縄文人(見習い)の糸魚川発!

ヒスイの故郷、糸魚川のヒスイ職人が、縄文・整体・自然農法をライフワークに情報発信!

土製の勾玉と、極端に薄い勾玉類・・・一度きりの祭器か?

2021年05月15日 06時54分14秒 | ぬなかわヒスイ工房

福島埋文備忘録(その3)

土製の勾玉と、グリーンタフ製や滑石製らしき薄い勾玉・小型の剣と鏡が面白い。
報告書を読んではいないが、祭祀で一度だけ使って、埋納した祭器ではないだろうか?
 
糸魚川では滑石製の勾玉や管玉などが、ヌナカワ姫を祀る天津神社境内から出土していて、少なくとも古墳時代には信仰の場であったことが伺える資料となっている。
 
右上の土製鏡は、小さいながらも周囲に鈴がついた鈴鏡(れいきょう)の形になっていて、上部に吊るすための孔もありますな。
鈴鏡の使用例がわかる埴輪で、左の男性は左腰に剣、右の女性は同じく左腰に鈴鏡をつけている・・・福島県立博物館収蔵品
 
右下の円面硯(えんめんけん)は、複数の人が共用できる硯。
 
考古資料は検証や証明ができない用途や意味などに関しては淡々とした態度をとるので、余計な解説はしませんっ!
 
そんな時こそ私のような考古学好き(考古学の私立探偵ともいう)が、民俗例から「神棚のお供えとか、精霊流しみたいな使い切りのお供えのルーツぢゃねぇ?」と無責任な解説をして、一般人でも興味を持てる橋渡しに貢献するのです( ´艸`)
 
きちんと考古学や民俗学の違いを理解した上で、個人的な見解です!と釘を刺しておくのは大事ですがね。
 
 

サバイバルに使える温石の知恵・・・福島県立埋蔵文化財センターの珍品

2021年05月14日 07時52分46秒 | サバイバル

福島県埋文コレクションの珍品のひとつが、室町時代の温石(おんじゃく)で、素材は滑石片岩とのこと。

小穴に針金を通しておいて、囲炉裏の灰に埋めて温まった頃合いで火箸で針金をひっかけて引き出し、ボロに包んで懐炉にしたり、痛む部位を温める民間療法に使われていた。
 
滑石はロウセキや体験会で勾玉をつくる石材として知られるが、漢方薬、食品や化粧品などの添加物にも使われており、英語でベビーパウダーを「タルカム・パウダー」と呼ぶのは、滑石の英語名TALK(タルク)に由来しているらしい。
 
でも蛇紋岩と同じく、アスベストを含むので扱いに注意が必要な鉱物なのですぞ。
 
加賀藩の前田公が、参勤交代で糸魚川宿に泊まったさい、にわかに腹痛となった・・・名主から勧められた温石をお試しになり、たちどころに快癒、感激した前田公が将軍に献上したと記録があり、どうやら糸魚川産は蛇紋岩製であったようだ。
 
温石に使っていた石は、蛇紋岩と玄武岩、そして滑石・・・いざという時のサバイバルに役立ちますな。
 
糸魚川で「石のまちプロジェクト」というのをやっているが、鉱物の種類を誇るだけではストライクゾーンが狭すぎる。
 
ヒトと石の物語、多くの人に興味を持ってもらうには大事だと思いますよぅ。
 
 

 


迷ったら比重測定・・・ヒスイだとしたらスゴイ玦状耳飾り

2021年05月13日 07時53分32秒 | ぬなかわヒスイ工房

福島の埋文収蔵品に、滑石にしては光沢のある見事な玦状耳飾り(けつじょうみみかざり)を発見。

通常は柔らかい滑石や蛇紋岩で作られた扁平な形状なのに、色や素材感がヒスイっぽい上に、ぽってりと膨らんだ円錐台状の造形も見事。
 
また加工も丁寧で、とても縄文前期の遺物とは思えない(笑)
埋文に蛍光X線分析機はあっても、比較するための硬玉ヒスイのチャートがないので未測定とのことだが、それなら比重測定をしては如何?と門外漢のクセに生意気なアドバイス。左下の土製耳飾りは群馬との交易品か?中央の土製腕輪も珍しい。
 
