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<経産大臣指定伝統的工芸品> 福井 若狭塗

2021-04-19 06:43:28 | 経済産業大臣指定伝統的工芸品

 「若狭塗」

 Description / 特徴・産地

 若狭塗とは?
 若狭塗(わかさぬり)は、福井県小浜市周辺で作られている漆器です。江戸時代初期に、若狭湾のそばに領地があった小浜藩の御用職人が、美しい海底の様子を図案化したものが起源とされています。
 若狭湾は狭い湾がいくつも入り込んだリアス式海岸で、日本三景のひとつに数えられる天橋立(あまのはしだて)や、日本三大松原のひとつである気比松原(けひのまつばら)など、多くの景勝地がある風光明媚な場所です。
 若狭塗の特徴は、卵の殻や貝殻、マツの葉などで模様をつくり、その上に漆を塗り重ねて研ぐ「研ぎ出し技法」を用いていることです。そのため、漆器のなかでも独特な風格と重厚感を持っているので、美術品として珍重されています。水や熱に強いことから日用品としても普及し、若狭塗箸は国内で生産されている塗箸の多くを占めているほどです。また、分業ではなくすべての工程をひとりの職人が一貫して行なうので、それぞれの職人の個性が強くあらわれることも若狭塗の魅力となっています。

 History / 歴史
 若狭塗 - 歴史

 若狭塗は、江戸時代初期の1596~1615年(慶長年間)に、小浜藩の漆塗り職人だった松浦三十郎が若狭湾の海底の模様をデザインし、中国から伝わった漆器を参考にして作ったのがはじまりと伝えられています。この原型を改良したものが「菊塵塗(きくじんぬり)」で、その後、弟子がさらに「磯草塗(いそくさぬり)」という技法を編み出しました。現在に伝わる技法が完成したのは1658~1660年(万治年間)のことです。この技法を当時の小浜藩主が若狭塗と名付けて、下級武士である足軽(あしがる)の内職として保護・奨励しました。
 歴代の小浜藩主が藩の財政を支える中心的な産業として若狭塗の生産を積極的に推進したため、多くの優れた職人が出て、さまざまな美しい図案が誕生しました。
 江戸時代の中期から後期にかけての時期が、若狭塗の最盛期といわれています。明治時代以降も、この地域の特産品として人気を集めました。現在は、時代の流れに合った新しいデザインの研究も進められています。

*https://kogeijapan.com/locale/ja_JP/wakasanuri/ より

 美しい海底を漆器で表現、若狭塗
 若狭塗は、透明度の高い海を思わせる神秘的な模様で有名だが、もう一つの大きな特徴がある。若狭塗は、各工程が分業されておらず、一人の職人が木地作り以外のすべてを行っている。細かな模様の色艶すべてに職人の思いが込められている。

 
 塗りと研ぎ出しの繰り返しが生む、自然の美
 美しい海底とも夜空の星々とも形容される独特の模様は、卵殻、貝殻、松葉、桧葉、菜種、籾がらなど様々な自然の素材をうまく使った“研ぎ出し”の手法で得られる。「ここらは海が近いですから、風が強くて、塗りの作業の最中に風が吹いて籾がらや砂などが付いてしまい、そこから生まれたという言い伝えがあります。」と話される古川光作さんは祖父の代から続く古川若狭塗店の三代目で伝統工芸士。
 若狭塗は約400年ほどの歴史がある。「この特徴的な模様は、その昔、塗師の若者が、(小浜湾の外側にあたる景勝地である)蘇洞門(そとも)に出たときに海底のあまりの美しさに感動して、若狭塗で表現したと伝えられています。」若狭塗は自然の素材を使って、自然の美しさを表現した工芸品なのだ。


