ニュージーランド・ラグビー:オフ・ザ・ピッチ

ラグビー王国からのそのまんまレポート。子どもラグビーからオールブラックスまで、見たこと感じたことをお送りしています。

勝ち試合の不満-南アフリカ戦にて

2006-07-22 | オールブラックス
お久しぶりです。大変ご無沙汰してました。10日ほど前に引越し、生活が一変しました。まだ家の中に段ボール箱がある状態ですが、なんとかやっています。
引越しだろうが何だろうが、ラグビーだけは平常通り。
今夜のトライネーションズ、オールブラックス対南アフリカのスプリングボクス戦も、しっかり観ました~♪

結果は35:17でオールブラックスの圧勝。
点数だけ見れば、「ふ~ん、やっぱり。」
てなもんでしょうが、このうち25点をダン・カーターのキックで稼ぎ出し(7ペナルティー、2ゴール)、9番ピリ・ウィープと7番リッチー・マッコウが決めた2トライもダンが起点になったものだったし、

まるで、
ダンの
ダンによる
ダンのための
一勝負・・・

と言われそう。

でも、そんなことはありません。
やっぱりラグビーは15人のスポーツです。いくらダンのキックが良くても、プレーの組み立てが天才的でも、彼がスクラムを組めるわけでも、ラインアウトを取れるわけでもなく、
「やっぱりみんなが一丸となっての勝利なんだよね。」
と、改めて思ってしまいました。

ペナルティーで点を積み上げるなんて面白みのない試合に聞こえるかもしれませんが、スタートはドラマチックでした。開始直後、ラックから出たボールを蹴ろうとしたダンがチャージされ、ボクスは試合時間わずか17秒で先制トライ! これはオールブラックスの長い歴史の中でも記録に残るものでは?

ボクスは先週、オーストラリアの対ワラビーズ戦で49:0という、これまた歴史的な大敗を喫していました。
「今夜はゼロでは帰れない!」
という並々ならぬ意気込みが、ダンというオールブラックの心臓部への神風チャージを成功させたのか?

キャプテンのリッチーがオールブラックス・ドット・コム「選手日記」でも言っていたように、
「スプリングボクスは今週、これ以上ヤル気になれって言われてもムリなくらいヤル気満々」
裏を返せば切羽詰っていたってことでしょうから、ゴールキックも決まって早々に7点を得たことは、ずい分、追い風になったことでしょう。

しかし、追い風は吹いても神風は1回のみ。
そんなにピューピュー吹いちゃったら、神風にならないし´。`A 

その後は攻めても攻めてもオールブラックスの固いディフェンスに阻まれ、その間のミスをフランス人レフリーがこれでもかこれでもかと拾い上げ(試合の流れはブッチブチ)、双方ともペナルティーの嵐。しかも、ボクスの王子様、15番パーシー・モンゴメリーのキックが決まらず(確か7本蹴って)、1ペナルティー、2ゴールと蹴れば蹴るほどキックが100%決まったダンとの差は開くばかり。

立ち上がりの鮮やかさから一転、動揺が広がるボクス。
奇襲の先制点にも非常に落ち着いていたオールブラックス。


前半終了間際にピリのトライが決まって、オールブラックスは19:7とかなり安全圏で後半戦へ。後半は両チームとも1トライずつを決めたもののお互い攻めあぐね、流れができないままキックの差が得点差に。それがボクスへのプレッシャーとなり、後はメルトダウン状態に。特にパーシーはかなり辛そうでした。

勝ってホッと一息ながら、試合後の記者会見でグラハム・ヘンリー監督始め監督陣が、“frustrated”とか“frustrating”とか、とにかく「不満~~`へ´#」
と4、5回繰り返していたのが印象的でした。

それはもちろん、マスコミにありがちな、
「ボクスごときにてこずるなんて・・・」
などという薄っぺらな不満ではなく、決して足並みの揃っていない相手に対し、
「自分たちの思ったような流れを作れなかった」
という苛立ちのようで。

勝ち試合の直後でもそれに奢らず、理想とのギャップという不満からでさえも貪欲に学んでいこうとする姿勢は、いつもの事ながら好感です♪

1日8、9時間寝るのに(小学生並み^m^ぷぷぷぷ)最近はよく眠れなかったというリッチー、今夜はひとまずぐっすりかな?
トライネーション2勝目― 今夜も感動をありがとう!


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