国内出土の石製装身具で、比重3を超えるものはヒスイ以外に見当たらないのではないだろうか?
他にも滑石ともヒスイとも見える弥生時代の小型勾玉もあり、比重が3以上あればヒスイである「蓋然性高い」のではないでしょうか?と考古学の著作にありがちな文言でもっともらしく説明したら、「比重測定ですかぁ!」と意表を突かれた様子。
 
形状と加工精度もすばらしい玦状耳飾りが、もしヒスイであったなら希少性が高く、国宝認定されて来館者がワンサカ押し寄せますよぅ!と、無責任な立場でアオリ運転( ´艸`)
 
もっとも玦状耳飾りは前期の遺物だし、その時代のヒスイ加工は不定形の大珠がやっと出てくるくらいだからヒスイである可能性は低く、滑石ではないかと思う。それにしても見事な造形で珍品ではある。
 
赤瑪瑙かと思ったらコハク!さすが東北です。
 
福島は各地の土器様式の影響を受けた土器も面白いが、石製品も面白い。
 
 

 


福島も「縄文王国」に入れてやってちょうだい!・・・福島県立埋蔵文化財センター

2021年05月12日 08時11分27秒 | ぬなかわヒスイ工房

白河にある福島県立埋蔵文化財センターを訪れたら、磐梯山麓の「法生尻遺跡企画展」をしており、見事なヒスイ大珠が展示されていた。

ヒスイの質もさることながら、通常なら平置きをするところ、立てて360度グルリを観察できる心憎い展示方法に感心していたら、「もしやうすい百貨店にいたヒスイ職人さんですか?」と学芸員さんに声をかけられたゾ。
 
ボトルに入れた原石の端材を2個も買ってくれた夫婦連れがその人で、話を聞くと埋文の体験学習で使いたいとのことであったので、それならと残りの端材を全部寄贈した。
 
企画展の展示を担当したのもこの学芸員さんで、ヒスイ職人としてヒスイ装身具を最も美しく見せることのできる展示方法に感銘を受けるし、特に裏側から観た透過光がスバラシイです!と感動を伝えたら、スポットライトの当て方などで話が弾んだ。
ありがたいことに1時間近くも展示品の説明をしてくれて、今度は糸魚川を案内しますよ!と再会を期してお別れ。
 
秋田・青森・北海道が「縄文王国」を名乗って世界遺産を目指しているが、福島県も縄文、弥生、古墳と面白い出土品が多く、けっして負けてはいない。実は福島は土器も面白いということを知った。
 
むろん人もいい。
 
 

 


サラバ郡山・・・うすい百貨店イベントとりあえずの大団円

2021年05月11日 08時05分52秒 | ぬなかわヒスイ工房

滞在2週間にもわたった、福島県唯一の百貨店「うすい百貨店」の催事が終わり、本日をもって帰宅の旅。

売場だけで11フロアーもある巨大百貨店の裏側を垣間見ることができ、修学旅行のような感じだった。
 
百貨店内でマスクを外せるのは、社食と田舎駅の待合室なみに広い喫煙所だけ。
 
コロナ禍の社食は黙食・・・女性が壁に向かい、背中を丸めて独り飯を食う姿は侘しいもんだ。
 
昼食の後は、食卓につっぷして束の間の休眠をする人、スマホを見入る人、急いで売る場に戻る人など様々。
 
社食従業員から、今日でおしまいだねぇ、寂しくなるよぅと福島弁で労われ、喫煙所の常連たちとも別れの挨拶。
 
マネキンさんからは、帰りの車中のオヤツにとチョコを頂く。
 
縄文好き、学生時代に考古学を学んだという来客から、ぜひ行ってみてと教えられた白川の埋蔵文化財センター、会津若松の県立博物館に寄り道するので、帰宅は深夜ですな。
 
サラバ郡山。
 
 

