■「未来の健康と医・食を考える会」第21回講演会
7月30日、仙台市太白区文化センター展示ホールで開催された、『「未来の健康と医・食を考える会」第21回講演会』(事務局:今村クリニック内)へ行ってきました。
主催者からは、講演会を開催して10年の節目の年を迎え、更に充実した講演会にしていきたいとご挨拶がありました。
講演は1部と2部に分かれ、1部は、仙台赤十字病院整形外科副部長小池洋一先生による「骨粗鬆症とロコモティブシンドローム:身近な高齢者の寝たきりを防ぐ処方箋」、2部は、仙台市白百合女子大学人間学部健康栄養学科教授佐々木裕子先生による「みやぎのくびれを取り戻せ!~メタボと糖尿病~」でした。
小池先生からは、骨粗鬆症とロコモティブシンドロームについて、どんな人が骨粗鬆症になりやすいか、骨粗鬆症はなぜ危険なのか、骨粗鬆症の検査と治療についてなどを中心に講演があり、高齢になるに従い骨が構造的にもろくなり骨折を起こしやすく、内臓疾患、ステロイド治療、喫煙や飲酒、低体重なども骨粗鬆症にかかりやすくなる因子と言っていました。骨粗鬆症の中で、特に大腿骨や背骨の骨折は、寝たりきりや要介護の原因として重要で、一度骨折を起こした患者さんは、続けて骨折を起こす危険が高いことが知られており、骨折の連鎖や骨折のドミノと呼ばれているやっかいな病気のようでした。
現在、ほとんどの整形外科診療所や病院で骨粗鬆症の検査と治療を受けることができるようになっているそうで、高齢者の方々には、ぜひ骨粗鬆症の検査・治療を受けるようにして欲しいと言っていました。
佐々木先生の「みやぎのくびれを取り戻せ!~メタボと糖尿病~」の演題を見て、何故、「みやぎのくびれを取り戻せ!」なのかと思いましたが、宮城のメタボは、全国ワースト2なそうで、「みやぎのくびれを取り戻せ!」の演題には納得でした。因みにワースト1は沖縄なそうでした。
宮城は何故ワースト2なのか、歩かない人が多く、飲酒者、肥満者、喫煙者も多く、該当者や予備軍が多く、宮城県では、「スマートみやぎ健民会議」を設立するなど健康づくりに取り組み始めたと言っていました。
講演は、「栄養素摂取と高血圧との関連」、「栄養素摂取と脂肪異常症との関連」、「栄養素摂取と高血糖との関連」など専門的な内容も含まれていましたが、特に炭水化物に触れて、炭水化物の二重摂取には気をつけて欲しいと言っていました。
興味深く聞いた内容は、「平成26国民健康・栄養調査の結果(所得と生活習慣等に関する状況)」で穀物摂取量・野菜摂取量・肉類摂取量・喫煙者の割合・健診等の未受診者の割合・肥満者の割合・歯の本数が20本未満の割合など、男女とも世帯の所得が600万円以上の世帯員に比較して、200万円未満の世帯員がどうなのかという数値を示しての講演でした。
所得の低い世帯に限ってそれぞれの摂取量が少なかったり、喫煙者が多かったり、未受診者が多かったりと赤裸々なデータを示しての講演でした。
最後に炭水化物の働きや炭水化物の欠乏症、炭水化物の過剰摂取、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)はなぜ重要かの講演がありました。
不健康な生活習慣からくる内臓脂肪の蓄積、それらからくる高血糖、脂質異常、高血圧、ひいては動脈硬化、血管変化の進行による糖尿病合併症(人工透析・失明)等、脳卒中、死心疾患(心筋梗塞)等、腹囲(男性85cm、女性90cm以上)とメタボリックシンドロームについての講演で締めくくられました。
午後2時半から始まった講演会は午後5時までびっしりと健康についての勉強をしてきました。