ホエールウォッチングツアーに参加して野生のシャチを見てきましたよ。
とても久々のブログ更新になりました。書きたいことはたくさんあるんですが、なんかモチベーションが上がって来ず。ただ、今回はどうしても書きたかった!この喜びを誰かに聞いてもらいたかった!ということでツアー体験記、始まります。
ホエールウォッチングといえばアメリカに住んでいた子供の頃に両親に一度連れて行ってもらったのですが、荒れ狂う海で激しい船酔いの中、遠くの方で潮を噴いたのが見えたとか見えなかったとかそんなレベルでした。そのトラウマもあってホエールウォッチングツアーに良い印象を抱いてなかったのすが、なんでもこの時期のビクトリア周辺にはシャチの家族が定住しているので98%くらいの確率で見られると知り参加を決意しました。
参加したのは
Eagle Wing Toursというところ。ビクトリアから出るツアーは腐るほどあるのでどこが良いか調べていたら、Yelp(海外の口コミサイト)やトリップアドバイザーでも評判が良かったことからこちらに決定。コメントには「他のツアーを調べる必要なし!いますぐ予約して!」とか書いてあって、これは期待が持てるなと。
ところでこのツアー、他のところが$100未満の料金が多い中、$125と強気の設定。その根拠は
・他社が3時間のところ、EWTは3時間半。つまり、より遠くまで行くことができます。さらに、ツアースケジュールを詰め込んでないので、延長することも気にしません。なのでちょっとした嬉しいハプニング(通常より遠くで珍しいものに遭遇できることが判明、とかね)が発生すると、乗客の都合を聞いて問題なければ突っ込んじゃいます。実際、今回参加したツアーでは結局4時間半の参加となりました。お得!
・シャチの群れが見られる確率はとても高いとはいえ当然見られないということもありえます。そこでもし見られなかった場合には20%の返金、または次回無料という保証がついてきます。20%返金されれば他社と大差ないので、まあいいかという気持ちになれますね。
ツアー開始30分前にFisherman's Wharfにあるツアーデスクに集合し、支払いをしてしばらく待ちます。15分前に説明開始。まず防寒具が渡されます。僕は寒がりなので防寒対策はばっちしだったのだけど、せっかくなので用意してくれたものを着用しました。ボートはかなり速く、海上の風はとても冷たいので防寒具は必須です。貸してくれる防寒具はパンツとジャケット、手袋、帽子、あと風よけのサングラス。ジャケットは救命具を兼ねているそうです。必要に応じて防風仕様のブランケットも貸し出してくれます。全て料金内。
防寒具のサイズ合わせが済んだら当日のツアーの説明。どこで何を見る予定か、ざっくり教えてくれます。説明してくれたのはツアーのキャプテンであり海洋学者のジェフ。貫禄があってダンディなおじさんです。あと同じく海洋学者のおばちゃんも同行します。二人ともとても親切丁寧にわかりやすく解説してくれたのでとても面白かったです。時々何を言ってるのかわからなかったけど。参加する際は事前にシャチやクジラについてWikipediaで勉強しておくと、より楽しめると思いました。
この日の予定ではHumpback whale、ザトウクジラが確認されているのでそれを見て、そのあとアザラシやセイウチの群れを見てからシャチの群れを見に行く、という説明がありました。
そしていざ出発。外洋に面していないので波は穏やか。普通の人ならまず酔わないレベルでした。船酔いしやすい僕は酔い止めをがっちり飲んでいきましたが。

激しい波しぶきをあげながらボートは海上を疾走します。マジで寒いです。
20分ほど行ったところでザトウクジラの親子に遭遇。ブシューって潮を噴きながらゆったりと泳ぐ姿に大興奮!
ところでカナダの法律ではシャチやクジラに100m以上近づいてはいけない、ということになっています。ただし、止まっているところに向こうから近づいてきた場合は別。そこで問われるのがキャプテンの腕です。いかに進路を予測し先回りするか。上手くいくと本当に至近距離で見ることができます。ちなみにアメリカではその距離が200m以上ということなので、カナダで見た方が間近で見られるチャンスは多そうですね。

My双眼鏡でしっかり観察。
しばらくザトウクジラを追いかけまわし、写真を撮りまくります。こんなでっかいのと一緒に泳いだらどんな気分なんだろうなあと夢は膨らみます。

深く潜るときはこのように尾を水面に出して急潜行します。
ザトウクジラとお別れしたあと、ジェフから報告と相談が。近海に住んでいるシャチはResidentと呼ばれる定住型のシャチなんだけど、少し遠いところにTrangientと呼ばれる回遊型のシャチの大きな群れが来ていることが判明した。ただ、前者は近くなのでアザラシ達も見ることができるけど後者は遠いのでアザラシは諦めなければいけない。さあ、どっちをとる?と。
なんという究極の選択!!ただこれにはさらに条件があり、前者はアメリカ領海内にいるので200mまでしか近づけない上に群れの頭数は6頭、後者はカナダ領海内なので100mまで近づけ20頭。これで心は決まりました。ほぼ満場一致でTrangientを追いかけることに。(アザラシが見たかった女の子2人にはちょっとかわいそうでしたが)
30分くらい海上を突っ走り、群れに接近。大きな雄や数頭の雌のグループが悠然と泳いでいました。興奮、というか感動。感動しまくりながらシャッターを押しまくります。この日、4時間半で600枚くらい撮りました。シャチを追いかけながら、ガイドさん達が色々とシャチの生態を説明してくれます。僕はシャチはあまり詳しくないので突っ込んだ質問ができなかったのですが、一人すごく詳しい方がいてガンガン質問しまくってました。楽しかったろうなあ。

ブリーチングという水面に身体を叩きつける行為。なぜ行われるのかははっきりはわかっていないそうです。
ものすごく運が良いと、フェリーやキャンプ場からも見ることができます。フェリーからはシャチが見えることを知らせるアナウンスが外まで聞こえてきました。お客さん総出。そらそうだ。
がっつりシャチを追いかけ回しまくり、みんな満足して港に戻りました。ツアーデスクで今日のおさらい。どこで何を見たか教えてくれます。
本当に素晴らしいツアーでした。次回行くことがあったら、また必ずこのツアーを申し込むでしょう。すっごくオススメです。
おまけ
帰ってきてからシャチについてWikipediaで調べてみました。ツアー中に説明してもらったことも書いてあり、「おー、ホントだー」って感じでした。以下、面白いなと思ったポイントを箇条書き。
・ResidentとTrangientは同じ「シャチ」というだけで交雑は数千年以上ないそうで、遺伝子的にも全然違う種だそうです。
・Residentはサーモンなどの魚を食料とするのに対し、Trangientは魚には一切目もくれず、アザラシやクジラ、イルカなどのほ乳類を食料とするとのこと。シャチ全体で見れば何でも食べる雑食さんなのですが、個体を見るとかなり偏食の傾向が強いそうです。
・武器を持つ人間は別にして、天敵が一切いない海の王者、食物連鎖の頂点に立っています。
・そんなに強いのに、獲物を把握するための音波を出したりその音波を圧縮して放出して魚を麻痺させるという飛び道具まで搭載。
・さらに頭が良くてチームワークを駆使してハンティングをします。
・1匹の雌が産む子どもは5年に1匹だそうです。まあ上記の無敵さに加えてそんなポンポン産まれた日には海の生き物がいなくなってしまいますからね。
知れば知るほど憧れてしまうシャチさん。社畜から1字とっただけでこんなに素敵な生き物になれるんですね。社畜のみなさんも頑張りましょう。(←よくわからないまとめ)