糸魚川ヒスイを海外に売るには?という発想に物申す

2021年05月09日 08時27分45秒 | ぬなかわヒスイ工房

催事場でアクセサリー販売をしているのは6社あるが、自作しているのは私だけ。

他の方は輸入品販売のみか、あるいは仕入れた輸入品パーツを自分でデザインして組合せて売る業者で、その対費用効果と手ばなれの良さに感心する。
沖縄から来ている兄貴は、接客時間以外はせっせと会場で売れそうな価格帯とデザインのアクセサリーを組合せて作り続け、視界にお客さんが入るとサッと接遇できる態勢で、師匠と呼んで教えを受けている。
 
そしてそのスタイルは、多種多様なお客さんが来る百貨店の催事場では圧倒的に受けがいい。
他の業者さんも各地の催事場を渡り歩いているので、展示方法や商品揃えは、なるほど!と感心する。
 
とびきり土俗的な私のブースは、クラフト展や工芸品展、個展に特化しないと埋没してしまうということが身に染みた。
 
そして・・・ヒスイは外国の宝石の代替品のように扱ってはいけないと、改めて原点回帰指向を強めつつある。
 
どこへの原点回帰なのか?むろん縄文文化だ。
 
ダイヤやルビー、サファイアに比べヒスイは地味だから、貴金属と組合せたお洒落な商品を海外に持っていかないと売れないのだ、と糸魚川の企業人たちはいう。
 
しかし、どんな高名なデザイナーのヒスイ製品でも、宝石の土俵でヒスイを評価している限りは、同じ緑色のサファイアより高くは売れはしないということに気付いて欲しい。
 
もし時流に乗っても、中国のバイヤーが静観しているはずはなく、安い加工賃と糸魚川ヒスイを凌駕する高品質と豊富な産出量を誇るミャンマーヒスイに取って代わられるだろう。
 
ダイヤやサファイアに勝てるのは、縄文以来5,000年間ちかく日本列島で愛され続けたヒスイの歴史、すなわちヒトとヒスイの物語でしかない。
 
それは世界に誇ることのできるオンリーワン。その象徴が勾玉なのだと考える。
 
モノ売りから物語の発信の転換を!・・・我ながら壮大かつ立派な料簡だとは思うが、それでどうやって食っていくのか?
 
それが問題だ。
 
 

 


女性用のビジネス靴はヒールなしでも大丈夫という社会認識が広がって欲しい

2021年05月07日 08時15分45秒 | ぬなかわヒスイ工房

路上で素足に靴を履く若い女性に立ちはだかり、「おい、姉ちゃん!パンツはかずにジーパンはいているようなもんだろ?擦れて痛くねぇか?蒸れんか?臭くねぇか?」

「きゃ~!誰っ?関係ないでしょ!」
 
「むははははっ!その通り関係な~いっ!しか~しっ、関係ないという関係が成立しており、すなわち関係があるのであ~るっ!」とだけ言ってハヤテのごとく逃げる・・・実行したらヘンタイだが、想像だけなら罪になるまい( ´艸`)
 
ぬなかわヒスイ工房は、郡山のうすい百貨店に出張販売中だが、広い催事場で裸足にサンダル履きはワタシだけだ。
注意されたら「これがヒスイ職人の正装なのだよ!雪駄履きの板前とおんなじっ!」と理論武装しているのだが、誰も注意してくれないから淋しい・・・もっとボクをみて(笑)
 
立ちっぱなしの仕事でストッキングにパンプス履きの女性は、足がむくむし外反母趾にもなるだろう。
 
たまに飴をくれる顔なじみのマネキンさんは足のむくみが辛くて、ついに黒いメッシュ地スニーカーに履き替えてきたが、ソールとナイキのマークが白なので「見ちゃダメエ~!黒一色の運動靴って探してもないのよぅ」と恥ずかしそうにしていた。
 
