【時事(爺)放論】岳道茶房

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公務員給与 「2割減」公約どう果たすのか

2010年11月06日 | 社説
公務員給与 「2割減」公約どう果たすのか

 政府・与党に本気で公約実現に取り組む意思があるのなら、人件費削減の制度案と工程を早急に示すべきである。

 政府は2010年度国家公務員一般職給与について、人事院勧告通り実施することを閣議決定した。平均年間給与は1・5%削減され、国の負担も790億円程度減少する。

 人事院勧告は、国家公務員が労働基本権を制約されている代償措置として、民間に準拠して出されている。完全実施するのが原則で、政府の決定は当然だろう。

 勧告内容より、更に削減できないかどうか、8月の勧告以来、政府・与党は検討を重ねてきた。

 民主党は政権公約で「国家公務員の総人件費2割削減」、つまり総額で1・1兆円もの削減を掲げ、菅首相も先の党代表選で「人事院勧告を超えた削減を目指す」と表明していたからだ。

 だが、勧告以上の削減となれば、憲法違反だとして訴訟を起こされかねない。自治労など労働組合側の反発も予想される。結局、勧告通りで落着するしかなかった。

 政府は、閣議決定の際、国家公務員に争議権など労働基本権を付与する「自律的労使関係制度」を設けるための法案を来年の通常国会に出し、労使交渉による給与改定を実現することも言明した。

 人事院勧告通りの給与引き下げだけでは、野党だけでなく、与党からも「公約違反」と批判されかねないと懸念したためだろう。

 しかし、制度設計への具体的な議論は進んでいない。仮に、民間と同様の労使交渉に移行したとしても、労組の支持を受けている民主党政権が人件費削減を実現できるのかは、はなはだ疑問だ。

 政府はまた、労働基本権の付与を実現するまでの間も、「人件費を削減するための措置を検討し、必要な法案を順次提出する」としている。だが、これでは具体性に欠け、いつまでに、どう公務員人件費を下げるのかわからない。

 そもそも公約自体に無理があったと言わざるをえない。与党内にはなぜ2割減なのか根拠を問う声さえある。無責任な公約のほころびがここにきて現れた格好だ。

 ただ、国家財政は厳しく、人件費の抑制は避けられない。

 天下りあっせんの禁止による人事滞留で人件費は逆に増えることも予想される。定員や退職手当の見直し、行政機構のスリム化など検討すべき項目は少なくない。

 政府・与党は課題を先送りすることなく、制度改革を着実に前進させなければならない。

2010年11月6日 読売新聞 社説


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