2017年4月に介護保険制度の改正があって、
要支援1.要支援2は介護保険から切り離され、市町村の管理となった。
急速な高齢化対策と財源不足とを補うための対策である。
デイサービスに通える期間を短くしたり、介護施設の利用料金を低くしたり、
ボランテァの活躍に期待したり、いわゆる総合支援制度は市町村によって
千差万別の状態である。
介護が必要な人を増やさない工夫を試みている市もあれば、
単に介護費節減のための切り捨てとしか考えていない常態の市も見受けられる。
ところで要支援1,2とはどういう状態の人か、ご存じだろうか?
脳卒中の片麻痺では、杖を使って移動できてトイレは一人で行ける。
片手がまるで動かなくても手助けなく食事ができて、
時間がかかっても一人で洋服が着れる。
カツレツが悪く、しばしば呂律が回らない状態でも、
家族以外の人が聞き取れる程度の言葉を話すことができれば、
このようなの状態の方は大概「要支援2」に認定されている。
現代のリハビリ理論では脳は可塑性があり、
一旦障害を受けても、反復訓練で脳に新しい回路が作られ、
機能回復が望まれるとされている。
発症後90日以内に回復しなかった機能は、
回復はしても、せいぜい60%程度の機能回復であると言われている。
自分でできるが、時間がかかり、出来栄えの良さは期待できない。
症状は固定していて、これ以上の回復は望めないが、
リハビリなどで動かさないと、固まった状態になって寝たきりにつながりやすい。
知覚神経も障害されていて痛みはあまり感じない。
「できる」は一旦機能を失った状態を基準にした「できる」であって、
正常を基準に「できる」「できない」とは違うことに注意をしていただきたい。
こういう状態での方は要支援2に入れられている。
また、要支援には無気肺や心臓疾患があって体力が低下している方もいらしゃる。
整形外科疾患の方は薬や手術で改善する見込みのある人もいらっしゃる。
これらの方はご自分がお元気だった時を基準に
「できる」「できない」を判断していらっしゃる。
要支援と一口に言っても、幅広い状態の方が含まれている。
脳卒中後遺症の人はかなり厳しい扱いであるように思われてならない。
切り捨ての前に、公平な介護認定制度を整備まず定めて欲しいと思う。