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<経産大臣指定伝統的工芸品> 石川 牛首紬

2021-04-07 07:32:12 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「牛首紬」

 Description / 特徴・産地

 牛首紬とは?
 牛首紬(うしくびつむぎ)は石川県の白石市で作られている織物です。1988年(昭和63年)に国の伝統的工芸品に指定されました。
 牛首紬の特徴は2匹の蚕(かいこ)が作った玉繭(たままゆ)から糸を紡ぎ出し、糸づくりから製織までのほとんどの作業を手作業で一貫生産していることです。また、釘に引っかけても釘の方が抜けてしまうという「釘抜紬(くぎぬきつむぎ)」の別名をもつほどの丈夫さも兼ね備えています。
 玉繭は糸を引くのが難しいため、従来は「くず繭」とされていました。しかし、職人の熟練の技によって直接糸を挽き出すことができ、さらに、手挽きしたことで糸に弾力が生まれ丈夫な織物を生み出すことに成功しました。
 耐久性に優れながらも通気性や肌触りのよさ、また、美しい光沢があることも多くの人を惹きつける魅力で、製品としては伝統的な柄である藍染めのカツオ縞の着物をはじめ、訪問着や帯、和装小物などが作られています。さらに、最近ではパリコレクションに採用されるなど、洋装用の素材として海外からも注目されています。

 History / 歴史
 1159年(保元4年)に起きた平治の乱に破れた源氏の落人が白山の麓にある牛首村(旧、白峰村、現、白山市)に逃れ、同行していた妻が村人に機織りを教えたことが牛首紬のはじまりと言われています。江戸時代、幕府直轄の天領となった白峰地方は幕府の保護奨励策や商品経済の発達と相まって全国的に有名になり、牛首村の絹織物は全国に販売されるようになります。
 明治以降も養蚕の奨励や紬織りの発展によって牛首紬の需要は高まり、明治時代末期には生産販売体制が本格的に確立しました。しかし、昭和10年前後をピークに断絶の危機を迎えます。和服の需要の低下や第二次世界大戦などの影響も受けて商業としての紬生産は一時、途絶えることとなり、一部の職人によって伝統的な技術を保つだけになりました。
 戦後、白峰の地場産業の振興を目指す動きと牛首紬に対する熱意によって桑畑の造成や養蚕の取り組みが行われ、牛首紬を生産する工場が稼働できるようになります。1974年(昭和49年)には牛首紬のふるさとである、旧白峰村の桑島地区にあった生産工場は手取川ダムの建設に伴い他の地区や近隣の町などに移転しました。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/ushikubitsumugi/ より

 小さな自然の神秘が織りなす絹の織物
 牛首紬は、白山の麓にある白峰村(旧牛首村)に古くから織り継がれている自家製の織物。この地方は、養蚕と機織りを生業とししてきた。もともと、「つむぎ」は藩政時代に織物の着用を禁じられた町民が絹物と区別するために呼んだのがその始まりらしい。

 
 親子二代にわたり伝統を受け継ぐ職人魂
 今までの歴史のなかで、時代によっていろんな推移があったが、現在は石川県の無形文化財のひとつに指定されている牛首紬。糸つむぎ歴30年という大ベテラン職人の山下とみさんにお話をお伺いした。「うちもおばあちゃんの代から、お蚕(かいこ)さんを飼って大事にしとりました。」と静かに語ってくれた。牛首紬の大きな特徴は、玉繭(たままゆ)から直接手引きする糸で織られること。玉繭とは、蚕が繭を作る際に2匹の繭が共同で作った繭のことで、2匹の蚕の糸が中で複雑に絡まりあっているため、通常の繭よりも糸が切れやすく、糸引き作業はきわめて困難で熟練の腕を要する。けれども、この玉繭こそが、自然の小節からできる独特の表情を生み出してくれる。牛首紬は、この玉繭からできた糸を横糸に、通常の繭からの糸を縦糸に美しい綾を織りなしていく。


 しなやかなうえに、耐久性のある牛首紬の寿命は100年以上
 手際よく糸を紡ぐ山下さんは、言う。「こんなたいへんな作業は、きっと機械には無理でしょうね。でも、これがあるから手織独特の風合いと絹の光沢、そして抜群の耐久性もあって、重宝されているんとちがいますか。」確かに美しさばかりでなく、しっかりとした紬で、うまく着たなら3代にわたって100年は持つという。「昔は、山から採ってきた桑の葉をお蚕さんに、朝昼晩の2回ずつ6回あげてました。繭を作り始め、その繭が透けてきたら、まむしという台に乗せて1週間おいておきます。」


 地道な糸引きこそが、牛首の伝統工芸を支える技となる
 「繭は熱を加えていかんと、すぐちぎれてしまうので、小羽切れというもので、ていねいにほどいていきます。この時に、繭の糸が切れやすいんで、気をつけんとね。」機械にはできない、まさに職人芸の域で、特にこの作業には細心の注意と集中力が必要だ。「だいたい数十個単位の繭から1本の糸を紡ぎますが、一反作るには、およそ4000個ほどの繭がいることになりますね。」冬場は蒸気と熱が暖かくていいが、夏場は蒸し暑くてたいへんな作業だという。そんな背景から、なかなか次世代にこのたいへんな作業を継いでくれる人がいないという。


 縦糸約200デニール、横糸約280デニールの超極細の世界
 「未だに、完璧な糸なんてできたことはないですね。初めの頃は指に糸が吸い付いてうまくいかなかったし、きれいに紡げたかなという時がたまにあっても、あとで見てみると、太さが微妙に違ったりで・・・。ちょっとした気持ちの変化とかで、糸が太くなったり、細くなったりしますから。今でもうまくいきませんね。なかなか・・・。」
 30年のベテランの山下さんで、完璧な糸が紡げないとしたら、何年、この地道な糸紡ぎの作業をしたら、一人前になれるのだろう?

 「たいへんな仕事ですけど、うれしいのは、やはり紬を来ている人と会ったとき。自分の糸で織ったかどうかまではわかりませんが、なんだか顔がほころびますね。この間も、女優の水谷よしえさんが、牛首紬を着られて、この場所に来られたんですよ。思わず、感激してしまいましたね。」
 着物を身につけると女性がさらに美しくなるのは、この繊細な世界が、醸し出すしなやかな自然美の賜物かもしれない。
糸によりをかけるための八丁式撚糸機。つい最近までは手作業で糸よりも行われていた

 山下さんたちの代が最後の頼みの綱。この糸が紡ぐ人がいなくなれば、紬を織ることもできなくなってしまう。

 職人プロフィール

 山下とみ (やましたとみ)

 糸つむぎをして、早30年という山下とみさん。ふだんもよくきものを身につけ、作業をするとか。年齢は、内緒ということ。


 こぼれ話

 食卓を優しく彩る牛首紬

 最近は、着物の用途以外にテーブルウェアとしても活躍している牛首紬。

 天然シルクの輝くような美しさとやわらかな風合いは、洋風のテイストにも和風のテイストにもどちらにもマッチ。

 春夏秋冬、移りゆく美しい季節を四季それぞれの草木染めの色で表現する牛首紬のテーブルウェアはちょっとした気品で華やかに食卓を彩ってくれます。

 玉繭による柔らかな地風は、牛首紬独特のもの。空気を含んだように柔らかな糸を手織り機で織り上げているから、クッションにも艶やかで優しい手触りになっています。

 コースターやテーブルセンターからクッションまで、独特の表面の美しさと天然染料ならではの深みのある色彩に触れ、身近なインテリアに生かしてみてはいかがです?

*https://kougeihin.jp/craft/0118/ より


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