にいはんは周回遅れ

世間の流れとは違う時空に生きる

新聞ごっこがしたかったのか

2008-06-02 | オーマイニュース

この週明けから、オーマイニュース(以下OMN)の投稿システムが変わりました。

平野日出木編集長名義のアナウンスによれば、投稿1回あたりに入力可能な文字数を従来の8000字から1800字に大幅カットするとの事。アナウンスは5月31日の深夜に出されましたが、週末を挟んで6月2日の午前10時にはもう実施されているそうで、OMNらしからぬ手際の良さにまず目がいきました。

ところが、今回入力文字数の大幅カットに至った理由を読むと、皮肉なことに編集作業が手際よく行えていないOMNの現状が白日の下にさらされています。そこで、アナウンスを引用しながら例によってツッコミを入れていきます。(引用部分はイタリック体で表示、フォント変更・太字は筆者)

長過ぎるご投稿は、編集にも時間がかかります。編集のスピードアップと、記者の意図を誤読するリスクを減らすためにも、投稿文字数を制限し、投稿の短縮化、ひいては掲載記事のスリム化を図ります。

ちょっと待って下さい。文字数制限を云々する前に、OMNの編集スキルがどれくらいのレベルにあるのかを確認してみましょう。

まず、昨年4月に行われた札幌カフェを取り上げたエントリから、元木昌彦編集長代理(当時)の発言(要旨)を引用します。

「編集部員の編集能力には大きな差がある。現在のOMNで一番の問題点」

元木氏の発言があってからもう1年以上が経っていますが、その後OMNがこの問題点について言及した事はなく、今回のアナウンスでもその点については触れられていません。触れられていなくても問題が解消されてさえいればいいのですが、かつて編集部から“水にナルト”のすうぱあへんしゅうを食らった経験を持つ渡辺亮記者は、今も編集能力の差を感じるとある記事のコメント欄(12番)で述べています。

>ひらりんさん(※10)
 当たった編集の方にもよるようで、どうも中には事実関係や時空を捻じ曲げるスーパー編集を掛けたり誤字を増やしたりする方も……。でも、ご存知でしょうが丁寧な編集もあります。ただ困ったことに、私の見立てたところではGoodJobなのが”編集長”。あまり編集長が自ら記事を編集されているというのもどうなのかと……

確かに、長い投稿が短いそれに比べて編集に多くの時間がかかるというのは事実でしょう。しかし、編集スキルがある一定のレベルに達していれば、時間がかかるといってもそれなりの本数がこなせるだろう事は想像に難くありません。その事は、編集長となった今でも多くの記事を編集している平野氏なら十分に理解しているはずです。

編集のスピードアップにまず必要なものは、文字数制限よりも編集部員のスキルアップではないかと思えてならないのですが・・・

また、記者の意図を誤読するリスクを減らすという理由にも少々首を傾げたくなります。

一般的に、文章に書かれていない事を文脈や行間から読み取るのは、書かれている事を読み取るよりは難しいと考えられます。そうなると、長い投稿が必ずしも記者の意図を伝えられないとは限らないでしょう。記事が長くなってきているのは、執筆者が不要な誤解を避ける為、記事の意図を言葉を尽くして説明している一面があるのではないでしょうか。

1600字は決して短くありません。たとえば新聞の1面トップ記事は900字程度、左側の大きな囲み記事でも、およそ1300字~1600字です。

平野氏は、新聞を例に出して文字数制限の正当性を主張しようとしています。ですが、新聞とネットメディアをこのような形で比較するのは、ちょっと違うなと感じます。OMNは新聞ではありませんし、新聞のようなメディアを目指しているわけでもないでしょう。市民記者もまた然り。新聞に載るような記事を書きたい、新聞記者のようになりたいと考えてOMNに参加している市民記者など殆どいないのではないでしょうか。

いわゆるプロの枠に収まらない市民記者の記事が読めるというのが、OMNというか市民メディアの特長です。今回の文字数制限で、その特長が消えないまでも薄れてしまわないかとかなり心配なのですが、既に文字数制限は実行に移されてしまっています。こうなってしまった以上は、心配が杞憂に終わることを祈るしかなさそうです。