にいはんは周回遅れ

世間の流れとは違う時空に生きる

市民記者、使い捨てではありませんよね

2006-12-13 | オーマイニュース

オーマイニュース(以下OMN)恒例の月間市民記者賞が発表されました。受賞記事には、政治家の資金集めパーティーへの潜入記事が含まれています。鳥越編集長は、この記事への講評で筆記用具とレコーダーくらいは用意して現場へ出かけて欲しいと、取材時の心がけを語っています。市民記者はプロの記者とは異なりますから、こういう機会に取材のイロハを伝授するのはいいことです。

また、先日は他の市民記者による出会いカフェへの潜入取材が掲載されました。市民記者の活動範囲が徐々に広がりをみせてきたようで、OMNにとって喜ばしいことです。今までならプロの記者にしか書けなかった記事が市民記者にも発信できれば、OMNそのものが厚みというか、存在感を増していきそうですね。

さて、ここからちょっとめんどくさい話に移ります。現在、取材上のトラブルが発生したときにその責任は市民記者にあります。いえ、この言い方は正しくありません。市民記者規約には、この点について規定した記述がないのです。幸い、これまでにOMNで取材上のトラブルがあったという報告は見ていません。市民記者の皆さんが自覚を持ち、節度を保った取材を行っている表れでしょう。

しかし、記者が努力していれば今後もトラブルが起こらないという保証はありません。潜入取材を行う際に、あえて身分を明らかにしない場合があるでしょうし、通常の取材であっても、相手が顔見知りでなければOMN市民記者としての身分証明を求められる場合もあるでしょう。見ず知らずの他人から、いつでもはいそうですかとコメントを引き出せるはずがないのです。その為に取材がおろそかになった記事が掲載されれば、それはOMNにとっての損失にもなります。

現状ではそのような場合にOMN市民記者であると即座に証明することができません。ごく一部の市民記者以外はOMN編集部の電話番号を知らないのですから、PCを立ち上げてマイページにアクセスするくらいしか方法はないでしょう。これでは編集部に確認を求められませんから、取材時に何かあってもOMNは市民記者を守ってくれないのです。

一方、プロ記者の場合にはそのようなことはないはずです。マニュアルはあるでしょうし、取材のノウハウも蓄積されています。トラブルが発生しても身分証を提示して編集部に連絡すれば、OMNとして何らかの対応をするはずです。取材をして記事を書きなさいと、身一つで投げ出される市民記者とは天と地の差があります。

この一件をもって「市民記者とプロ記者の待遇をすべて同等にせよ」などとOMNにシュプレヒコールをするつもりはありません。しかし、取材をして記事を書くという行為にプロと市民の違いがあるでしょうか。むしろ、肩書きのない市民記者の方が取材は大変でしょうし、独自のノウハウしかない分、トラブルに巻き込まれる危険性は高いといえます。

OMNはもっと取材に伴う危険を市民記者にアナウンスしましょう
OMNは万一のトラブルに備え、緊急連絡先を市民記者に公開しましょう

貴重な財産である市民記者が安心して取材をし、記事を書ける環境を構築するための提案でした。

おまけ
「あーちゃん」の記事が市民記者賞を受賞しました。ほのぼのとした良記事だと思います。
ただ、タイトルと内容のギャップが評価されるのはOMN的にどうなんでしょう?


オーマイニュース特集を考える(2)

2006-12-13 | オーマイニュース

TVをはじめとした既存メディアの報道のやり方に「言葉の一部を切り取ってそこだけを集中的に報じる」という方法があります。今回放送された特集の中でもその手法がみられました。ここで取り上げるのは、ある市民記者が、投稿した記事に対する批判コメントを見て「書く気力が一瞬にして失せた」と語るくだりです。

映像では「ガキのくせに大人に向かって生意気な口をきくな。」の一行だけがクローズアップされていました。しかし、実際のコメントはこの一行だけではありません。コメント全体に目を通せばその解釈は人によって異なるでしょう。市民記者本人もこの文章をすべて読んだ上で前述の感想を持ったはずです。

ところが、TVの視聴者には挑発的な一行しか目に入りません。いきなり「ガキのくせに大人に向かって生意気な口をきくな。」という言葉を叩きつける人のせいで、市民記者が傷ついた。これだけです。恣意的な編集により、視聴者の解釈の幅が狭められているのは明白です。

何より事実を重んじるオーマイニュースは、今回のTV報道を他山の石として、まっとうなメディアへの道を歩んでいきましょう。