 冬の間しかできない“模様つけ”
 研ぎ出しで浮かび上がる模様は、木地に下地の塗りを施した後に行う“模様付け”の作業で決まる。
 「(この作業が)一番神経を使います。この模様が若狭塗の基本ですし、もちろん(ここでの作業の善し悪しが)仕上がりにも影響します。模様は漆を塗った後、乾く前に松葉などをつけて作りますが、このとき漆の乾きが速すぎると漆がうまく集まってこなくて模様になりません。だからこの作業は12月から3月の温度と湿度が低いときにしかできません。」漆が乾くには湿度が必要だが、梅雨時などは乾きが速くなりすぎてしまうという。
 模様付けを行った後はひたすら塗りと研ぎ出しの作業を繰り返す。「若狭の馬鹿塗りなんて言われます。馬鹿になるほど塗っては研ぐという意味。」ひとつの品物が完成するのにだいたい1年はかかるという。


 下地から売りまですべて一人の職人が行う
 若狭塗のもう一つの特徴は、木地の下地から上塗りまですべての工程を一人の職人が行うことにある。
 「木地のみを仕入れて、その後はすべてやります。分業されていないのです。うちもそうですが、職人は仕事場のすぐ横に店を構えて、自分で作ったものを自分で売っています。」そのため自分の作った品にはとことんまで責任を持つという。
 「若狭塗の全行程は66にもなります。覚えなきゃならんことがとても多いですから、とりあえず品物が作れるようになるまで5年はかかります。実際にお客さんが買ってくれるようなものが作れて、仕事としてやっていけるようになるには、まぁ10年はかかりますね。」

 店ごとに違う個性的な模様
 すべてを一人がやることで、職人それぞれの個性が製品に強く表れてくる。「店ごとに少しずつ模様が違うんです。おこし模様(松葉や菜種でつけた模様)が細かったり粗かったり。それぞれの店に伝わる伝統の図柄もあります。だから見る人が見れば“あぁ、これは古川の仕事だな”とわかるんです。例えばこの梅も古川独特の図柄です。」お客もその図柄によって好みが分かれてくる。だから、何軒かある若狭塗店の中でも、“古川の店のお得意様”というのが生まれてくるのだという。

 見えないところの作業が値打ちを生む
 漆器は作業工程上どうしても高価になってしまう。だからといって、せっかく買ったものをもったいないから使わないというのでは意味がない。「毎日使うものだからこそ高価なものを選んでほしいですね。漆塗りは見えないところにちゃんと下地の作業をしているから値打ちがあるんです。値打ちがあるものは壊れないし、使うほど良い艶がでる。それに壊れたら修理すればいいんです。うちのもんであればとことんまで責任を持って直させていただきます。」
 お客さんからいろいろ注文をつけてもらえるのがうれしい、という古川さん。子供の頃から親の仕事を見て育ち、ものづくりへの純粋な気持ちからこの仕事を始めた。その情熱はまだまださめる様子はない。

 職人プロフィール

 古川光作 (ふるかわこうさく)

 古川若狭塗店三代目で伝統工芸士。27歳から33年間の職人歴。良いものを作り、残していきたいという。

 こぼれ話

 愛着のある自分専用の塗箸を持ち歩こう

 若狭は全国の塗箸の8割以上を生産しています。塗箸は丈夫なので毎日使っても5年は持つとのこと。もちろん若狭塗独特の研ぎ出しの技法による美しい模様も入っています。この伝統的で美しいお箸を自宅だけで使うのはもったいないと思いませんか。ぜひ持ち歩いて外食時にもお気に入りの一膳を使ってみてはいかがでしょう。最初は少し気恥ずかしいかもしれませんが、食へのこだわりを追求すれば、当然道具にも気を使うべき。ここ数年、若者を中心に人気を集めているコーヒーショップでは、自前のカップに飲み物を注いでくれるサービスも実施しているそうです。ならば、お箸はもちろん、味噌汁用にお椀の持ち歩きさえも自然に感じられる時代が来るのかも・・・・?

*https://kougeihin.jp/craft/0518/ より


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