ニュージーランド・ラグビー:オフ・ザ・ピッチ

ラグビー王国からのそのまんまレポート。子どもラグビーからオールブラックスまで、見たこと感じたことをお送りしています。

モモンガとマジックハンドⅡ

2005-12-29 | プレーヤー
クリス・マソエがなぜモモンガなのかというと・・・、
試合を見れば一目瞭然!

まず7番という彼のポジションですが、スクラムでグチャグチャやった挙句にひょこっと出てくるボールに飛びつき、9番以降のバックスに回すという、フォワードとバックスをつなぐ肝心要のオシゴト。

ニュージーランドのようなラグビー王国だと、華麗にトライを決める花形のバックスよりも、こういうハードで骨太なポジションの方が子どもたちに人気があったりします。
ちびっ子もちゃ~んとわかってますよね~、ラグビーを。

押しも押されぬ絶大な人気のリッチー・マッコウは、スクラムから出てきた玉に飛びつくスピードが、「世界一速い」と言われています。確かに速いんですよね~。誰かが先発していて、途中でリッチーと替わった時など(そういう機会はあまりありませんが)、
「うっ、速っ!」
と、スピードの違いを思い知らされます。

「世界一のリッチーに対し、無名の新人マソエはどう出る?」
誰もがそう思って見つめる中、
彼は思いがけない、「飛び」で来ました!
スクラムから出てきたボールに行く相手の選手に対し、両手両足を広げ、お互いの胴体がきっちり十字になるように飛ぶんです。
名付けて(って私がですが´。`A)、モモンガ飛び!

すごい形相で鋼のような胴体を武器に飛びかかるマソエ。これを喰らってもんどり打つ相手選手。
痛そ~。
こんなシーンがグランドスラム・ツアー中、何度も見られ、試合の翌日の新聞にもそんな写真が。
「マソエ=飛び」と、しっかり刷り込まれました。

「リッチーだったら・・・」
というみんなの既成概念を根底から覆す、パワーラグビーの真髄をたっぷり見せ付け、
「ポリネシアンの7番ってのはな、こうやるんだぁ!」
と言わんばかりのあっぱれなプレー。

う~ん。こういうの見ちゃうと、「世界で2番目の7番」と言われる(byワイカト・ファン´。`A)、
マーティー・ホラーは「古典」、
ジョシュ・ブラッキーですら「トラッド」、
っていう感じがしますね。(トラッド・ジョシュも好きですよん♪)

「これでマーティーがオールブラックスに選ばれないことに、文句を言うヤツはいなくなっただろうな」
グランドスラム・ツアーが終わった時、夫がポロっと言った一言に思わず深くうなずいてしまいました。
(←NPCのオークランド戦後のマーティー。「試合は負けちゃったんだけどさぁ、ビール用意しといて」とケータイしているところ)

今年のライオンズ戦でマーティーが選ばれなかった時は大騒ぎになり、新聞の一面(スポーツ欄ではなく!)にまでなったものですが、あれから半年でこの様変わり。
選手層の厚い国ならではの、贅沢と過酷さと栄光と・・・。

じゃ、次回はもう1人のナキ・ボーイ、ジェイソンのお話を♪
(つづく)

モモンガとマジックハンド

2005-12-27 | プレーヤー
12月に入ったとたん、新聞のスポーツ欄からラグビー関連の記事が消え、本当に、
「OFF~~~~~」
という感じです(悲)

ニュースはなくても思い出なら振り返れないほどたくさんあります。その中でも鮮明なところで、
「モモンガ・マソエ」と「マジックハンド・ジェイソン
な~んてのも。・・・と私が勝手に言ってるだけですが(素)

2人ともグランドスラム・ツアーでオールブラックス・デビューを飾ったナキ・ボーイズ
「タラナキ?NPCで下から2番目のぉ?」
選ばれた時には誰もが思ったであろう、地味~な存在だった2人。

このポジションには、「NPC後半の粘りでそのまま黒ジャージ?」と思われた、オタゴの7番ジョシュ・ブラッキーと4番トム・ドネリーのコンビが来るのではないかと思っていたのに!

しかし、セレクターたちは見抜いていたんですね~。グランドスラム・ツアーが始まるや、この選抜に異論を唱える人はいなくなり、
ジョシュ・ファンの私ですら黙りました。(ごめん、ジョシュ)

リッチーの代わりなんて誰にも勤まりっこない。」
と、ざわつく周囲を一気に黙らせた男、それがクリス・マソエです!新人なのに、グランドスラム・ツアーの初戦、ウェールズ戦に先発。41:3の圧勝をがっつり支えました。

(中央がマソエ。右手前がリッチー、奥がジェイソン。左がロドニー、手前のクルクルヘアーがアンガス。グランドスラム・ツアー出発当日の練習にて→)

その後も、頭痛で大事を取ったリッチーに代わってツアー最大の山場、イングランド戦にも先発しました。この試合はそれまでの2試合と違い、現地で人選を行った即席チームで戦ったため、練習もままならないまま本番に。しかも、オールブラックス3人にイエローカードが出るというワイルドゲームでしたが、大変なプレッシャーの中、23:19で逃げ切りました。

いずれの試合でもマソエの落ち着きぶりには驚嘆しました。
唯一、「あっ!」と思ったのがイングランド戦。イエローカードが出たプロップ2人の身代わりに(そのままではスクラムが組めないので)、20分近く引っ込んでいたマソエ。やっとピッチに戻ってホッとしたのもつかの間、今度は自身に3枚目のイエローカードが@@

