記日きつい思れぐま気 from バンクーバー

2012年4月から妻の海外赴任に伴い主夫業と育児に励む30代男性の日常。バンクーバー関係ないことも多々あります。

感想文「孟嘗君」

2013-02-09 08:18:37 | 本の感想
面白かった!Amazonさんからオススメされて、評価も高いので1巻だけ買ってイエローナイフ滞在中に読み始めたらはまりました。

孟嘗君は戦国四君子として各国の宰相(総理大臣)を務め古代中国で活躍した人物です。紀元前350年頃の生まれ。太公望が活躍した時代から600年以上後、秦の始皇帝が中国統一を果たす100年ちょっと前のお話。太公望が助けて周が王朝を立ててからだいぶ経ち、周王朝には求心力が亡くなり群雄割拠する春秋・戦国時代と呼ばれる時代に移ります。

この物語は孟嘗君・田文が生まれるところから始まります。「5月5日に生まれた子は背が戸の高さまで伸びると親を殺す」といういわれがあることから、田文の父、田嬰は妾の青蘭に子を殺すように言いつけます。5月5日。僕の誕生日でもありまして、世が世なら僕も殺されていたかもしれなかったんですね、くわばらくわばら。さて、そんな無茶な言いつけに背き、青蘭は僕延という側用人に田文を託し、そこから田文の波瀾万丈の旅が始まります。

その後養父となった風洪という人が前半の主人公になるんですが、この風洪さんがとにかくかっこいい。剣の使い手にして洞察力に優れ、天運に恵まれていて彼が運んだ荷物は盗賊に襲われないと商人から重宝され、出入りする家は財が倍に膨らむ福の神と称されます。女性にはモテモテで会う人みんな惚れさせ、さらに勇気もあり捕われた人を助けるため敵の屋敷に単身乗り込み見事に救出。文句なしなスーパーマンなわけですが嫌らしくなく、ホントにとにかくかっこいいんです。こんな男に僕もなりたい!

そして風洪、田文の周りに現れ物語を彩る天才達もまたかっこいい。始皇帝が中国統一を果たす礎を作る商鞅、孫氏の兵法で有名な孫びん、そのライバル龐涓、田文の実父田嬰など多士済々。さらに田文に付き従う友人や食客達がまた曲者揃い。有名な鶏鳴狗盗※のエピソードでは声真似の名人と盗みの名人しか出てきませんが、他にも色々な能力を持った人達が出て来て田文を助けます。そしてこれらの人と人の絡みがすごいです。忘れた頃に再び登場して味方になったり仇となったり、「えっ!ここで出てきちゃうの?!」みたいな感じで話を盛り上げます。まあ、都合が良過ぎるとも言えなくもないですが、そこはそれで、物語ですから楽しまないといけません(笑)

全五巻と決して短いお話ではありませんが、一気に読み切ってしまいました。中国史に興味ない人でも楽しく読める本だと思います。すっごいオススメ。

孟嘗君(1) (講談社文庫)
講談社



※鶏鳴狗盗
秦に来た孟嘗君が秦王に命を狙われたため国外脱出することにするのだが、国外に出るためには許可が必要。王妃にとりなしてもらおうとするが、そのためには狐白裘(狐の皮のコート)を欲しいとねだられる。しかし狐白裘はすでに秦王に捧げてしまったため、盗みの名人が宝物庫に忍び込んで盗み出し、無事にとりなしてもらい許可をもらうことに成功する。王の気が変わらないうちに国外に脱出しようとするが、函谷関の関所についたときは夜、鶏が鳴かないと関所は開かない。そこで今度は声真似の名人が鶏の鳴き真似をし、函谷関の鶏を鳴かせることに成功、無事に関所を通過して脱出するという故事。
転じて、1)にわとりの鳴きまねをして人を欺いたり、犬のようにして物を盗んだりする卑しい者のこと、2)つまらないと思われる芸でも役に立つことがあるという意。

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2 コメント

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Unknown (paprica)
2013-02-12 02:58:56
おもしろそ~!早速Kindleでダウンロードしてみます~♪
Ogataさんも5月5日生まれなの?!
わたしもーーー! 
当時の中国だったら、5月5日生まれ+「女子」って理由で川にでも放り投げられそう…
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買って買ってー! (おがた)
2013-02-12 05:52:09
>papricaさん
読んだら感想をお聞かせください♪
誕生日、そうですよー。一緒なんですよね!
昨年のご自身の誕生日のエントリ参照w
「中国の女」という本を読むと、昔より今の中国の田舎の方が、女性として生まれると悲惨かもって思いますよ。
http://bit.ly/14Okmhg
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