【 未・羊の文字の語源 】
「未」の文字は『説文』によると、
“木の重なる枝葉に象る”
とあり、朱駿声も
“木老いて枝葉の重なるに象る”
と言ったように木の上にさらに小さな小枝である。
従って、 「未」という文字の横二本は上の一本が短い。
「未」の音読みは“ビ”である。
此の音のあらわす意味は、
原音 は「茂(ぼう)」であり、繁茂の「茂」からきて、
葉が茂って重なり合う状態を示す。
「未」・・・十二支の第8番目
〔方角〕 西南
〔時刻〕 午後2時 (または午後1時~午後3時の間)
〔日が傾く辻、すなわち日辻(ひつじ)〕
「羊」・・・上の二つの点は、羊の角(つの)、
下は顔とからだを示す象形文字。
「羊」を“ヨウ”と音読みされるのは、
渦巻きのように丸く曲がった角の形からで
“夭(よう)”は屈なりともいう。
中国音では「未」は“ウェイ”であり、
羊の鳴き声に似ているので「羊」となった。
“ひつじ”は、羊の容貌が人に似ているところから、
“人牛(ひとうし)”が訛ったものであるとか、
ひつじの「ひ」はヒゲ、「つ」はツノ、「じ」はウシ
の意とか言われる。
我が国にもともといなかった動物が
「ひつじ」と発音されるようになったのは、
『日本書紀』に“百済から貢として羊二匹が渡来した”
とあるところから“ミツギ”が“ヒツジ”になったという。
平安時代末の12世紀初めにできた漢和辞書の
『類聚名義抄』には「羊」に“ヒツジ”という読みをつけている。
【おまけ】
大阪の泉大津市に雌雄二頭の羊の鋳象があります。
古くから羊毛紡績の盛んな地域のため
シンボル的存在だそうです。
『十二支のE~話』『(続)十二支のE~話』
戸出 武著:参照