さすがにこの時は無念さを隠し切れず、試合時間も残り3分しかなかったため、指のテーピングを外しつつ、顔を伏せながら憮然とした表情でピッチの外へ出る姿が印象的でした。思わず、
「ご苦労さま。大丈夫、絶対勝つから!」
と声をかけたくなるほどでした。

なぜイエローカードなのか客観的にも判然としない状況だったせいか、余計に虚しかったことでしょう。
で、彼がなぜモモンガなのかというと・・・。

あ~っと、あまりに長いので続きは次回に。(つづく) 

ナキ・ボーイズ

2005-12-06 | プレーヤー
「ナキ・ボーイズ」をご存知ですか?
別に「泣きが入ってしまった男の子」というわけではなく、
トム・クルーズ主演の映画「ラスト・サムライ」のロケ地として有名になったタラナキ、
NPCでは毎年下から数えた方が早いタラナキ、
そう、あのタラナキの人=「タラナキ・ボーイズ」のことです。

オールブラックスで言えば、
7番クリス・マソエ
4番ジェイソン・イートン
2番アンドリュー・ホーア
です。

マソエとジェイソンは今回のグランドスラム・ツアーでオールブラックス入りしたピカピカの新人。アンドリューはデレン・ウィットコムのケガで急きょ呼ばれた、フッカーとしてはほぼ4人目の存在。

バリバリのサモア系でルックスもかなり濃い系、実兄がWBA世界ミドル級チャンピオンというスポーツセレブ一家出身のマソエ以外の2人は、雰囲気もルックスもかなりの地味系。

みんながイメージするナキ・ボーイズのまんまなんでしょう、
新聞まで「Farmers, Jason Eaton and Andrew Hore……」と、
2人の名前の枕詞に「Farmers(=農家、この国では酪農家)」
と付けるありさま!

ちょっと、ちょっとぉ、オールブラックスに選ばれてからも、
わざわざ「Farmers」と呼ぶってどういうことよぉ?

(と、「ニュージーランド・ヘラルド」にケンカ売る´▽`?)

>それだったら、
「酪農家のリッチー・マッコウは・・・」
っていうのもやってよね! 
(←酪農民?)
本人が、
「羊を相手にタックルの練習してた。」
と堂々と宣言してるくらいなんだから・・・。

この国の誇り高き(しかもカッコいい!)酪農家を下に見るつもりは毛頭ありませんが、ナキ・ボーイズたちはラグビー王国の最高峰である黒ジャージに袖を通し、プロとしても堂々と国内最高ランク入りを果たしたわけですから、
「彼らのプロフェッショナリズムを尊重してほしい~」
と。別に職業なんか要らないでしょう? ラガーなんですから。

ところで、マソエは来シーズンから完全にウェリントンへ移籍することになりましたね~。(これでナキ・ボーイズではなくなっちゃいますが)

NPCは「ウェリントン」、スーパー14は「ハリケーンズ」となり、 
やっぱり来シーズンは、季節外れのハリケーンが吹き荒れそう♪ 

ウェリントンな時代

2005-12-04 | スーパー14
よくよく考えてみたら、そんなに考えなくても、ウェリントンってスゴいことになってません? 
特にスーパー14のウェリントン・ハリケーンズ!
15番ではなく1番から書いちゃうところが素人くさいですが(笑)、

1番か3番  ニーミア・ティアラタ*
2番      アンドリュー・ホーア
4~5番   ジェイソン・イートン*
6番      ジェリー・コリンズ
7番      クリス・マソエ*
8番      ロドニー・ソオイアロ
9番      ピリ・ウィープ
11~14番  マア・ノヌ
12~13番  タナ・ウマガ
13番     コンラッド・スミス
10~15番  イサイア・トエアバ*
(* =今回のグランドスラム・ツアーが初テストの新人)

ひょえ~@@
ハリケーンズだけでオールブラックスができちゃう!
まるで、ちょっと前までのクルセイダーズ状態。
スゴいですね~、時代はどんどん変わってるんですね~。

イサイア@新聞写真しかも、IRBの今年の「19歳以下最優秀選手」に輝き国際デビューを果たしたイサイアくん始め、グランドスラム・ツアーでテスト・デビューを果たした新人が4人もいて、この先の展開がとっても楽しみ♪
(NPCはオークランドでもスーパー14はウェリントンのイサイア→)

大御所中の大御所タナ、その周りを固めるようなジェリー、ロドニー、マア三人衆の貫禄♪ 
「ポリネシアンLOVE」にはたまりません♪
(ウェリントンに引っ越せばずっと試合も見られて・・・ブツブツ)

去年ヨーロッパツアーに選ばれてオールブラックス入りしたピリ
ジャスティン・マーシャルが、
「ツアーには今ベストな選手(=オレ)を連れて行くべき!」
とギャンギャン噛みついていたのがずっと遠くに思えるほど、試合のたびに成長しています。今や新人4人を前にすると、なんだかすっかりおニイさん(笑) コンラッドも成長著しく、2人には目を見張らされます。

ニーミアはサマービルに続く左右できるプロップで注目の的。アンドリューは昨日もお話したようにデレンの容態が不透明な限り、
「このままワールドカップも?」
という可能性も大。

ジェイソンマソエのグランドスラムでの活躍は、誰も異論がないでしょう。特にマソエは新人とは思えない落ち着きぶりで、
「リッチーより伊達に18ヵ月も年上やってないな~」
と思っちゃいました。

来シーズンから一気に到来するであろう、
ウェリントンな時代に注目です♪