日暮らし通信


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私の初飛行

2014年09月27日 16時11分52秒 | ひこうき雲



いつも園内を歩きながら必ずこのC46輸送機を見て、そしてまた歩く

病後の妻のリハビリを兼ねて散歩する場所を
この公園に決めたのはいろいろと理由もあるが
歩きながら必ず好きな飛行機が見えることが私の気に入ったことは確かだ

中学生の頃、飛行機の虜になった

それから今日まで、飛行機に憧れ、大空に夢羽ばたいた気持ちを持ち続け
時が過ぎた今でも中学生のままのようにその憧れは変わることはない





このC46輸送機を見ていると、ふと始めて飛行機に乗ったことが想い出される

憧れた飛行機だったが昭和30年代にはまだ乗るチャンスなど思いもよらなかった

そこで会社の先輩に 「飛行機に乗りたい」 と話してみると
航空機整備会社に勤める友人の整備士に相談してくれた

すると整備後の試験飛行でよければ乗ることができるとのことで、私の願いも叶うことになった

飛行機であれば試験飛行でも遊覧飛行でもどちらでもいいですと
安易に考えていたのだが後に少し悔むことになる





さて、当日の客室内搭乗者は先輩、同僚、ご婦人とそのご子息、そして私の五人だけだった

搭乗機は全日空の 「コンベア440メトロポリタン」
この機体は当時の旅客機としてはもっとも高性能なレシプロ機で
客室与圧装置が装備され 「離着陸時に耳が痛くならない」 と評判となった

今まで飛行機は見るだけだったが、案内された客室を見てその立派さにびっくりした

羽田を離陸、遠ざかる地面を眺めながら
東京湾の波間がどんどんと離れて小さくなっていく様は圧巻だった

もう感激しながらルンルン気分で空の旅を楽しむつもりだった





そんな気分の私たちの思惑など関係無く、ある高度に達すると
機は決められた試験項目を実行し始めた

機は上下、左右に機首を振り
時には機体後部を振る、いわゆる ”ダッチロール” などに姿勢を変え
時にはスピードを上げたり、下げたりとあらゆる変化を機体に与えて
整備後の機体に異常が無いかチェックするのだ

こうなると飛行機に始めてのお客さんに影響が無いはずがない
窓に顔を押しつけるように外を見ていた人もシートに身を預けてだんまりとなり
中には気持ちが悪くなった人もいたようで顔は真っ青になってしまった
勿論CAなど居ないから、自らそれを我慢するしかない

機体はそんなお客にお構いなく ”ミッション続行中” で
いつ終わるか判らないそのミッションの終了を願うしかなく
始めて経験した ”飛行機酔い” の悪夢に翻弄されていた

まだまだエピソードもあるのだが、これくらいにしておこう

でもやっと羽田に着陸した時は皆さん、すっかりと ”普通の地球人” になっていました

 ”飛行機酔い” も地球に帰ればすぐ直ります、安心しました





ここで少し説明が必要なのですが
 ”飛行機酔い” になったのは四人で、私は別に何とも無かったのです
初飛行を楽しんだのは私だけのようでした

飛行前に ”私の住んでいる所まで飛んでください” とリクエストしましたが
その願い通り、パイロットは霞ケ浦から多摩湖上空まで飛行したのです

この初飛行、私はそれなりに感銘し、ますます飛行機への関心が高まりました

今から想えばその当時は良い時代でした
整備後の飛行で機体に(おもり)代わりに私たちを乗せてくれるなんて
今では考えられることではありません

この私の初飛行、いつのことだか定かではありませんが
全日空が 「コンベア440メトロポリタン」 を運航したのは
昭和34年10月から39年11月の間だから
この初飛行もそんな時代であることは確かです

そんな昔に私も飛行機に乗ると言う、生涯忘れられない想い出を貰いました
私にとっては素晴らしい初飛行でしたが
私の体は ”飛行機酔いしない” ことが実証されてその後に大いに参考になりました





公園でこのC46輸送機を見る度に
 ”飛行機はいいなあ~” と思いながら
歳を重ねても気持ちはいつも大空に向って飛び立っている


    写真説明: C46輸送機を撮る
    撮影場所: 所沢航空記念公園 (H260927 撮影)