伯父の戦記の15話め、「上陸初日の空襲」です。
伯父がパプア・ニューギニアのカビエンに派兵された初日は、歓迎の宴も催され、伯父も現地の自然の美しさに感動していた様子でしたが、やはりそこは戦場でした。初日の夜に空襲を経験することになってしまいました。
画像は本文とは関係ありません。両親の残した古い写真の中からの一枚です。どこにある何の建物か分かりません。整理されていた前後の写真から昭和20年代の病院関係の写真であると思われます。
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突然、誰かが叫んだ。爆音だ爆音だと。一瞬耳をすますと確かに爆音である。私達は未だ戦斗の出きる態勢ではない。とにかく200米程先のジャングルに逃げ込むことにした。
探照灯が敵機を補足した。その閃光の中に四発の敵機が白く浮かんだ。そして一直線に我が方向に向かって近づく。私は敵機を見ながら無我夢中で走った。
爆弾の落下してくる音シュルシュル、シュルシュルと。私は瞬間的に地面に飛び込む様に伏せる。倒れている大木の横に転がり身を隠す。そして起きて走り、又伏せる。
こうした動作を繰り返して走っていた時である。運悪く木株に男の急所をもろにぶつけてしまった。痛いの何の、この痛さは忘れることはない。とにかく苦しみながら何とかジャングルに逃げ込んだ。
味方高角砲が轟音と共に発砲しているがなかなか当たらない。地上では連続的に地響きが続いている。数分後、敵機は目的を果たしたのか?悠々と南の空に姿を消した。
この爆撃では幸いにも我が中隊には犠牲者を出さなかったが、上陸初日から恐ろしい体験をした。
この時投下された爆弾は瞬発式と云って、地面に当たった瞬間破裂し、弾片は周囲に広く飛び散り兵員の殺傷、建造物の破壊に大変大きな効果を発揮する爆弾であった。 (完)
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