働く女性のために、蒸れず・疲れにくく・歩き易く・お洒落なデザインのビジネス靴があればいいのにねぇ。
 
モンベルさん、農業女子用のお洒落な衣類だけじゃなく、百貨店女子用のビジネス靴も作ってやってちょうだい。
 
女性のビジネス靴は健康第一を旨として、職種に適当なデザインなら素材に拘らず、ヒールなしでも大丈夫という社会認識も重要ですな。
 
企業経営者たるもの、従業員の服装規定で明示してやって欲しい。
 
 
 

 


たくましくも優しい苦労人、マネキンさんたちに幸あれ!・・・郡山ご当地デザートのクリームボックス

2021年05月05日 08時07分46秒 | ぬなかわヒスイ工房

店舗や催事場で臨時雇用される販売員を、マネキンというのだそう。

いわゆる派遣労働者なのだけど、マネキンは人材派遣業者から紹介を受けて、求人先との直接契約をする個人事業者。
 
要請があれば試食販売、アパレル、ジュエリー、特産物なんでもござれの販売のプロフェッショナル。
 
いまいる催事場には60代くらいの地元女性のマネキンが多いようだが、みなさんほがらかで明朗快活なお人柄。
 
友人から、郡山には「クリームボックス」というご当地デザートがあると教えられ、どこに売っているのかと近所のマネキンさんに聞いたら、なんと翌朝さっそく買ってきてくれた。
甘いホイップクリームが塗られた厚きりパンで、おやつにはボユームがあり過ぎた(笑)
 
別のマネキンさんはご当地限定販売のお菓子をくれたが、なんて優しい女性たちなのだろう。
 
コロナ禍でマネキンさんの仕事も激減したそう。
 
一日中立ちっぱなしで、体調が悪くても、嫌味なお客さんにも笑みを絶やしてはいけない仕事。
 
時には家族を残して長期の県外出張もする。
 
シングルマザーとなり、この仕事で二人の子供を育てあげたマネキンさんの話しは、連続テレビ小説のヒロインのよう。
 
たくましくも優しい苦労人、マネキンさんたちに幸あれ!
 
 

 


卑弥呼の勾玉をつくりたいのデス・・・福島で真珠と出逢う

2021年05月03日 08時27分45秒 | ぬなかわヒスイ工房

郡山のうすい百貨店の催事場でアクセサリー類の販売をしているのは、お洒落なジュエリー販売専門の方々ばかりで、私のブースだけやたらに土俗的で浮いていて肩身が狭いような。

職人は私だけなので、センセイと呼ばれておりますが、漢字の先生ではなくカタカナのセンセイと理解しておりマス( ´艸`)
ジュエリー販売専門に勝負してきた方々の作品コンセプトやデイスプレイ方法に刺激を受けている。
 
そのなかで真珠の卸売り販売をしている方に、小粒の淡水真珠とコラボした作品を作ってみたいのだが・・・と相談したら、気前よく半連をプレゼントしてくれた。ムハ~!と鼻息も粗くなろうというもの。
魏志倭人伝に朝貢品として真珠とヒスイが記述されておるのですよ・・・ヒミコの首飾りを作るゾ。
 
カタチに意味を持たないルースや丸玉の方がデザインしやすいから多くの人が作っているが、それはモノとしてのヒスイの希少性に比重が置かれていると私は考える。
 
それにルースや丸玉だと外国人でも思いつくが、勾玉ならそうはいくまい。
 
モノの価値からモノガタリをヒスイ産地たる糸魚川から発信するには、縄文~飛鳥時代まで愛され続けた勾玉にこだわりを持つのが最適で、ギャルの心をわしづかみするカワイくてオシャレな勾玉に挑むのだ。
 
私のような考え方を「モノと身体の同化」、すなわちフェチズムとだと教えてくれたのは、社会民俗学者の石塚正英先生。
 
縄文フェチ、勾玉フェチのヤマダは福島で奮起しておりマス。