闘任務の遂行不能を訴えたり、なんとかして出撃を免れようとする。しかしそのたびに巧妙な仕組みをもつ恐るべき軍規、キャッチ=22に阻まれるのだった。強烈なブラック・ユーモアで、戦争の狂気や現代社会の不条理を鋭く風刺する傑作小説。 (Amazon 内容紹介より)

● 作品について
書かれたのは1961年。
作者のジョーゼフ・ヘラーは自身21歳のとき第2次世界大戦のイタリア戦線に送られ、B-25の爆撃手として60回出撃したということです。その経験を下 敷きに書かれた『キャッチ=22』は、アメリカでは1,000万部を超えるロングセラー作品となり、『ライ麦畑でつかまえて』と並ぶ高校生の愛読書なのだ とか。

日本では、1969年代に早川書房から発行されたようですが、1977年に文庫化され、その際に『本の雑誌』の新刊紹介で取り上げられたりして話題になったそうです。講師もそのときに読んだとおっしゃっていました。

なお、映画は1970年に公開されています(監督:マイク・ニコルズ)。


● みんなの感想
参加者23人中、17人が最後まで読んで(見て)いました。こんなに読めると実は思っていなかったです。わたし自身、もし推薦人じゃなかったら挫折してた 可能性大です。いつも2度読み、3度読みするYさんやTさんもさすがに1回しか読んでいなかったことも書いておかなくちゃ。ま、とにかく、良く言えば読み 応えがあり、ぶっちゃけて言えば読みにくい、なんじゃこれな作品と言えるかもしれません。

その中で、5〜6人の方が大変高く評価しました。
Yさんの「読んだと言うより体験した」、Dさんの「刺さった」という言葉が、全てを語ってくれたと思います。本を読みながら、何らかの身体感覚を味わえる というのは、凄い作品の力ですよね。わたしも「胸ずん」級の、一生モノの読書だったと言っちゃいますよ。今後、読んだことを自慢します。

新装なった文庫版の解説で松田青子さんも書いていますが、「戦争もの」だけど、それは舞台装置として使っただけで、そこに書かれていることは、当時の社会 でも、現代社会でも、どこの国でも当てはまる現実です。社会の歪み、人間の狂気など、さまざまなテーマを突きつけてきます。だから、50年以上たっても古 びない。これからも読み継がれる作品だと思いました。


● 講師のコメント
戦争という舞台は「深い群像劇」を描くのにぴったりなので、優れた作品がいくつも生まれています。トルストイの『戦争と平和』、ヘミングウェイの『武器よさらば』、野間宏の『真空地帯』、映画なら『ディア・ハンター』など。

この作品では、狂気と正気が渾然一体、行ったり来たりして、端から見ると馬鹿げていたりする現実が、意図的に繰り返しと混乱という形をとりながら、描かれ ていきます。米軍が主役ではなかったヨーロッパ戦線が舞台となっているからこそのおもしろさ、ばかばかしさがいい感じです(ごめんなさい、宴会しながらの 読書会で、この辺はもう酔っぱらいになってしまったのであまり覚えていなくて…)。

それはともかく、今週の『とと姉ちゃん』は大変よかったというお話もありました。詳しく聴きたい方は講師までお問い合わせください。

(MK)



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